野村不動産の社長らが箕輪町で会見、「プラウドシティ日吉」が同社戦略の試金石に | 横浜日吉新聞

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野村不動産の未来戦略において、箕輪町2丁目での大型再開発「プラウドシティ日吉」が大きな役割を担うことになります。きのう(2018年10月)10日に同社の宮嶋誠一社長や松尾大作取締役ら幹部が同町内で会見を行い、同社のまちづくり戦略の基礎となる新たな構想を発表するとともに、プラウドシティ日吉がその試金石になるとの認識を示しました。

参加した50人ほどの記者からは時間が足りなくなるほど質問が相次いでいた(10月10日、箕輪町の「プラウド日吉マンションギャラリー」で)

会見は、箕輪町2丁目の計画地内で今月新たにオープンした「プラウド日吉マンションギャラリー」内で開かれ、大手新聞社や専門誌紙の記者ら約50名が集まり、時間が足りなくなるほどの質問が続くなど、同社の構想に対する関心の高さがうかがえました。

野村不動産がこのほど示した「BE UNITED(ビー・ユナイテッド)構想」と題した新たな戦略では、「建物を建てるだけでなく、長期にわたって人々が緩やかにつながるコミュニティのある街づくりが(街にとっても自社にとっても)重要になる」(宮嶋社長)との考えから、これまで3年以上にわたって、そのあり方について社内で研究を続けてきたといいます。

野村不動産では、“扉を開く”“活動のアクション”から名付けたという「ACTO(アクト)」の第一号となる日吉における取り組みや考え方を紹介する独自冊子も今月新たに作成した

同構想の根幹は“扉を開く”“活動のアクションとなる”という考え方から名付けたという「ACTO(アクト)」という取り組みに凝縮されています。ACTOでは、マンションの居住者だけでなく、周辺住民や団体、学校や企業が相互連携するための基盤として、マンションとともに設けるコミュニティ関連施設を地域に“開放”していくことが基本の考え方です。

ACTO実践の第一弾となるプラウドシティ日吉では、街づくりの核となる組織として非営利型の一般社団法人(エリアマネジメント運営組織)を新設したり、集会室や会議室などを野村不動産が保有したうえで同法人に無料貸与したり、自社社員をエリアデザイナーとして一定期間にわたって派遣したりして、街づくり組織が“自走”できるまでの期間を後方支援していく方針。

すでに7月から開始している箕輪町2丁目のコミュニティスペース「吉日楽校(きちじつがっこう)」の取り組みもACTOの一環です。

「ACTO(アクト)」の取り組みは、プラウドシティ日吉を皮切りに取り組み、将来的には中規模マンションでも導入していきたいと話す宮嶋社長

街づくりの担い手として新設される非営利型一般社団法人は、野村不動産から貸与された会議室などのスペースの管理運営や、イベント企画などを通じて、法人として自立するための活動資金をねん出できるようにするといいます。まちづくりの主体として、法人を設けるのは同社では異例の取り組みです。

近年、ビジネス現場でも大手企業を中心に、さまざまな業種のベンチャー企業や個人の参画を促しながら、会社や事業を変革していく「オープンイノベーション」と呼ばれる取り組みが活発化しており、今年3月に完成した「綱島SST(サスティナブル・スマートタウン)」の運営でも、その考え方が取り入れられています。

野村不動産は、まちづくりの分野でも、オープンイノベーション的な手法を応用することで、「長期的なエリアブランドの向上」(宮嶋社長)につなげ、同社の主力商品であるマンションの価値を高めたい考えです。

記者会見に続いて「プラウドシティ日吉」の模型も公開された

今回、プラウドシティ日吉で得られたACTOの取り組みとノウハウは、同社が今後予定する300戸以上の大型開発でも導入するほか、将来的には中規模なマンションでも取り入れていきたいといいます。

一方、会見に参加した記者からは「(新しい取り組みだけに)ここにいる人(専門の記者)なら理解できるかもしれないが、一般の人に考え方を分かってもらえるのか」という指摘もありました。マンションの購入者をはじめ、日吉周辺の住民や団体に対してACTOの理念を知ってもらい、どのようにまちづくり活動へ巻き込んでいくかが課題となりそうです。

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箕輪町の再開発「プラウドシティ」、コミュニティの土台づくりへ相次ぎイベント企画(2018年7月27日、7月にスタートした「吉日楽校(きちじつがっこう)」もACTOの一環)

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【参考リンク】

オープンなコミュニティ「ACTO(アクト)」の取り組み・考え方紹介サイト(野村不動産)

野村不動産グループが考える新・街づくり構想~「BE UNITED 構想」発表PDF、野村不動産ホールディングス、第一号が「プラウドシティ日吉」)


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