昨日(2016年8月22日)夜に開かれた旧アピタ日吉店などの跡地再開発「(仮称)日吉箕輪町計画」についての住民向け説明会では、会場に集まった約300人の住民から次々と手が上がり、15人以上が事業主である野村不動産に質問しました。
特に周辺道路の綱島街道が狭く危険なままで再開発が行われることや、マンションの高さが60メートル・20階建てと想定されている点を懸念する内容が目立っていました。
会場で行われた質疑の要旨は次の通りです。似た質問や回答は1つにまとめまています。
再開発の進め方について
住民:今回の事業における協力会社として株式会社フォーエバーサンクスの名があるが、インターネット上では会社情報を探すことができず、同社について良くない評判も書かれている。どういった役割を担うのか。
野村不動産:フォーエバーサンクスについては、隣の「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン(綱島SST)」でも協力をいただいている。われわれ(野村不動産)だけでは拾いきれない住民の皆さんの声を集める役割を担っている。
住民:現在のところ計画は最終決定していないとのことだが、われわれ住民はどのようにして確定情報を得ればいいのか。
野村不動産:日吉箕輪町計画については、都市計画決定の手続きにのっとって行われ、最終的には「横浜市都市計画審議会」にて決定されることになる。2017年度(2017年4月~2018年3月)の決定を目指しているが、その間には何回か説明会が行われる。今年(2016年)の冬前後にも予定されている。
マンション計画について
住民:当初、マンションは1000戸程度であるとの情報がインターネット上などに流れていたが、なぜ1320戸にまで増えたのか。60メートルの高さは見直しを求めたい。また、この数字には老人福祉施設(高齢者向け賃貸マンション)の戸数は含むのか。
野村不動産:われわれとして正式に戸数を発表したことはなく、今日が初めてだ。1320戸には老人福祉施設分は含まれていない。なお、高さ(60メートル)や規模は確定したものではなく、これから横浜市と協議する。
住民:建物に圧迫感があり、日差しが通るように考えてもらいたい。見直しを求めたい。(同様の意見・質問は複数あり)
野村不動産:建物のデザインや色など、現状で何ができるのかを考えていきたい。また、次回説明の際には日差しがどうなるかなどの詳しい説明も行いたい。
住民:建物の階数は何階建てになると想定しているのか。
野村不動産:20階建てと想定している。
住民:1320戸とのことだが、人口規模はどのようになると考えているのか。
野村不動産:3LDKが中心のマンションを考えており、3000人規模と想定している。
住民:民間企業なので高い建物を建てたくなるのは仕方がないが、計画地内に予定されている広場などの付属施設は、結局は飽きられるし、管理も大変なので建設をやめてしまい、その分を住居にして高さを抑えればいいのではないか。
野村不動産:われわれとしては、そこまで考えたことはなかった。
綱島街道など周辺環境について
住民:計画地周辺の道路は、歩道が狭いままで残っており不安だ。この機に改善してほしい。もし道路の改善が行われないなら、計画自体を延期してほしい。(周辺道路環境の改善を求める意見は複数あり)
野村不動産:われわれだけでできる部分とできない部分があるが、道路や歩道の整備については横浜市と協議していきたい。
住民:小学生の通学路となっている計画地周辺の道路で、非常に危険な場所がある。日大高校の入口付近の三叉路(さんさろ)などで、これまで信号設置を求めてきたが実現していない。
野村不動産:いただいたご意見は、警察などの関係機関に伝えていきたい。
住民:綱島街道沿いや計画地内には、歩行者用の通路が設けられるとの計画だが、広さ(幅員)はどのくらいになるのか。
野村不動産:綱島街道に沿って設ける通路はおおむね幅員10メートルが目安となる。計画地内を貫通する通路は緑道を含め8~10メートルを予定している。
住民:日吉駅や綱島駅へのアクセスに難がある。歩道も狭く、現状でもラッシュ・通学のピーク時は人の往来もひっきりなしで途切れず、流れが滞るほどである。綱島SSTなど周辺のマンションの激増もあり、両駅の駐輪場の数も足りない。バス停やバス路線を新設する、バス便を循環させる(敷地内も運行を、との声も)などの周辺交通網の整備が必要ではないか。
野村不動産:バス会社や横浜市とも協議して、対策を検討したい。
計画地内の施設や管理について
住民:計画地内にスーパーが設置されるとのことだが、どのようなものになるのか。
野村不動産:綱島SST内に建設が予定されている「アピタ横浜綱島店(仮称)」のように、自動車でやってきて買物をするというような大規模商業施設ではなく、近隣の方々が徒歩や自転車で来店し、生鮮品や食料品を買い求めるスーパーを想定している。広さは1000平方メートル程度で、駐車場は30~40台規模だ。
住民:計画地内の「老人福祉施設」とはどのようなものか。
野村不動産:グループである野村不動産ウェルネスが運営する高齢者向けの「シニアレジデンス」とし、約120室を設ける計画だが、細かい部分までは決定していない。施設の1階には地域の方も利用できるレストランを設ける構想がある。
住民:駐車場が計画されているが、車は地下から出入りすることになるのか。
野村不動産:車の出入りは平面交差とする計画となっている。綱島街道へは直接出入りはできない。
住民:これまで街のシンボルとなっていた桜並木は保存できないのか。
野村不動産:一部は工事に伴い、やむなく伐採した。樹齢が50年を超えているものもあり、完全な保存は難しいが、移植なども含め検討したい。
住民:小学校近くの「エコ広場」に「ビオトープ」(生物の生息空間)を設ける計画だが、誰でも出入りできる空間だと、生態系が壊されるなどの懸念はないのか。
野村不動産:管理やルール作りも含め、どうすべきか今後検討していかなければならないと考えている。「ビオトープ」については、小学生の自然学習スペースとしても活用できないか検討している。
住民:起業やビジネスを支援するための施設や、近隣で不足する病院を設けてほしい。
野村不動産:商業施設のテナントの一部をクリニックモールとする可能性はある。企業やビジネス支援の施設については、エリアマネジメントの施設のなかに設けることも考えられるので、検討していきたい。
住民:広場などの共有施設が多数あるが、誰が所有し、誰が管理することになるのか。
野村不動産:計画地内のマンション住人や商業施設の所有となり、管理も同様だ。そのため、「エリアマネジメント(住民・事業主などが共同で街全体の環境維持などを行う)」の手法を取り入れ、管理や使い方などをルール化していく必要があると考えている。
…………
以上、質疑応答の時間は1時間超でした。
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