<慶應教授が実験動画>マスク洗濯後の効果、隙間からの“漏れ率”とは | 横浜日吉新聞

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マスクを洗ったら効果は下がるのか、そしてマスクを付けた時の隙間から、どれだけ粒子が入って来るのか――。

マスクを強く押さえた時の“漏れ率”を調査する奥田教授(YouTubeより)

エアロゾル(気体中の粒子)専門家の視点で、マスクや代替品の性能を試す動画を相次ぎ配信している慶應義塾大学理工学部奥田知明教授(4月1日から教授)は、このほど第三弾と四弾となる動画を共有サイトYouTube(ユーチューブ)で公開し、市販マスク洗濯後の性能変化や、マスクと肌の隙間が粒子の捕捉をどれだけ漏らしているのかという実験にチャレンジしています。

マスクを洗ったら効果はどうなる?」と題した2分40秒超の第三弾動画では、市販のマスク洗濯前と洗濯後の性能を比較。

マスクを洗濯機で洗って干した後の効果を検証した(YouTubeより)

微粒子計測器による計測で、洗濯前には粒子捕捉率が90%だった市販のマスク。これを洗濯機で洗い、乾かした後は、2マイクロメートル(ミクロン)以上の大きな粒子は取れているものの、0.3~0.5マイクロメートルという細かな粒子捕捉率は40%から50%にまで低下していました。

「マスクをずっと使い続けるのは衛生的に問題かもしれませんので、ペーパータオルを折ってマスクの中に入れるとか、そういったことで対応したら良いのではないでしょうか」と奥田教授はアドバイスをおくります。

一方、6分超にわたる第四弾の動画では、マスクの隙間から入ってくる“漏れ率”や、自らが吐き出す息に含まれる粒子は、どれだけマスクで捕捉できているのかを実験しました。

顔に両面テープを貼ってマスクをぴったり貼り付けた際の“漏れ率”を調べてみたが……(YouTubeより)

マスクの漏れ率実験では、最大で30%ほどの粒子がマスクと肌の隙間から入ってきたとの結果。鼻の上からマスクを強く押さえた場合は、最大で15%ほどの漏れ率に減少しています。

さらに、奥田教授は自らの顔に両面テープを貼ってマスクを密着させてみたものの、計測機器を変えたこともあってか、漏れ率は40%~50%に上昇。「結構頑張りましたけど、取れないものですね……」と感想を漏らします。

マスクを通った時に粒子を取る能力は高いと考えられますが、顔とぴったりくっつけることが難しいので、粒子を吸い込まないということに対しての効果は、あまり期待できない」と話しました。

次の実験では、自らが吐いた息のなかに含まれている粒子がマスクでどれだけ取れるかを試しており、マスク越しに機器に息を吹きかけた場合は、無い場合と比べて0.3~10マイクロメートルの粒子がやや減少しているとの結果。

実験の結論を話す奥田教授(YouTubeより)

市販マスクだけでなく、ガーゼハンカチにゴム紐を付け、折って作った「手作りマスク」でも同様の実験を行ったところ、市販マスクとほぼ同じ結果となっていました。

奥田教授は「粒子を外にまき散らさないという意味では効果があると考えられるので、マスクはしたほうが良いと思います」といい、市販のマスクが無い場合は「手作りのものでも十分に効果が期待できる」との結論を示しています。

【関連記事】

<慶應准教授が実験動画>市販マスクで「ウイルス大の粒子」約7割が取れる(2020年3月25日、第一弾動画)

ペーパータオルで空気中の微粒子を約8割ブロック、慶應大准教授が実験動画(2020年3月10日、第二弾動画)

【参考リンク】

【マスクを洗ったら効果はどうなる?】洗濯したマスクで粒子がどれくらい取れるのか?研究者が調べてみた(YouTube、2020年3月31日公開)

【マスクの効果を検証】マスクを着けた時の粒子低減効果は?自分の口から出た粒子はマスクで取れるか?自作のマスクで同様の効果はあるか?研究者が実験してみた(YouTube、2020年4月5日公開)

奥田知明教授のプロフィールページ(慶應大学理工学部)※2020年4月1日から教授


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