低い建物の良好な住宅街を形作る一方で規制の厳しさから店舗を出店しづらい「第一種低層住居専用地域」を一部で見直す計画が横浜市全域で進められており、港北区内では地下鉄グリーンライン・日吉本町駅の駅舎側や、新吉田東のバス通りなどが対象となりました。
市建築局は土地の利用ルールを定めた「用途地域」を見直すための都市計画市素案(案)をまとめ、今月(2022年)10月24日(月)の19時から港北公会堂で説明会を開くほか、公式サイト上に説明会動画と資料を公開し、11月30日(水)まで意見書の受付を行っています。
横浜市では用途地域を13種類に分けて指定しており、このうち「第一種低層住居専用地域」が市域の40%超を占めており、これは政令市のなかでも突出して高い割合だといいます。
第一種低層住居専用地域は、低層の一戸建て住宅などしか建てられないため良好な住宅街の環境を保つことができる一方、店舗を設ける場合は住宅兼用の形かつ店舗の床面積は50平方メートル以下などの厳しい制限が設けられています。
そのため、第一種低層住居専用地域に指定されている住宅街では、コンビニエンスストアなどの日用品を購入できる店舗が近くにまったく見当たらない地域も存在し、市では超高齢化社会を迎えるなかで大きな課題として認識。
加えて、新型コロナウイルス禍にともなう生活スタイルの変化もあり、住宅街であっても身近な場所での買物ニーズが高まっているといいます。
こうした背景から、市は8万平方メートル以上のまとまった第一種低層住居専用地域のうち、主要道路などの沿道を「第二種低層住居専用地域」へ変更することを計画。
第二種低層住居専用地域は、低層の建物しか建てられない制限は維持しつつも、床面積150平方メートル以下なら独立した店舗が設けることができるため、変更によって住宅街の主要道路沿いなどにコンビニや喫茶店、パン屋といった店舗を誘導したい考えです。
駅ができても店舗は建てられない
今回の変更を盛り込んだ市の素案(案)では、港北区内の日吉本町駅の駅舎側(日吉本町5丁目など)や、新吉田東4丁目から7丁目などが対象となりました。
日吉本町駅は、道路を隔てて駅の真正面にあたる日吉本町3丁目側は独立した店舗やマンションが建てられる「第一種中高層住居専用地域」となっていますが、駅舎(日吉本町西町会「いきいき会館」併設)が置かれた日吉本町5丁目側は、2008(平成20)年3月の駅開業前から第一種低層住居専用地域に指定されていました。
そのため、駅舎側の沿道には店舗がほとんど無く、あっても住居兼用の小規模なものにとどまっているのが現状です。
今回、駅舎側の道路に面した約1万3000平方メートルを対象に第二種低層住居専用地域に変更する方針としています。
また、新吉田東でも同様に変更を計画。「新田農協前バス停」付近から「四ツ家バス停」の手前にかけての新吉田東4・5丁目のバス通り沿いを第二種に変える考えです。
加えて、「新吉田小学校南」と「町内会館前」の両バス停付近の新吉田東6・7丁目を中心に、バス通りに面した第一種中高層住居専用地域も第二種に変更する予定です。
なお、港北区内では小机町の城郷中学校付近のバス通りで同様の変更が行われるほか、新吉田東5丁目などでは容積率の緩和も計画に盛り込まれていました。
【参考リンク】
・用途地域等の全市的な見直し(横浜市建築局、今回の見直し全般について)
・都市計画市素案(案)説明会の開催について(説明動画・資料も掲載、港北公会堂での説明会は10月24日に開催)(※)期間(11月30日)を過ぎるとページが消去される場合あり
・都市計画市素案(案)候補地区(港北区)(港北区内の変更点をPDFで公表)(※)期間(11月30日)を過ぎるとページが消去される場合あり
・都市計画市素案(案)の縦覧及び意見書の受付について(2022年11月30日まで受付中)(※)期間(11月30日)を過ぎるとページが消去される場合あり
・横浜市行政地図情報提供システム「iマッピー」(用途地域を調べることができる)