<夏の高校野球>慶應塾高が劇的な逆転勝利、5年ぶり“悲願”の甲子園出場 | 横浜日吉新聞

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9回表の劇的な逆転3ランで「夏の甲子園」出場の悲願を達成し、“日吉から日本一”の目標に挑みます。

平日の昼間にもかかわらず2万7000人の入場客数で賑わった高校野球神奈川大会の決勝戦。内野の前売り券や三塁側内野席券は売り切れ外野まで開放されていた(7月26日)

平日の昼間にもかかわらず2万7000人の入場客数で賑わった高校野球神奈川大会の決勝戦。内野の前売り券や三塁側内野席券は売り切れ外野まで開放されていた(7月26日)

今月(2023年)7月8日から始まった神奈川県大会に出場していた慶應義塾高校(慶應塾高)(日吉4)は、きのう7月26日に横浜スタジアムで行われた決勝戦横浜高校に6対5で逆転勝ちをおさめ、5年ぶり19回目(神奈川県代表としては6度目)となる「夏の甲子園大会」への出場を決めました。

猛暑のなか10時から始まった試合は、3回表に慶應塾高がエラーから出塁した走者を丸田湊斗君が左中間へ放ったタイムリー三塁打で先制。続く八木陽君がセンターに放った犠牲フライで2点目を挙げ、序盤に2点をリードして試合を進めます。

慶應塾高の先発ピッチャーは小宅(おやけ)雅己君。一昨日(7月24日)の東海大相模高校戦に続いての登板となりました。

7月24日の東海大相模戦でも先発した小宅君。7試合のうち5試合に登板、うち今回と同様に4試合で先発し「エース」として投手陣をリードした

7月24日の東海大相模戦でも先発した小宅君。7試合のうち5試合に登板、うち今回と同様に4試合で先発し「エース」として投手陣をリードした

4回までは無失点に抑えたものの、5回裏に横浜高校萩宗久君がソロ本塁打を放ち、2対1と1点差に迫られたところで、6回表に慶應塾高は渡辺憩君が犠牲フライを放ち、3対1と再びリードを広げます。

サインを出しつつ戦況を見つめる森林監督(右から2人目)

サインを出しつつ戦況を見つめる森林監督(右から2人目)

しかし6回裏、チャンスで打席に立った相手のエース・杉山遥希君のセンター越え2塁打などで3点を失い、3対4と逆転を許します。さらに7回裏には横浜高校の2年生9番打者・峯大翔君にライトスタンド上段に本塁打を叩き込まれ、3対5に差が広がるなか、慶應塾高は投手を2年生の鈴木佳門君に交代。

5試合でリリーフ登板しチームを支えた鈴木君。この日も好投を見せていた

5試合でリリーフ登板しチームを支えた鈴木君。この日も好投を見せていた

以降の失点は防いだものの、反撃したい8回表には調子を上げる相手のエース・杉山君三者三振を喫するなど、厳しい状況に陥ります。

3対5となり厳しい局面が続く中、大声援が逆転を後押し

3対5となり厳しい局面が続く中、大声援が逆転を後押し

2点差を追いつかなければ敗れてしまう9回表、慶應塾高は代打の安達英輝君がレフト前に放ったヒットで出た走者を、相手のエラーなどで1アウト2・3塁のチャンスにつなげます。ここで3番打者・渡邉千之亮君が粘ってフルカウントから振り抜いた打球はレフトスタンドに吸い込まれ、劇的な逆転3ラン本塁打となり6対5と土壇場で再びリード。

1アウト2・3塁のチャンスに登場した3番・渡邉(千)君。放った打球は劇的な逆転ホームランとなりレフトスタンドに吸い込まれていった

1アウト2・3塁のチャンスに登場した3番・渡邉(千)君。放った打球は劇的な逆転ホームランとなりレフトスタンドに吸い込まれていった

1点リードを奪って迎えた9回裏に登板した3年生投手の松井喜一君は、四球を出したものの横浜高校打線にヒットを許さず、慶應塾高が最後の最後で逆転勝利をおさめ、神奈川県大会で優勝を勝ち取りました。

最終回を無失点で抑えた松井君

最終回を無失点で抑えた松井君

優勝の瞬間、グラウンドに駆け出す選手たち

優勝の瞬間、グラウンドに駆け出す選手たち

「甲子園出場」の夢が叶った瞬間、マウンド上で喜びを爆発させていた

「甲子園出場」の夢が叶った瞬間、マウンド上で喜びを爆発させていた

単独優勝は61年ぶり、横浜高校の壁を乗り越える

昨年(2022年)秋の県大会の決勝戦では、横浜高校に3対6で敗れていた慶應塾高。

苦しい試合展開でも「勝利」を信じてきたという塾高選手たち

苦しい試合展開でも「勝利」を信じてきたという塾高選手たち

準優勝校として秋季関東大会に出場し、そこでベスト4入りしたことから、今年3月の春の選抜(センバツ)大会で甲子園に5年ぶりに出場しました。

春の甲子園では1回戦で前回優勝の仙台育英高校と対戦し、延長戦タイブレークに持ち込む激闘の末に惜敗となりましたが、続く5月の春の神奈川県大会でも優勝を果たし、今夏の大会で「第1シード」を獲得

スタンドからの熱い声援に笑顔も(試合中断時)

スタンドからの熱い声援に笑顔も(試合中断時)

7月10日の初戦から危なげなく勝ち抜き、準決勝では難敵の東海大相模を6回コールドで破るほど力を見せつけ、甲子園への出場をかけた横浜高校との決勝戦では苦しみながらも勝ちをもぎ取りました。

