甲子園での全国制覇から1カ月と1日後、厳しい試練が選手たちを待ち受けていました。
きのう(2023年)9月24日、サーティーフォー保土ケ谷球場(保土ケ谷区花見台)で開かれた「神奈川県高校野球秋季大会(秋の県大会)」のベスト4入りを目指す準々決勝で、慶應義塾高校(慶應塾高)(日吉4)は、0対4で桐光学園(川崎市麻生区)に敗戦。
来年春(2023年3月)に開催が予定されている春の甲子園大会(第95回記念センバツ大会)の選考に優位に働く関東大会出場(ベスト4)に届かないことから、「センバツ出場は絶望的」と各メディアで報じられています。
前日までの30度越えの暑さから、一気に秋めく気候の中行われた試合では、序盤から両エースによる投手戦を展開。
しかし、慶應塾高の先発・小宅(おやけ)雅己君が7回表に3番から7番打者まで四球もはさみ3連打を浴びて2失点。
1アウト満塁から途中交代した鈴木佳門(かもん)君も犠牲フライを打たれ3点目を失います。
9回表にも、4番・5番打者の連打からはじまり、ケガの治療でマウンドを降りた鈴木君に代わり、ライトの守備から再びマウンドに立った小宅君が8番打者のタイムリーヒットで4点目を失った後、点差を覆すことができずゲームセットに。
桐光学園はエースの法橋瑛良君が投打に活躍し、塾高打線をわずか3安打に抑えて完封。
5回裏に1アウト1、3塁のチャンスを迎えた塾高はその後の後続打者がランナーを返すことができず、1得点も挙げることができない悔しい敗戦となりました。
吹奏楽部やチア登場も「雰囲気作れず」
慶應塾高は、先月8月23日に夏の甲子園大会(第105回全国高等学校野球選手権大会)で107年ぶり優勝を飾って以来、わずか1カ月と1日後の「敗戦」となりました。
通常は、8月中・下旬からの「地区予選」(川崎・横浜北地区)からのスタートなるのが通常ですが、甲子園出場のため、塾高は予選大会の出場はなく県大会にシードで出場。
初戦となった9月10日の2回戦から4回戦まで危なげなく順調に勝ち上がってきたものの、いずれもコールドゲームで勝利をおさめてきただけに、今回の敗戦は、塾高を応援する観客にとっても大きなショックになっていたようです。
今大会では初登場となった吹奏楽部や、慶應女子高校によるチアリーディング、選手を激励する個別の声援も多く聞かれたものの、終盤に近付くにつれ、桐光学園のエース法橋君の好投と反比例するかのように、塾高ナインが“(桐光学園側優位の)雰囲気にのまれた”かの空気感が流れているかのようでした。
悔しさバネに「挑戦者」として奮闘を
ベンチ周りでは、全国的にも有名になった「ありがとう」という掛け声が響きわたり、「笑顔」もプレー中に多く見られた新チームの塾高選手たち。
しかし、時間と試合数の少なさなどから、また圧勝続きでの「競り勝つ」シーンを体現できていなかった“追われる”チームのプレッシャーが明らかに存在しているかの試合展開となりました。
夏の甲子園大会の結果を元に選ばれた「かごしま国体」(鹿児島県で高校野球は10月8日から11日まで開催)への出場はあるものの、新チームで臨む試合は、来年春(2024年3月)の春の川崎・横浜北地区予選(神奈川県高校野球春季大会の地区予選)まで待たねばなりません。
外野の開放こそなかったものの、内野席では多数の立ち見客も出現するほどに、多くの観客の熱き視線が注がれていた今回の試合。
「追われる」立場から新たな「挑戦者」として冬を越すことになった塾高ナインの奮闘を、来年の春、また日吉の街から見届けたいものです。
【関連記事】
・<高校野球>秋季県大会で慶應、武相、日大が勝ち上がる、等々力での対戦も(2023年9月12日)
・【前年記事】<慶應塾高>関東大会で準決勝進出、2023年「春のセンバツ」出場が有力に(2022年10月26日、昨年は秋の県大会で準優勝して関東大会に出場し、関東ベスト4に残ったことから春のセンバツ甲子園に選ばれている)
【参考リンク】
・神奈川県高校野球連盟公式サイト(大会情報、観戦案内も)※桐光学園は秋季県大会優勝(2023年10月1日追記)
・令和5年度 神奈川県高等学校野球秋季県大会「トーナメント表」(一球速報.com)
・「国民体育大会」予定・結果/組み合わせ(バーチャル高校野球)※昨年度(2022年度)はインターネットでライブ中継されていた