【コラム】正月でも休日でも真夜中でも24時間365日起こりうる地震。テレビやインターネットで速報される市や区全体の「震度」に加え、横浜市内では地域ごとに揺れの強弱が分かる約660カ所の観測データがインターネット上で公開されており、身近な地域の状況を知ることができます。
たとえば、きのう(2024年)1月28日(日)の朝8時59分に東京湾で発生したマグニチュード「4.8」の地震では、港北区内の震度が「4」と速報されましたが、これは発表対象となっている市の震度計が観測したデータのうち、もっとも揺れが大きかった日吉本町(駒林小学校内=日吉本町2)のもの。
市は区内3カ所(日吉本町のほか綱島西3丁目の綱島消防出張所、大倉山7丁目の港北土木事務所)に震度計を置き、綱島西と大倉山での震度は「3」でしたが、揺れの大きかった地点のデータが気象庁から区の震度として発表されました。
一方、市は独自の震度計以外にも、東京ガス系企業が都市ガス供給施設に設置した震度計から独自に収集したデータも活用。こちらは港北区内だけでも68地点(2024年1月時点)で観測を行っており、市内全体では660地点におよぶといいます。
これによると、港北区内でもっとも揺れが大きかったのは菊名の港北図書館付近にある「港北」と名付けられた観測地点で、震度にすると「4」相当。低かったのは新横浜駅近くの「新横浜3丁目」と「新横浜北口」で震度は「2以下」相当という結果になっていました。
同じ区内でも地域によってこれだけ揺れ方が異なるように、横浜市内は北部の港北区や鶴見区から南部の瀬谷区や泉区まで広がっており、巨大地震が発生した際に少ない箇所の震度データだけでは被害状況を把握するのが困難です。
そのため市は「阪神・淡路大震災」(1995年1月17日)の発生から2年後の1997(平成9)年には市内150カ所に震度計を設置。独自の防災システムとして活用してきましたが、老朽化などで稼働できない震度計が年々増え、観測地点を減らしていきました。
その後、東京ガス系が独自に観測を始めたことから2009(平成21)年4月から同社のデータもあわせて防災情報として活用。市が設置した42カ所の震度計の観測データとともに「jishin.net(ジシン.ネット)横浜地震情報」というサイトを通じて市民に公開しているものです。
震源の位置や地震計が置かれた場所の地盤などの環境によって揺れ方が変わるため、「揺れやすい場所」「揺れづらい地域」の判断に使うことは難しいのですが、「あの揺れで震度4になるの?」「あれだけ揺れたのに震度3とは」といった発表震度の“違和感”を軽減するデータとして活用できるはずです。
(※)この記事は「横浜日吉新聞」「新横浜新聞~しんよこ新聞」の共通記事です
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・【過去記事】<震度5弱の地震>港北区で帰宅困難者や学校休校、「5強」相当の地点も(新横浜新聞~しんよこ新聞、2021年10月8日、この時も日吉本町に置かれた市の震度計で揺れが大きく、これが区の震度として発表されたが、東京ガス系による港北図書館付近の観測地点などでは「5強」相当の揺れも見られた)
【参考リンク】
・jishin.net 横浜地震情報(横浜市内約660地点で観測、地震検知から約10分後にデータを更新)※隣接する川崎市域や都内のデータも一部見られる
・気象庁「横浜市の防災情報」(地震情報だけでなく「注意報」「警報」などの各種防災情報も発信)