師岡の町に神輿(みこし)を曳く子どもたちの声が3年ぶりに響き、神社の境内に「子ども神輿」がずらり勢ぞろいしました。
師岡町祭礼委員会は、先週(2022年)8月20日(土)と21日(日)に3年ぶりとなる「お祭り(師岡町御祭礼)」をおこないました。
師岡熊野神社の例祭(例大祭)の神賑(かみにぎわい)行事として、20日(土)には、神社内の「表谷戸」のほか、師岡町会館の「南谷戸」、環状2号線沿いに置かれた「仲谷戸」、そして打越第二公園の「打越谷戸」などに「神酒所」を開設。
同日夕方からは「宵宮(よいみや)祭(前夜祭)」で、声楽やギター演奏、和太鼓などの奉納演芸会や福引き抽選会を神社内でおこないました。
翌21日(日)の「本祭」では、大人神輿(みこし)が町内を巡回、子ども神輿(山車=だし)は各神酒所から同神社まで運ばれ、境内に一斉に集まる様子が見られました。
「宵宮祭」では地元ゆかりの出演者、露店にもにぎわい
20日(土)におこなわれた宵宮祭、また21日の本祭の日には、師岡熊野神社の鳥居前に、焼鳥やたこ焼きといった「露店」が10店ほど並び、夕方になると行列も見られました。
小雨模様のなか、本殿前では福引き抽選会の抽選券配布に長い行列ができ、用意していた400枚が数分でなくなるという盛況ぶり。
祭礼の委員のうちの一人は、「(コロナ対策で)広報を敢えて大掛かりにおこなわなかったのに、こんなに多くの人が来てくれるとは」と驚きの表情を浮かべていました。
本殿横に特設されたステージでは、「奉納演芸会」として、地元に住んでいるという吉野陽香さんが声楽を披露。
続いてフォーク界ではその存在が知られている、地元ゆかりの永田幸一さんが登場。
ギターとハーモニカで、佐藤公彦(ケメ)の著名曲で、永田さんが作詞に携わったという「バイオリンのおけいこ」(1974年)などを弾き語りし、聴衆からの注目を集めていました。
最後は、鶴見区や川崎市を拠点に活動しているという和太鼓教室の「耀座(かがやきざ)」が登場、華やかな太鼓の音を境内に響かせていました。
「コロナ対策」で安心・安全に祭りをおこなう“挑戦”
師岡町では、新型コロナウイルス感染症対策のため、過去2年間は街ぐるみでの祭礼、特に子どもたちが参加するスタイルでのお祭りをおこなうことができませんでした。
「地域コミュニティーの活性を引き出す活動としてのお祭りを開催しないことは、“地域の危機”という認識でした」と、祭礼委員会の委員長で同神社氏子総代表を務め2年になるという鈴木聡さん。
開催にあたり、新型コロナウイルスの感染状況を、横浜市が発表した年代別や症状別のデータによる分析。祭礼委員会の話し合いを重ねた上、開催10日前に決定したと明かします。
特に、開催に向けた基本姿勢として、「祭礼行事への参加者は、参加・不参加、または参加する範囲・時間をそれぞれが判断して決める。一人一人の判断を相互に尊重し、受け入れることにしました」と、参加するか、しないかについては、個々の判断にまずは委ねることに。
参加申し込みをインターネット上で募り、安全な開催を徹底するため、医療専門家から感染症予防のアドバイスを受けたほか、行事運営に携わるメンバーについては、コロナ対策としての「体調管理シート」を用いての検温も、参加日の3日前から継続して実施。
熱中症を予防するための「熱中症計」でその危険性があるかの科学的な予防もおこなうことでの、客観的な診断の上での祭礼の開催となりました。
また、今回は、「祭りは、祭りをともにつくり、ともに楽しみたい人が集まり協働によって興されていくもの」(鈴木さん)として、一人ひとりが何をすべきか、トップダウンで物事を進めることなく、より一層の“自主性”を重んじての工夫をおこないながら、祭りの運営をおこなってきたとのこと。
本祭のクライマックスとなる21日の大人神輿・子ども神輿の「還御祭」(神様を神輿から本殿にもどす神事)では、石川正人宮司や鈴木さんが、無事に祭りを終えたことへの安堵の表情を浮かべてのあいさつをおこなっていました。
参加するか、しないかも含め、「個々の意思」を尊重し、その中でも、一人一人が「地域の祭りに参加したい」という想いを体現したかの今回の師岡町での祭礼実施は、この秋に向けての地域の祭りの実施判断にも、大きな影響を与えることになりそうです。
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