日吉発祥のNPOが普及に尽力、一人で過ごす高齢者を「任意後見」で支える方法

横浜日吉新聞
日吉の行政書士・加賀雅典さんが理事を務めるNPO法人任意後見利用促進協会(事務局:日吉本町5)。当時、高田在住だった佐々和亮理事長とともに立ち上げた(同法人のサイトより)

日吉の行政書士・加賀雅典さんが理事を務めるNPO法人任意後見利用促進協会(事務局:日吉本町5)。当時、高田在住だった佐々和亮理事長とともに立ち上げた(同法人のサイトより)

法人サポーター会員による提供記事です】一人で暮らす親や親族、そして自分自身に「判断」する力がなくなってしまったら――。日吉や綱島、高田で過ごす高齢者や、その家族に対し、「より安心して老後を過ごしてもらいたい」という想いから、日吉本町在住の行政書士・加賀雅典さんは、「任意後見」制度の普及に努める活動を行っています。

2005年から自身の行政書士事務所(行政書士・海事代理士加賀雅典法務事務所、日吉本町5)を運営してきた加賀さんですが、2010年6月に「NPO法人日本スマートライフ協会」(同)を、当時高田在住だったという佐々和亮理事長とともに立ち上げ、昨年(2017)年7月には「NPO法人任意後見利用促進協会」(同)に改称、「任意後見」の普及や、その制度の支援を行う「任意後見サポーター」の養成に尽力しています。

もし、自分や家族、親族が認知症になった場合、自身の財産管理や役所での手続などを、滞りなく、また問題なくできるものなのでしょうか。

「任意後見」は、後見人を「自分で選べる」制度

任意後見制度とは、「本人が十分な判断能力があるうちに」自らが選んだ代理人(任意後見人)に代理権を与える契約。本人の意思にしたがった適切な保護・支援をすることが可能(法務省民事局のサイト~成年後見制度・成年後見登記[PDFファイル]より)

任意後見制度とは、「本人が十分な判断能力があるうちに」自らが選んだ代理人(任意後見人)に代理権を与える契約。本人の意思にしたがった適切な保護・支援をすることが可能(法務省民事局のサイト成年後見制度・成年後見登記[PDFファイル]より

「任意後見」とは、認知症になってしまったときに、財産や生活をどのようにするのかを、判断能力があるうちに、あらかじめ決めておく契約制度のことです。

「任意後見契約に関する法律」という特別法で定められた、国が利用を促進しているという制度でもあります。

一方、認知症になるなど、判断能力が不十分になってから利用する制度として「法定後見」の制度がありますが、この制度にかかわる事項は、家庭裁判所がすべて決めるので、本人や家族の「意思」を十分に反映させることができません

家庭裁判所が選ぶ第三者によって財産や生活が管理されることになってしまうので、「(同NPOの佐々)理事長は、自身の経験の中で、法定後見制度で大変苦労した経験があり、“元気なうちに自ら後見人を選ぶことができる”任意後見の大切さ、そしてその普及の必要性を感じ、ともにNPO法人を立ち上げたんです」と、加賀さんは、「任意後見」の普及を行うことを、二人で決意したと語ります。

日吉を拠点に任意後見を行う意味、そのニーズとは

神奈川県が運営するかながわコミュニティカレッジでの講座 「『任意後見サポーター』養成講座~認知症に事前準備する『任意後見』をサポートしよう! 」で登壇する加賀雅典さん(写真:NPO法人任意後見利用促進協会提供)

神奈川県が運営するかながわコミュニティカレッジでの講座 「『任意後見サポーター』養成講座~認知症に事前準備する『任意後見』をサポートしよう! 」で登壇する加賀雅典さん(写真:NPO法人任意後見利用促進協会提供)

加賀さんが、「ふるさとで一人で過ごす親が心配」と、高齢になった親を持つ子どもや、「自分自身が認知症になった時が心配」という、日吉近郊や港北区内に在住している本人やその親族から任意後見に関する依頼を受けるケースは、契約に至ったものだけでも、2013年度は6件だったのが、一昨年(2016年)は15件、今年(2018年)は既に5カ月で10件にも上るなど、「右肩上がり、わずか5年で4倍のペースで増えているんです」と、その役割やニーズを実感しているといいます。

元気な人であっても、生涯ずっと元気でいられるとは限りません。ましてや、一人暮らしの高齢者が増えている港北区では、「元気なうちに契約を行い、『見守り契約』と、いわゆる『生前事務委任契約』に基づく対応を行います。この段階では、私が財産の管理を直接行うことはなく、預金通帳を預かることもありません。まずは、日々の生活や財産管理に問題がないかを、定期的に確認していくところから対応を始めます。1対1での、日常でのコミュニケーションから入っていくので、お互いの信頼関係こそが何よりも大切なんです」という加賀さんは、“判断能力”があるうちからの契約、それに基づく対応こそが、いざという時に役立つと説明します。

