樽町に3人の新会長が誕生。3年ぶりの防災訓練も――樽町1丁目から4丁目の9つの町内会・自治会で組織されている「樽町連合町内会」(小泉亨会長)では、今年度(2022年度)から3つの自治会・町内会で新会長が就任。
先月(2022年)6月12日(日)におこなわれた、3年ぶりとなる横浜市立樽町中学校(樽町4)を地域防災拠点とする「樽町合同防災訓練」を実施するなど、新型コロナウイルス感染症の影響を残しながらも、少しずつ地域活動を再開しています。
樽町地区にある樽町町内会、樽町第一親和会、樽町第二親和会、樽町第三親和会、大倉山自治会、琵琶畑自治会、樽町サンハイツ自治会、ガーデンコート自治会、パークシティ綱島自治会の9つの自治会・町内会からなる「樽町連合町内会」。
そのうち、樽町町内会と樽町サンハイツ自治会、ガーデンコート自治会の3つの自治会・町内会で新会長が就任し、新たな年度の活動をスタートしています。
「樽町町内会」の鈴木新会長は400年来の“家”を継承
樽町1丁目の多くと2丁目の一部、3丁目と4丁目の全域(パークシティ綱島を除く)をエリアとする約2600世帯の「樽町町内会」では、鈴木孝利(たかとし)さんが新会長に就任しています。
400年以上続く鈴木家の歴史を継ぐ家に生まれたという鈴木さん。「明治時代の記録によれば、この近辺は8割ほど田んぼでした」と、今とは異なる樽町の風景、古くから続く地域の歴史を語ります。
大手鉄道グループの流通会社で13年間勤務した後、30代になり地元に戻り、現在も親から継いだ造園業や不動産業に従事しているといいます。
町内会活動に参加していたきっかけは、祖父の時代から代々加入していた港北消防団第四分団に入団したこと。28年間所属し6年前に引退したという鈴木さん。
第四分団第3班の班長、部長、副分団長も担当していたことから、町内会活動もおこなうことになったといいます。
樽町町内会の3つのエリア(西地区、中地区、東地区)のうち「西地区」の副会長を6年間おこなっていたことから、前会長の引退にともない、今回新たに会長に。
「特に会社員時代に“人を育てる”という経験をおこなってきたことが今に通じていると感じます」と鈴木さん。
樽町の街の良さについては、「樽町は住むにはいい街。師岡町にかけて広がる熊野神社市民の森も昔のまま残っています」と、かつて広がっていた自然あふれる風景をさらに継承していきたいという想いも抱いているかのように映ります。
これから取り組みたいことについては「いままでと同じなのですが、防災、環境、防犯には力を入れていきたい」とのこと。
「コロナ禍」を乗り越え3月には防災訓練を3地区に分かれて実施し、AEDの取り扱いや消火の方法についても確認することができました」と、自身これまで取り組んできた「防災」には特に力を入れていきたいと感じているといいます。
“環境活動”については、「春と秋に、普段できない街の一斉清掃を住民の方とおこなっています。環境をよくすることで、子どもたちも気持ちよく過ごすことができます」と、その活動の必要性についても説明します。
防犯については、青色回転灯を装備した防犯パトロール車、通称「青パト」での巡回活動や、連合町内会ぐるみでのパトロール活動にも力を入れていきたいとの思いを語ります。
会長に就任したことで、「三役会はじめ、皆さんの意見をより反映していきたい」と語る鈴木さん。
「何事も、1人では活動をおこなうことはできない」と語る鈴木さんの、長く地域で育まれた“知恵”が、多く人々の活動を励ますことにつながりそうです。
2つのマンションで新会長、「初めての地域活動」
また、樽町2丁目の「樽町サンハイツ自治会」では佐藤治朗(はるお)さん、「ガーデンコート自治会」では高瀬学さんがそれぞれ新会長に就任しています。
佐藤さん、高瀬さんともに地域活動に参加するのは初めて。いずれも仕事をおこないながらその役割にあたるといいます。
佐藤さんは、かつて綱島公園(綱島台)近くに居住。「坂道がいよいよ辛くなり、坂が少ない樽町への転居を決めました」と、“若い人が多い”と感じるという樽町の雰囲気について語ります。
横浜市戸塚区出身の高瀬さんは、携帯電話など通信関連の業務に従事。かつて若い頃に綱島近郊に在住したこともあるといいます。
「樽町に引っ越した後、仕事の転勤で兵庫県に9年ほど赴任していた期間もありました」と、3年前にまた樽町に戻ってきたというエピソードも。
高瀬さんは、“未知なる地域活動”に臨むなか、「少しずつ再開していくイベントにもしっかりと対応していきたい」と、これからの意気込みを語っていました。
IT活用し情報発信、「防災訓練」でデータ活用も
「樽町連合町内会」では、地域住民の地域参加を促すため、インターネット版の広報ツール「思いあいのまち樽町」を2016(平成28)年7月に開設。
新型コロナ禍の最中だった2020年12月には「LINE公式アカウント」を取得、翌2021年1月からは「樽町LINE掲示板」を開設し、1年間で友だち500人達成するといった「IT活用」での成果を上げてきていました。
地域活動が少しずつ再開するなか、先月おこなわれた「樽町合同防災訓練」でも、参加者が記入した避難カードの情報を、試験的に受付側がタブレット端末で順次登録。
「ほぼリアルタイム」で避難者情報を見える化する試みをおこない、「まずは成功といえたと思います。今後、大規模な地震などの災害があった際の“所在不明者”の確認といった側面でも活用を検討していきたい」と、小泉さんは、地域での情報伝達手段からさらに踏み込んだIT活用をおこなっていきたいと意気込みます。
子育て世代を中心に人口流入も続くとみられる樽町エリアの新たな「地域コミュニティ」が躍動する姿、特にITを活用した情報の伝達や共有が地域エリアにもたらすメリットについても、これからさらに広く周知されていくことになりそうです。
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【参考リンク】
・「思いあいのまち樽町」(樽町連合町内会・社会福祉協議会情報グループ)
・樽町連合町内会の紹介(港北区連合町内会)