火災件数が“突出”する日吉地区、箕輪町で早期鎮火に貢献の2人が表彰 | 横浜日吉新聞

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火災件数が6件と突出する日吉地区。同じ集合住宅内での火災に住民がいち早く対応した事例も見られています。

今年(2024年)2月6日の朝5時10分ごろ、港北区箕輪町の集合住宅で火災が発生。

建物内で鳴り響いた火災報知器の音を聞いた亀井美春(みはる)さんがまずは119番通報。

2月6日早朝に箕輪町で発生した火災の初期対応・鎮火に尽力したことでの感謝状を贈られた亀井さん、青木さん。最右は4月1日から救急部長として異動した木村港北消防署長(当時、3月19日)

2月6日早朝に箕輪町で発生した火災の初期対応・鎮火に尽力したことでの感謝状を贈られた亀井さん、青木さん。最右は4月1日から救急部長として異動した木村港北消防署長(当時、3月19日)

火災報知器が鳴った際、まだ明け方だったこともあり、「始めは誤作動かと思ったのですが、報知器が鳴り止まず、見に行ったところ、煙りと匂いが出ていたことがあり、亀井さんが「生まれて初めて」だという119番通報を自身の携帯電話から行ったといいます。

一方、同じ集合住宅の上層階で生活を行っていた青木拓也さんは、建物内に備えつけられていた消火器を手に、建物のベランダ側へ。

在宅していた住人に断ったうえ、室内に入り、消火器を使用して燃えていたというダンボール片と思われるものを鎮火

「10年以上前に、職場での防災訓練を受講した際に、訓練用の水消火器を使用したことがあったのですが、それ以来、初めての使用となりました」と、青木さんは、消火薬剤を使い切っての消火を行ったと当時の状況を振り返ります。

「感謝状」を手にした亀井さんには笑顔も

「感謝状」を手にした亀井さんには笑顔も

その後、「消防署員が到着した姿が見えました」と青木さん。

到着した消防隊の放水により完全鎮火に至り、重大な火事に至ることを防ぐことができたといいます。

特に消火器の使用については、「薬剤を使用できるのは、消火器によっても異なるのですが、おおむね14秒前後(12~18秒のものも)といわれています。火が天井に至る前、背丈を越えない程度の段階で、しっかりと包み込むように、使い切るまで噴射することが大切です」と、二人に感謝状を贈呈した木村正美署長(当時、4月1日より救急部長)は説明します。

「火が背の高さを越える場合は無理に消火せず逃げてほしい」と語る木村署長

「火が背の高さを越える場合は無理に消火せず逃げてほしい」と語る木村署長

今年に入ってから港北区内での火災件数は、3月17日現在で16件と、対前年で5件マイナスとなっているものの、死者数は3人と、対前年で3人増日吉地区(日吉地区連合町内会:地区別)の火災も6件と、対前年で3件増かつさらに以前の3年間でも“突出”して多い状況(2020~2022年は1~2件程度)となっており、人口増加が続く日吉地区だけに、さらなる日々の火災予防対策の強化が必要となりそうです。

「職場で訓練を行っていたことが役に立ちました」と語る青木さん。

木村署長は、「能登半島地震で見られた石川県輪島市内での火災なども、はじめは小さな火であったと聞いています。“119番通報”をしなければ、という判断、また本番で消火器の使用が初めてであっても、日頃からの訓練の成果を出せた消火活動は本当に素晴らしいこと」と、今回の亀井さんと青木さんの、“小さな火”に立ち向かったそれぞれの勇気を称えます。

港北消防署総務・予防課の向井克志さんも消火器が使用できる時間の長さを確認していた

港北消防署総務・予防課の向井克志さんも消火器が使用できる時間の長さを確認していた

木村署長は、「消防署は、火災対応のみならず、救急救命も行っています。人命救助に関する訓練などにも参加していただき、救急救命の活動についても今後ご協力いただければ」と、地域ぐるみでの防火、そして救急対応への協力を呼び掛けていました。

同消防署では、特に最多の火災件数となっている日吉地区はもちろん、他の地区でも日頃からの訓練の必要性、また住宅用火災警報器の定期的な点検や10年を目安に交換すること、リチウムイオン電池による火災防止やたばこの火の不始末の防止、放火への警戒といった対策を広く呼び掛けています。

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【参考リンク】

港北区内の火災・救急状況について(令和6年3月17日(日)現在)PDFファイル、港北区連合町内会区連会資料)

消火器の使用方法(横浜市消防局予防部予防課)


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