NPO法人任意後見利用促進協会のサイト[PDFファイル]では、任意後見サポーター養成講座の模様を詳細にわたりレポートしている

NPO法人任意後見利用促進協会のサイト[PDFファイル]では、任意後見サポーター養成講座の模様を詳細にわたりレポートしている

血のつながりもない自分が、プロフェッショナルとしての後見人となるための信頼関係を構築していくこの期間が、とても大切であり、また特に老後に不安を抱える本人やその親族からも「高く評価をいただいている部分でもあります」と、“見守り時”から対応していくことの重要性を感じているといいます。

年齢を重ね、判断能力が低下し、あいまいな判断しかできなくなった場合に、「見守り契約」「生前事務委任契約」から「任意後見」契約へ移行本人から聞き、準備を重ねてきた方法によって、財産管理や死後の事務処理などまでも行うケースが一般的です。

任意後見制度については、区役所や、地域ケアプラザ(地域包括支援センター)、ケアマネージャーからご相談をいただくケースも、年々多くなっています。自ら考えて、事前に後見人を選んでおくということは、特に近くに親族がいない、単身で生活している人にとっては、とても大切なことと、いざという時になってから気付く方が多いのです」と、できれば“元気なうちに”、そして“自らの判断で”後見人を選んでもらいたいと加賀さんも感じているといいます。

行政書士が得意とする「手続業務」の利用をともなう任意後見

「かながわコミュニティカレッジ」での「任意後見サポーター」養成講座は、毎年受講者が増え、大きな反響を得ているという(NPO法人任意後見利用促進協会提供)

「かながわコミュニティカレッジ」での「任意後見サポーター」養成講座は、毎年受講者が増え、大きな反響を得ているという(NPO法人任意後見利用促進協会提供)

「任意後見人」は、誰でも選ぶことができるので、特に、様々な「士業」と呼ばれる人々が担当することもあります。

中でも、「行政書士は、元来、行政手続に関する事務を行うことを主要業務とし、手続に特化した対応を得意としているので、さまざまな手続の利用をともなう任意後見制度においては、最適な業種と言えると思います」と加賀さん。

もちろん、司法判断を伴う手続などが発生する場合、不動産登記の手続を行う場合、税務に関する手続が必要な場合には、弁護士や司法書士、税理士などと連携して対応することもありますが、「後見業務の中には、例えば老人ホームへの入所手続や、病院の入退院手続など、他の士業では、本来の業務とは全く異なる分野のものも多いのです。本人と一緒に、老人ホームやお墓の見学に行ったりすることも多々ありますし、24時間、緊急での対応を行う点も強みにしています」と、地域に根差した行政書士だからこそ、可能な対応スキルをこれまで磨いてきたと加賀さんは説明します。

加賀さん自身は「真夜中に急きょ病院へ駆け付けることもしばしばです。後見人としての役割をご理解いただけるよう、地域でのネットワークも日々広げているところです」と、行政書士ならではの知識や経験をフルに活かしていきたいと語ります。

「任意後見サポーター」の普及に尽力したいと加賀さんはこれからの意気込みも語る(NPO法人任意後見利用促進協会のサイトより)

「任意後見サポーター」の普及に尽力したいと加賀さんはこれからの意気込みも語る(NPO法人任意後見利用促進協会のサイトより)

これからさらに需要が高まっていくといわれる「任意後見」を、より広めていきたいとの想いから、神奈川県の組織として運営されているかながわ県民活動サポートセンター「かながわコミュニティカレッジ」(神奈川区)での「『任意後見サポーター』養成講座」(2018年は5月10日~7月19日の全11回開催)にも、NPO法人設立以来、毎年登壇してきた加賀さんの、地域社会にこの制度をより活用してもらいたいという熱き決意が込められています。

受講生の出席状況もほぼ満席で、盛況だという同講座を通じても、「任意後見制度の重要性を、日々実感しています。ぜひ、これからのご自身の人生における生活や財産の管理、また日吉周辺に住まう親族のことが心配だという方も、月2回開催している無料相談会にお越しいただければ」と、加賀さんは、任意後見制度への問い合わせや相談を、常時受け付けているとのことです。

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【参考リンク】

特定非営利活動法人(NPO法人)任意後見利用促進協会のサイト

行政書士・海事代理士加賀雅典法務事務所の公式サイト ※無料相談会案内あり(2018年5月30日開催予定)

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法人サポーター会員:行政書士・海事代理士加賀雅典法務事務所提供)


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