<東急電鉄>定期券客へ一歩踏み出したサービスを提供、使い放題など実験

横浜日吉新聞

“コロナ時代”の通勤・通学スタイルを見据え、東急電鉄が定期券客に対して一歩踏み出したサービスを提供します。来月(2021年)5月12日(木)から7月31日(水)までの約3カ月間、モバイルバッテリーのレンタルサービスや小型の電動アシスト自転車、駅カサ(傘)などが一定金額や無料で使い放題となるサービス「TuyTuy(ツイツイ)」の実証実験が行われます。

東急電鉄による「TuyTuy(ツイツイ)」の公式サイト

来月5月12日から東急電鉄が始めるTuyTuy(ツイツイ)では、東急線を含むPASUMO(パスモ)の定期券(モバイル定期券含む、磁気定期券やSuica定期券は対象外)を持つ客全員を対象としたサービスで、“ついつい利用したくなる”という思いから名付けたといいます。

今回の実証実験の期間中に無料(5・6月)または500円(7月)で提供されるサービスは、次の6種類。

  • 充レン」(モバイルバッテリーレンタルサービス):期間中何度でも使い放題(運営:東京電力エナジーパートナー株式会社)日吉駅改札口内外、綱島駅改札内など全国約2300カ所に設置
  • LUUP(ループ)」(電動マイクロモビリティ=小型電動自転車など=シェアリングサービス):月に5回(1回につき30分)まで利用可能(運営:株式会社Luup)渋谷駅東口地下駐輪場や東急ストア中目黒本店、渋谷区や港区など首都圏に約300ポートを設置
  • アイカサ」(傘シェアリングサービス):月に何時間でも何度でも同時に2本まで使い放題(運営:株式会社Nature Innovation Group)日吉駅構内日吉東急アベニュー前など全国約850カ所にスポット設置(今後、東横線全駅に設置予定)
  • パンスク」(パンの定期便サービス):初回利用に限り1000円引き(運営:株式会社パンフォーユー)
  • ハナノヒ」(花の定額制サービス):初回登録に限り月に6回まで1回1本、対象の切り花を店舗で受取可能(クーポンは6月1日~6月30日の1カ月間のみ配布)(運営:株式会社日比谷花壇)
  • TuyTuyワンデーパス」(東急線全線一日乗車券):不定期配信(東急電鉄)

「TuyTuy(ツイツイ)」のサービス利用は、公式LINEアカウントへの友だち登録などが必要となる(東急電鉄のニュースリリースより)

上記のサービスを受けるには、TuyTuy(ツイツイ)のLINE公式アカウントに「友だち」追加したうえで、電話番号とPASMO ID番号などの情報を入力し、クーポンコードを受け取って利用する形となります。7月の有料時(500円)は、クレジットカードでの決済が必要。

今回提供されるサービスのうち、モバイルバッテリーレンタルサービスの「充レン」は、日吉駅や綱島駅でもサービスを開始しており、傘レンタルの「アイカサ」は日吉駅に設置され、今後は綱島駅でも展開予定。勤務・通学先だけでなく、地元でも利用が可能となっており、定期券を持つ人は、実証実験に参加してみる価値はありそうです。

直面する通勤客減、定期客に付加価値

2020年3月に実証実験を行う予定だった「東急線・東急バス サブスクパス」

東急グループは、昨年(2020年)3月に鉄道やバスに加え、傘下の映画館「109シネマズ」や駅そば「しぶそば」が定額で使い放題・食べ放題となる定額制(サブスクリプション)の実証実験「東急線・東急バス サブスクパス」を初めて販売。

直後の新型コロナウイルス禍で実証実験はほとんど行えなかったものの、少子高齢化によって沿線人口の減少が予想されるなか、鉄道やバス利用者とグループ内の商業・サービス施設を結びつける試みを始めていました。

今年2月から通勤用高速バスの運行実験も

昨年春以降の新型コロナウイルス禍を受け、テレワーク(在宅勤務)の進展による通勤客減少という課題に対しては、今年2月から通勤用高速バス(新羽営業所~たまプラーザ駅~渋谷駅~東京駅)の運行や、テレワーク向けのワーキングスペースの提供などといった「DENTO(デント)」と名付けたサービスの実証実験も実施。

鉄道会社にとって、もっとも接点が大きい定期券客に対し、“移動”というサービスを充実させ、さまざまな付加価値も提供することにより、顧客のつなぎ止めを図るとともに、通勤・通学客を起点とした新たなサービスのあり方を模索している最中です。

日吉駅構内に置かれている傘レンタルサービス「アイカサ」(2020年10月)

今回の「TuyTuy(ツイツイ)」のように、PASMO(パスモ)定期券とスマートフォンを使った各種サービスを結びつけることで、定期券客の行動を細かく分析することが可能になり、“コロナ時代”のニーズに合わせた新たなサービスを提供するうえで貴重なデータとなりそう。

また、東急グループが重要視する渋谷に本社を置くLUUP(ループ)やアイカサの運営会社といったベンチャー企業を巻き込むことで、沿線企業の育成も期待できます。

新型コロナ禍で朝のラッシュ時間でも通勤・通学客は減っている(2021年2月、日吉駅)

ただ、今回の実証実験では、スマートフォンを使いこなせない層だけでなく、JR東日本が発行する「Suica」を使っている定期券客は対象外とするなど、データ収集のためか対象者を狭めています。

実証実験を終えた後には、アーリーアダプターと呼ばれるような流行に敏感な層だけでなく、東急の沿線住民が広く使えるサービスの提供を期待したいところです。

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【参考リンク】

TuyTuy(ツイツイ)公式サイト(東急電鉄)

2021年5月12日、サブスクリプション型のサービス「TuyTuy」(ツイツイ)開始~定期券保有に新たな付加価値を創造します(東急電鉄)


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