開店迫るイオン高田、元区防災担当の新区長と新店長が協定締結で「いざに備える」 | 横浜日吉新聞

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いよいよ来週(2024年)4月26日(金)に開店迫る高田のイオンと、港北区が「防災」に関する協定を締結。「いざ」に備える体制の確立を目指します。

横浜市港北区(大豆戸町)とイオンスタイル横浜高田(高田西1、イオンリテール株式会社=千葉市美浜区、井出武美社長)は、今月(2024年)4月12日(月)午前、地域防災力強化を目的とした「協定書」を締結。

地域防災力強化を目的とした「協定書」締結を行った竹下区長(左)と西澤店長(4月12日、港北区役所)

地域防災力強化を目的とした「協定書」締結を行った竹下区長(左)と西澤店長(4月12日、港北区役所)

地域住民、また両者が協力し、「いざ」発生しうる大規模災害に備えていくことになりました。

核店舗となる「イオンスタイル横浜高田」に加え、計13専門店(テナント)を揃えた都市型ショッピングセンター「そよら横浜高田」との名を冠してのオープン準備を進めている同店。

港北区役所からは総務部、イオンリテール株式会社からは南関東カンパニー東神奈川事業部(神奈川区富家町)の担当者らが参加していた

港北区役所からは総務部、イオンリテール株式会社からは南関東カンパニー東神奈川事業部(神奈川区富家町)の担当者らが参加していた

同店に隣接する場所には、かつて「暴れ川」と言われた鶴見川水系の早渕川(早淵川)が流れており、「昨年の夏に開店のあいさつに伺った際、地域の自治会長から、『新店舗の場所は0.5~3.0m未満の浸水想定区域(想定最大規模、港北区「洪水」ハザードマップ、2022年6月版)になっているため、様々な要望を上げている』と聞きました」と店長の西澤正明さん

港北区からも「地域住民からの災害の備えによる多くの提案があった」との説明を受け、社内で検討を行った上、協定の締結に至ったことを説明します。

西澤店長は「今回の協定を機に、防災面はもちろんのこと、この度出店する店舗が区民の皆様の日々の暮らしの向上に寄与できるようにしていきたい」との意気込みを語っていた

西澤店長は「今回の協定を機に、防災面はもちろんのこと、この度出店する店舗が区民の皆様の日々の暮らしの向上に寄与できるようにしていきたい」との意気込みを語っていた

災害発生時や災害が発生する恐れがあるときに、地域住民などの安全を緊急的に確保するため、「駐車場などを一時避難場所として可能な範囲で避難者を受け入れること」を第1の項目に掲げている今回の協定。

すでに横浜市と親会社にあたるイオン株式会社(持株会社、千葉県美浜区)が、横浜市と、2012(平成24)年5月に環境保全、子育て支援、健康づくりなど10分野における「包括連携協定」を結んだなかに「災害対策に関する」連携を行う項目も含まれていましたが、「区として独自に被災者を受け入れてもらうための協定を結びたいとのご依頼が(前区長の漆原順一さん時代に)ありました」と西澤さん。

浸水被害を想定し、2階と屋上駐車場スペース約200台分を一時避難所として活用していく予定とのことで、「港北区の皆様と連携しながら、地域の皆様の安心・安全を担えるようにしていきたい」と、今後の意気込みを語ります。

「イオンスタイル横浜高田」を核テナントとする「そよら横浜高田」はかつて暴れ川と呼ばれた鶴見川水系の早渕川(早淵川)沿い、0.5~3.0m未満の浸水想定区域(想定最大規模)にある(4月17日)

「イオンスタイル横浜高田」を核テナントとする「そよら横浜高田」はかつて暴れ川と呼ばれた鶴見川水系の早渕川(早淵川)沿い、0.5~3.0m未満の浸水想定区域(想定最大規模)にある(4月17日)

同店では、他店にも導入事例があるデジタルサイネージ「わが街NAVI(ナビ)」でも、地域情報を発信する予定になっているとのこと。

今回の協定締結により、災害時の情報提供日常的な情報発信を行うことや、港北区民へのサービスの向上や地域の活性化に資する取り組みを行っていくことも定められています。

竹下港北区長は2020年8月に冊子「水害時の避難行動を考えよう」を総務課長として職員らとともに新たに制作、区内での頒布を行うチャレンジを敢行した経験を持つ

竹下港北区長は2020年8月に冊子「水害時の避難行動を考えよう」を総務課長として職員らとともに新たに制作、区内での頒布を行うチャレンジを敢行した経験を持つ

協定の締結に臨んだ今年4月から港北区長に着任したばかりの竹下幸紀さんは、ちょうどコロナ禍に突入した2020年度に総務課長として在籍、区の防災担当の責任者としての勤務を行っていました。

「浸水被害の発生のみならず、今回の協定の範囲は地震などの大規模災害も含まれているため、市営地下鉄地下鉄グリーンライン高田駅で被災された帰宅困難者といった受け入れなども想定しています」と、竹下さんは“立地”を考慮しての協定の締結であることを説明します。

地下鉄グリーンライン高田駅(左奥)が地下にある日吉元石川線沿いに「そよら横浜高田」があることから、浸水想定時のみならず震災時の帰宅困難者対策などにも対応したいとしている

地下鉄グリーンライン高田駅(左奥)が地下にある日吉元石川線沿いに「そよら横浜高田」があることから、浸水想定時のみならず震災時の帰宅困難者対策などにも対応したいとしている

具体的な防災訓練などの実施や、車での避難を受け容れるかといった受け入れ方法などの詳細はこれから決定していくとのこと。

“これは願い”(竹下さん)としながらも、「地域の方が主体となり、これまでにあった小学校や中学校などでの訓練の一環として、この場所でも実施することができれば、多角的に避難場所があるという認識をしてもらうことが出来、いざという時に活かせるかもしれません」と、地域が主体となっての防災活動に「区として協力」したいとする姿勢を示していました。

地域住民を対象とした「プレオープン」についても店頭や折り込みチラシで既に告知を行っている。「いざ」大規模災害が発生した際の地域の防災にとって「頼れる」場所となることが望まれる

地域住民を対象とした「プレオープン」についても店頭や折り込みチラシで既に告知を行っている。「いざ」大規模災害が発生した際の地域の防災にとって「頼れる」場所となることが望まれる

竹下さんが地域防災業務を総括する総務課長として在職した前年、「ラグビーワールドカップ2019」開催の最中の(2019年)10月に関東地方を襲った「台風19号」(令和元年東日本台風)への対応経験を活かした冊子「水害時の避難行動を考えよう」を、翌2020年8月に区役所の担当責任者として制作、区内での頒布を行っていました。

同年11月には、師岡町の大型商業施設「トレッサ横浜」(株式会社トヨタオートモールクリエイト、本社:愛知県名古屋市)が、隣接する樽町連合町内会「災害時応援協力に関する覚書」を、港北消防署(大豆戸町)の立ち合いにより締結しています。

区や商業施設、地域がタッグを組んでの、大規模災害発生時に備えての連携強化は、今年1月に発生した「能登半島地震」をはじめとした過去の災害に学び備える動きとして、地域住民や来店客に、日々の安心感を与えることにつながりそうです。

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トレッサ横浜と樽町が“防災”でつながる、災害時「応援協定」がスタート(2020年11月19日)

【参考リンク】

イオンスタイル横浜高田との防災協定の締結について(横浜市港北区総務課)

基礎知識ゆらい~早渕川の基礎知識(都筑区区政推進課)※過去の氾濫の記録による注意喚起など


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