「初めて一人暮らしを始めた日吉が気に入り、ずっと離れられなかった」と話すのは日吉本町5丁目で「行政書士・海事代理士加賀雅典法務事務所」を営む加賀雅典(かがまさのり)さんです。
日吉中央通りにある日吉本町東町会会館(日吉本町1)で無料相談会を10年近くにわたって続け、所属するボランティア団体では、毎年春に下田町で行われる慶應義塾体育会の地域交流の祭典「桜スポーツフェスタ」や、下田小学校で行われる車椅子体験指導において、地域の運営スタッフとして学生・児童らとともに汗を流します。
2012年には、横浜市港北区社会福祉協議会から「社会福祉功労者」表彰も受賞している加賀さん。日吉を永住の地に決め、地域にこだわりを持った活動を続ける原点はどこにあるのでしょうか。お話を聞きました。
日吉キャンパスで「コントラバス」に没頭した日々
1975(昭和50)年に愛知県で生まれた加賀さんの人生に、欠かせないキーワードが音楽です。中学時代から現在に至るまで、その大きな体に似合った弦楽器「コントラバス」の演奏を30年近くにわたって続けているといいます。
愛知県私立東海中学・高校時代はオーケストラ部(東海学園交響楽団)で青春を燃やし、その想いは慶應義塾大学法学部に入学後、日本最古のアマチュア学生音楽団体として知られる「慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・オーケストラ」(1901創立)に入団。パートトップや演奏旅行マネージャーを務めるまでに結実します。
「法学部では、3年生の授業から三田キャンパスへ通うことになるのですが、オーケストラの練習場が日吉キャンパスだったので、4年間は、日吉の塾生会館(課外活動棟)でコントラバスの練習ばかりしていました」。
その頃は、日吉駅の地下化が行われ、日吉東急アベニュー(当時は東急百貨店日吉店)が完成したばかりの時期だったといい、「とてもきれいな街だな、というのが第一印象」と振り返ります。中央通りの町内会館で無料相談会を続けているのも、「学生時代にすぐ近くのアパートに住んでいて、親しみがあるんです」。
日吉で音楽活動に没頭し、海外演奏旅行もこなした加賀さんですが、待ち受けていたのが就職活動の壁です。
「特に志しているものはなく、最終面接まで行った会社もありましたが、残念ながら決まることはありませんでした」。
卒業後の進路に悩んだ末、東京・永田町の弁護士事務所で特別研究員として働き始めます。その事務所で、法学部で学んだ法律知識を活用する機会を得られたことが今の仕事につながります。
弁護士事務所に勤務しながら行政書士試験を受験し、2005年に晴れて合格した加賀さん。「弁護士事務所では、法律事務を扱う現場を知ることができたため、行政書士の仕事に大きく役立っています」。
「成年後見」の依頼増に見る地域との信頼感
行政書士となってから10数年が経ち、日吉に住んでからも22年を迎えた加賀さん。第一に目指しているのが“街の頼れる存在”であることです。
「行政書士は、相続・遺言、贈与、成年後見、財産管理、見守り契約、死後の事務、起業や各種事業、離婚問題、契約書作成、外国人ビザなど、皆さんのさまざまな人生シーンにおいてお手伝いをさせていただく存在です。取扱対象も、事業所・法人、個人、外国人、自動車まで本当に幅広い。だからこそ、地域や顧客との信頼関係がもっとも重要となってきます」。
10年超の豊富な業務歴と地域で培った信頼感を垣間見せるのが、「成年後見(せいねんこうけん)」の相談・依頼の多さです。このうち「法定後見」は、認知症や知的障がいなどによって判断能力が不十分となった人々に代わって、財産の管理・療養状況の把握などを行う制度で、「成年後見人」「保佐人」と呼ばれる“代理人”には、配偶者・親族がなることもできますし、弁護士・行政書士などの専門家に候補者を依頼することも可能となっています。
「近年はご依頼をいただくことがますます多くなっています」と、地域社会から寄せられる期待に手応えを感じている様子です。
元気なうちに考えておく「任意後見」が特に増える
加賀さんが行政書士として、最近、特に相談・依頼を受けることが増えているというのが、成年後見制度の中でも、元気なうちに将来に向けて契約を結ぶ「任意後見」です。

成年後見とは、認知症・知的障がい・精神障がいなどによって、判断能力が不十分な方々の権利を保護するための制度。契約ができる判断能力がない場合は「法定後見」、判断能力がある場合は「任意後見」の制度がある(神奈川県行政書士会パンフレットより)
裁判所が成年後見人等を選任する「法定後見」とは異なり、あらかじめ、自分の将来について「考える余裕がある時」に詳細を決めておきます。もし、病気などで自分では判断がつかないような状態になったときは、事前に決めておいた契約内容に基づき、財産管理から葬式・納骨などの死後事務に至るまでの手続を受任者が代理する制度となっています。