電光掲示板に「優勝 慶應義塾高等学校」の文字が表示された

電光掲示板に「優勝 慶應義塾高等学校」の文字が表示された

5年前の夏に慶應塾高が甲子園(2018年)へ出場した際は第100回の記念大会。県内2地区に分かれた「北神奈川大会」の代表として、「南神奈川大会」を制した横浜高校とともに出場しています。

校歌(塾歌)を高らかに斉唱する選手たち

校歌(塾歌)を高らかに斉唱する選手たち

純粋な「神奈川大会」を制しての優勝は61年前の1962(昭和37)年以来なく、2年連続で大会を制してきた横浜高校という大きな「壁」を乗り越えられるかに注目が集まっていたなかで快挙を遂げることになりました。

応援スタンド前に走り駆け寄る中、喜びを身体いっぱいに表現する選手の姿も

応援スタンド前に走り駆け寄る中、喜びを身体いっぱいに表現する選手の姿も

日吉駅で「号外」、センバツの悔しさ晴らす夏出場

7月24日に行われた準決勝で東海大相模を相手に12対1で6回コールド勝ちをおさめるなど今大会で見事な戦いを見せてきた慶應塾高ですが、「甲子園で目標とする“日本一”を達成するには、13回勝ち続けなければなりません」と、試合後のインタビューで森林貴彦監督はまだ現状での戦いが「道半ば」であることを強調します。

「優勝インタビュー」の後、スタンドに向け感謝の想いを表現する森林監督

「優勝インタビュー」の後、スタンドに向け感謝の想いを表現する森林監督

「前回(春のセンバツ大会)の初戦敗退の悔しさを晴らすためには、甲子園に出場するしかないと思っていました」と森林監督。まずは“日本一”へのチャレンジへの舞台に上ることができることの喜びをかみしめ、前回の悔しさをバネに戦いに挑む決意を熱く語っていました。

逆転3ランを放った渡邉(千)君も笑顔でインタビューに応じていた

逆転3ランを放った渡邉(千)君も笑顔でインタビューに応じていた

それでも、試合直後のインタビューでは涙を浮かべながら勝利の感動を述べるなど、その喜びをチーム運営に尽力したという主将の大村昊澄(そらと)君を始めとした一人ひとりの選手、そしてスタンドとも分かち合う姿が見られていました。

試合後の表彰式では4人の選手が優勝旗や賞状などを受け取った

決勝戦の入場者数は2万7000人(大会公式記録)と、猛暑の平日昼間とは思えないほどの観戦者が詰めかけた横浜スタジアム。

スタジアム内を一周

スタジアム内を一周

応援人数では横浜高校よりやや少ないと思われる状況でしたが、「スタンドからの大歓声に(夏の甲子園出場への)力をもらいました」と森林監督をはじめ多くの選手からは、塾高生や保護者、学校関係者などからの声援が甲子園出場の後押しになったといった感謝の言葉が多く聞かれました。

メディアも数十社訪れ最後まで取材を行っていた

メディアも数十社訪れ最後まで取材を行っていた

前回のセンバツ甲子園出場時に掲示された日吉の街での横断幕や、日吉駅での(東急電鉄駅員による)電光掲示板での応援のメッセージについても「嬉しかった」と語る選手もいるなど、“日吉の街からの激励”も届いた形での夏の甲子園出場。

歓喜の「胴上げ」シーン。森林監督、赤松衡樹(ひろき)野球部長・教諭、そして大村君(写真)が宙に舞った

歓喜の「胴上げ」シーン。森林監督、赤松衡樹(ひろき)野球部長・教諭、そして大村君(写真)が宙に舞った

試合後の15時頃には早くも日吉駅前で大手新聞社による号外が配られるなど、甲子園大会での戦いに向け、慶應義塾と日吉の街の盛り上がりに期待したいところです。

「夏の甲子園」での奮闘にも期待したい

「夏の甲子園」での奮闘にも期待したい

なお、第105回の記念大会となる「夏の甲子園」大会は、慶應義塾など全国から49校が参加し、組み合わせ抽選会を8月3日(木)に行ったのち、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で6日(日)から17日間にわたって開かれる予定です。

日吉駅前では早くも読売新聞社の「号外」が配られていた(15時頃)

日吉駅前では早くも読売新聞社の「号外」が配られていた(15時頃)

【慶應塾高「優勝」までの戦績】

)リンク先は「バーチャル高校野球」(朝日新聞社など運営)の試合結果ページ

【関連記事】

<夏の甲子園>慶應塾高の初戦は8月11日(金・祝)、全試合ネットで生中継も(2023年8月4日)※リンク追記

新横浜駅で「夏の甲子園」に向け壮行会、“慶應塾高”らしさで夢の舞台へ(新横浜新聞~しんよこ新聞、2023年8月3日)※リンク追記

日吉から「全国制覇」目指す塾高野球部、甲子園出場を“地域から”盛り上げる(2023年8月2日)※リンク追記

<慶應塾高>センバツ甲子園は延長タイブレーク、敗戦なるも“大歓声”が後押し(2023年3月21日、今年の「センバツ甲子園」出場時のレポート記事)

・【過去記事】高知商の強力打線を止められず、慶應塾高の10年ぶり「夏の甲子園」は2回戦で終える(2018年8月12日、前回「夏の甲子園」出場時のレポート記事)

【参考リンク】

第105回「全国高等学校野球選手権記念大会(夏の甲子園大会)」の案内ページ(2023年8月3日に抽選会、6日に開幕、日本高等学校野球連盟)

神奈川大会決勝「慶応vs横浜」のスコアとダイジェスト映像(バーチャル高校野球)

慶應義塾高等学校野球部サイト(活動情報など)


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