来年(2025年)4月、高田地区に悲願の市民向け施設が新設されます。
高田東3丁目の日吉元石川線に近い駐車場跡に「横浜市たかたコミュニティハウス」を新設するための条例改正案が昨年(2023年)12月の横浜市会(市議会)で可決されたもので、港北区では指定管理者を選ぶための選定委員会も今月から始動しました。
高田地区(高田西・東、高田町)では、2000(平成12)年2月に「高田地域ケアプラザ」が新設され、福祉・健康活動とサービス提供の拠点は置かれましたが、市民活動や交流の場としては、主にケアプラザが一般開放している部屋や地域団体などが独自に開設した施設が担っているのが現状です。
港北区内では、各中学校の学区内に地区センターやコミュニティハウスといった市民向け施設が最低1カ所は置かれている学区が目立ちますが、高田中学校(高田町)の学区だけは未設置となっていました。
地元の高田町連合町内会では約20年にわたって市に陳情を行うなど誘致活動を展開。2008(平成20)年ごろには市が開設に向けて本格的に動き出したものの、場所や建設費の課題などから現在まで設置にはいたっていません。
また、隣接する日吉台西中学校の学区内にある下田小学校(下田町4)で行われているように小・中学校の建物内に併設する形のコミュニティハウス(コミュニティスクール)として設置した場合、高田地区の小・中学校3校はいずれも丘の上に位置していることから、駅や日吉元石川線周辺の平地部に住む住民が利用しづらいという事情もありました。
今回、高田駅から徒歩5分ほどの距離にある高田交差点に近い高田東3丁目の駐車場跡地で民間が新たに整備する木造2階建て(延床面積300平方メートル)の建物を市が借り上げ、交流コーナーや学習スペース、プレイルーム、会議室(3部屋)などを設置。
来年4月に横浜市たかたコミュニティハウスの名で開館を予定するものです。
すでに港北区では同コミュニティハウスの運営を担う指定管理者を選ぶための「選定委員会」の活動が始まっており、公募に向けた動きが今後本格化します。
古くから高田地区に住み、開設に奔走してきた関係者の一人は「コミュニティハウスの設置は悲願だった。新たにこの地域に引っ越してきた方など、『新住民』も立ち寄ってくれるような場所になってほしい」と期待を込めます。
また、同地区では市の市民向け施設が無いなかでも住民らが独自に複数の“居場所”を開設してきた歴史があり、「こうした施設とコミュニティハウス、さらにはケアプラザが連携できれば」と話していました。
横浜市の「コミュニティハウス」とは?
- 日吉や綱島など港北区内6カ所に置かれた「地区センター」と比べ、「コミュニティハウス」はより地域に根差した小型の市民向け交流・活動施設で利用料金は無料。“コミハ”とも呼ばれる。市は各中学校の学区内に1カ所を整備することを目標としている
- 独立した建物が多い地区センターと比べ、コミュニティハウスは民間ビル内や借り上げの建物、学校施設(学校内の施設は「コミュニティスクール」の名称も使われる)なども活用して設けているのが特徴
- 1990年代に市内の小・中学校を生涯教育の場として地域に開放したことがコミュニティハウスの原型とされており、市内全体では学校を使ったコミュニティハウス(学校施設活用型=コミュニティスクール)のほうが多い
- また、横浜市では、自宅に勉強部屋がない子どもが学習活動を行う場として「青少年図書館」という市民向け施設を1966(昭和41)年から1972(昭和47)年にかけて市内14区に設置したが、子供の数が減った1990年代後半以降に全世代向け施設としてリニューアルする際、コミュニティハウスに転換しており、学校型以外も増やしていった
- 港北区内では「港北区青少年図書館」(1968年開設、2000年廃止)から転換した「菊名コミュニティハウス」が学校型以外での第1号。学校型は日吉台中学校と下田小学校が1993(平成5)年5月の開設でもっとも古く、続いて1996(平成8)年4月には大綱中学校でもコミュニティハウス(港北区内で学校型はコミュニティスクールの名称を使用)が開設された
- 区内でのコミュニティハウス新設事例は、2008(平成20)年3月に樽町中学校の学区である師岡町のトレッサ横浜南棟内に「師岡コミュニティハウス」が開設され、2014(平成26)年には地域ケアプラザとの複合施設として新羽駅近くに「新羽コミュニティハウス」が設けられている。学校型(日吉台中、下田小、大綱中)を含め、たかたコミュニティハウスが区内7カ所目となる
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【参考リンク】
・港北区「横浜市たかたコミュニティハウス指定管理者(第1期)の公募について」(これから指定管理者の公募を実施する)
・横浜市会「市第50号議案 横浜市地区センター条例の一部改正(横浜市たかたコミュニティハウス設置によるもの)」(PDF、2023年12月18日横浜市会「市民・にぎわいスポーツ文化・消防委員会」)