コロナ禍で「お店の空き状況を知りたい」という要望に応えるチャレンジを行っています。
スマートフォン（スマホ）で見る、店舗の空き状況や混雑状況を表示する「バカンマップス（VACAN Maps）」。予め店舗側が開店・閉店時間や事前に把握した混雑予想を設定しておくこともできるという
日吉駅西口一帯（日吉本町1～日吉2）に位置する日吉商店街では、インターネットにつながるモノ（IoTデバイス＝IoT： Internet of Thingsの略）の技術を活用したビジネスモデルの開発事業者と商店街を結ぶ横浜市経済局（中区）による取り組みにより、今月（2021年）6月1日から7月31日までの2カ月間、新たなシステムを試験的に導入しています。
このシステムは、店舗の空き状況や混雑状況をインターネット上の「マップ（地図）」を使い発信するシステム「バカンマップス（VACAN Maps）」を運営する株式会社バカン（東京都千代田区、河野剛進社長）が提供したもので、導入費用は提案事業者である同社が全額負担。
利用者はスマートフォン（スマホ）やパソコンでのインターネット上で閲覧可。参加店舗は写真や営業時間などの詳細を掲載することもできる
日吉商店街エリアにある15店舗が参加し、同社が用意した専用入力端末（ボタン端末）やスマートフォン（スマホ）などを通じてリアルタイムの混雑状況を発信、その結果をインターネット上に表示しています。
「導入してみたら、意外とシステムの入力に手間取る店舗も多く、最初は苦労しました」と語るのは、同サービスの窓口となっている普通部通り会（日吉本町1）所属でたつ吉グループ（同）社長の島名貴子さん。
店舗側には、空き状況を選択できる「ボタン」の貸し出しも
新型コロナウイルス感染症対策で、島名さんの店舗でも「空きがあることに需要を感じるシーンも増えています」と、“空いている”ことがセールスの対象となると感じているものの、実際に各店舗に声かけを行ったところ、“空いていることを知らせたくない”店舗が存外多かったと語ります。
参加店舗の1つで「SOBAダイニングカフェそば香」日吉店（日吉2）店長の高久優助さんは、「常連のお客様が、一瞬、当店が混雑している状況を見て、店舗を行き来されるケースが多いので、予め混雑状況をお知らせできるのは、お客様の立場に立ってみても大切な情報なのではないかと感じています」と、同システムの採用を決定したいきさつを説明、各項目の入力を試みていました。
「今、空いている」かどうかが、来店の基準となることも（SOBAダイニングカフェそば香 日吉店）
市経済局は、商店街を対象としAIやIoTといった先端技術の普及の促進を行う「I・TOP横浜」によるプロジェクト創出を行う理由として、「市内商店街に対しては店舗が新たなサービスを試験導入することで、効率的な店舗運営の気づきとなることを期待するとともに、商店街の活性化に繋（つな）がることを期待します」としています。
日吉地区でも新たにスタートした「試験導入」のチャレンジ、そしてその成果により、地域の店舗利用者のみならず、店舗を運営する方にも「新しいイノベーションの風」を吹かせることができるのかに注目が集まりそうです。
「お客様、また店舗の皆様も、今回のシステムをぜひご利用ください」と呼び掛ける島名さん、高久さん（右）
なお、期間中は日吉商店街エリアにある店舗は「試験導入」が可能とのことで、「詳細はお近くの商店街担当者にお問い合わせください」（島名さん）とのことです。
【関連記事】
・「モノのインターネット」は商店街とどうつながる？市が日吉の活性化で提案（2021年3月5日）
【参考リンク】
・VACAN Maps（バカンマップス）（株式会社バカン）※港北区へのリンク。日吉エリアの各店舗の混雑状況は、各店舗情報の記載またはマップを拡大し確認できる。期間終了後は、有償での契約継続（店舗側）も可能だという
・日吉商店街で、コロナ禍の安全安心を提供する取組を開始 ～店舗の混雑状況を、リアルタイムに可視化（横浜市記者発表資料）
