政府が配る「布マスク」の性能を測定、粒子の捕捉効率を上げる方法を実験 | 横浜日吉新聞

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政府が各世帯に2枚ずつ配る計画の「布製マスク」。安倍晋三総理大臣が緊急対策として配布を決めたことから“アベノマスク”とも呼ばれているこのマスクは、市販の使い捨てタイプと比べ、機能はどう違うのでしょうか。エアロゾル(気体中の粒子)専門家の視点から慶應義塾大学理工学部の奥田知明教授が測定し、実験動画をYouTubeで公開しています。

政府が配布する「布製マスク」での粒子の捕捉効率を計測した慶應大学の奥田教授(YouTubeより)

奥田教授はこれまで、マスクの性能を試す実験動画を複数公開しており、市販マスク洗濯後の性能変化や漏れ率測定などを行ってきました。

今回公開した3分20秒超の動画では、微粒子計測器を使って「不織布(ふしょくふ)マスク」と呼ばれる市販品と、政府配布の布製マスクによる粒子の捕捉効率を計測しています。

実験では、不織布マスクで粒子の捕捉効率が90%から100%という数値を見せていたものが、配布された布製マスクでは20%超から30%程度に低下。奥田教授も思わず「あんまり取れてないですね」とつぶやきます。

「布製マスク」単独だと粒子の捕捉効率は市販マスクに及ばない(グラフの左から2番目)ため、ペーパータオルを挟んで活用することを提案(YouTubeより)

そこで、布製マスクの隙間市販のペーパータオルを挟んで、「4層(1枚を4つ折り)」と「2層(1枚を2つ折り)」でそれぞれ計測。その結果、2層の場合は粒子の捕捉効率が60%超から80%超で「ちょっと物足りない」(奥田教授)という結果だったものの、4層の場合では90%から100%に到達しました。

奥田教授は「この(布製)マスク単独だと粒子の捕集効率は期待できないが、ペーパータオルを4層分入れて使えば、一般に売られている不織布のマスクと同等に使うことができると考えられます」と話しています。

4月中旬から東京都内で配布が始まった布製マスクは、今週(2020年)5月11日(月)以降に神奈川県内でも順次配布を行う予定としており、家庭で活用する際には参考となりそうです。

(5月12日23:24追記)記事公開時点では5月11日から配布となっていましたが、5月12日時点で14日(木)以降になることを厚生労働省が新たに発表しました。最新情報はこちら

【関連記事】

<慶應教授が実験動画>マスク洗濯後の効果、隙間からの“漏れ率”とは(2020年4月13日、マスクと肌の隙間を少なくすることが重要に)

【参考リンク】

【アベノマスクの効果を研究者が検証】いわゆる「アベノマスク」の粒子捕集効率を調べてみました(YouTube、2020年5月6日公開)

奥田知明教授のプロフィールページ(慶應大学理工学部)※2020年4月1日から教授

布マスクの全戸配布に関するQ&A(厚生労働省、せきやくしゃみなどの飛散を防ぐ効果が期待できるとしている)


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