<東急2023年3月期>交通事業が黒字回復、輸送人員は電鉄10%増、バス7%増 | 横浜日吉新聞

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新型コロナ禍前の経営環境に近づきつつあります。東急株式会社は2023年3月期の通期決算を先週(2023年)5月11日に発表し、子会社である東急電鉄や東急バスの需要回復などで増収増益を達成しました。

今期(2022年4月~2023年3月)の営業収益(売上高)は、前期比5.9%増の9312億9300万円となり、本業のもうけである営業利益は同41.4%増の446億300万円まで戻しています。

東急の営業収益(売上高)と営業利益の推移。営業収益が1兆1000億円を超えていた新型コロナ禍前の2019年度水準までは回復していないが、営業利益は好転しつつある(2023年3月期決算説明会資料より)

鉄道(東急電鉄、伊豆急行ほか)とバス(東急バスほか)、空港事業(仙台国際空港の運営ほか)などを含めた「交通事業」で見ると、今期の営業収益(売上高)は同10.5%増の1840億5400万円、前年は39億3700万円の損失を出していた営業利益は85億3800万円を確保し、黒字に転換しました。

「交通」など4つのセグメント(事業)ごとの業績推移、今期は交通事業が黒字に転換。もっとも額の大きい「生活サービス事業」には東急百貨店や東急ストア、イッツ・コミュニケーションズ、東急エージェンシーなどが入っている(2023年3月期決算説明会資料より)

東急電鉄では輸送人員が前年比10.2%増となり、運賃収入は同11.7%増の1203億4100万円。「定期外」での輸送人員と運賃収入が伸びています。

定期外の輸送人員が同14.5%増となっていた一方、「定期」では同7.0%の増加にとどまっています。また、新型コロナウイルス禍前の2019年度と比べると輸送人員はまだ16.7%少ない状況です。

新型コロナ禍後の輸送人員は定期外の客を中心に増えつつあるが、定期客の戻りが鈍い(写真はイメージ)

新型コロナ禍後に落ち込み幅(マイナス24.8%)が大きくなっている定期の輸送人員を新たな移動需要の喚起などでどこまで補えるかが鍵となりそうです。

なお、東急バスの輸送人員は前期と比べ7.2%増加し、子会社の東急トランセを含めた営業収益(売上)は254億円(前期比9.3%増)。前期は11億円の損失となっていた営業利益は8億円を確保しました。

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【参考リンク】

東急株式会社「株主・投資家のみなさまへ」(IR関連の総合ページ)


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