あらかじめ決めておく、といっても、「自分が自由に使えるお金がない、というわけではありませんのでご安心ください。じっくりとご説明・ご相談させていただいた上で、今後の見通しや計画を立て、人生の最終局面までの“ライフプラン”を一緒につくりあげる、という作業です。契約締結後は、半年か数か月に1回しかお会いしないという方もいらっしゃいますし、なるべく頻度を上げて、“見守り”に近い回数でお会いし、お話を定期的にうかがったりすることもできます。入院時の緊急対応を始め、施設やお墓などへ一緒に見学に行くこともあるのですよ。信頼をいただかないと、ご依頼いただくことができないお仕事になります。地元の行政書士として、これまでのすべての経験が活きることが、うれしくてならないんです」と、これからますます注目される「任意後見」のメリットについて、熱く思いを語ります。
「まずは気軽にお話いただきたいとの思いから、私が開催している無料相談会では、予約の必要はありません。その方が、普段のお悩みを話していただきやすいと思うのです」。
とはいえ、急を要する場合は、時期を問わずに問合せがあるといいます。「身内の少ない方が増え、ましてや一人暮らしで、信頼できる相談相手がいない、と思われることもあるかと思います。そのような時には、近所にいますので、いつでもご連絡をいただけたら」と加賀さん。
若い人が多いとされる日吉でも、この先はさらに高齢者が増え、一人で過ごす人も多いと言われています。「日吉の街でご高齢になっても、ご高齢の身内がいたとしても、安心して頼れる先が必要だと思うのです。親族関係のことや財産のことなど、人にはどうしても相談しにくいことなども、互いの“信頼関係”があってこそ頼っていただけるのだと思います。これからも日吉の街のため、皆さんのため、全力で対応していきたい」と力を込めます。
地味だが欠かせぬ「コントラバス」のような存在に
最近では、任意後見制度の関連では「おそらく日本で初めて作成キットの形で書籍にした」(加賀さん)という実用書『任意後見サポートキット』(文芸社、一般社団法人任意後見サポートクラブ著)の執筆にも参画。
また、行政書士としての資格に加え、船舶登記・船舶登録など、海・船舶に関する申請・届出を代理する「海事代理士」の資格も得て、活動の場を広げ続けています。
そんな多忙な日々でも「新交響楽団」(1956年創立のアマチュアオーケストラ)に所属し、年4回の演奏会に出演する加賀さん。人生で多くの時間を費やしてきたコントラバスは、「オーケストラでは地味で目立たないが、必ず必要で欠かせない音」。
地味でも安心感や信頼感を得られるかのようなコントラバスの音色のように、この街・日吉でのハーモニーを奏でたいと、さらなる夢を語っています。
<予約不要の「無料法務相談会」開催>
・場所:日吉本町東町町会会館(日吉本町1-8-4、日吉駅西口から中央通り直進5分,日吉内科隣り)
・日時:2016年9月14日(水)、9月23日(金)、10月20日(木)、10月28日(金)13:30~16:00(毎月2回)
※以降,毎月2回開催(具体的な日程は,同事務所ホームページへ)
※ご相談は,予約不要です。相続・相続対策・遺言・贈与・成年後見・財産管理・死後事務・法人設立・契約書作成・離婚等でお悩みの方は,お気軽にお寄りください。
※相談会開催日以外のご相談につきましても,お気軽にお問い合わせください(土日祝日・夜間・出張訪問対応可,ご予約制)
<港北区内で巡回無料相談会実施中>
加賀さんが所属する一般社団法人コスモス成年後見サポートセンター(神奈川県支部・横浜東地区)では、港北区内で無料の巡回相談会を実施しています。
・2016年9月24日(土)樽町地域ケアプラザ(13時30分~15時30分)
・2017年2月4日(土)高田地域ケアプラザ(午前、時間未定)
・2017年3月(日時未定)下田地域ケアプラザ
※詳細は、港北区担当の加賀さんまで(下記リンク先の事務所宛お問い合わせください)
【参考リンク】
・神奈川県行政書士会ホームページ(加賀さんは鶴見・神港支部の副支部長を務める)
・新交響楽団ホームページ(加賀さんが現在コントラバス演奏で参加しているアマチュア・オーケストラ)
・慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・オーケストラホームページ
【関連記事】
・“お役所仕事”や相談先不明の困り事も日吉の加賀さんが「行政相談」でバックアップ(2017年9月21日)
・大迫力のホルン30台の大合奏がメインの無料コンサート、1/17(日)藤原ホールで(2016年1月8日)
<読者プレゼント>

本に直接書き込むことができ、人生のエンディングへ向けての準備について学び、進めていくことができる(写真:一般社団法人 任意後見サポートクラブホームページより)
加賀さんも執筆に参加した 書籍『任意後見サポートキット』(文芸社、一般社団法人任意後見サポートクラブ著、定価1,300円+税)を、『横浜日吉新聞』の読者の方、抽選で5名様にプレゼントいたします。ご希望の方は、メッセージ送信フォーム(当リンク先)より、必要事項を入力・選択(その他)、メッセージ本文欄に詳細住所、ニックネーム(当選者発表用)、『横浜日吉新聞』へのご意見・ご感想をご記入の上、ご応募ください。(2016年9月30日中に必着)
※当選者発表※当ホームページ上にて、2016年10月上旬に行う予定です。
皆さんのご応募をお待ちしております。
【2016年10月2日追記】 ~ご当選の皆様~
日吉 ko さん/日吉本町 あっつ さん/下田町 yokohamabaron さん/中原区 たまき さん/横浜市 m.n さん
【2016年10月3日追記】
(提供:行政書士・海事代理士加賀雅典法務事務所)