マスク姿で飲食店応援のメッセージも発信――東急線日吉駅(日吉2)に佇(たたず)む、東急線キャラクター「のるるん」の、季節や、時節により変化する装い・アレンジが、利用客を日々和ませています。
日吉駅の地上改札脇に置かれた2体の「のるるん」人形こと、「のるるん着せ替えぬいぐるみ」。各駅に“配属”されたというこの東急線のマスコットキャラクターは、2002(平成14)年5月生まれ、出身地は、東京ではなく、「神奈川県横浜市」。
2013(平成25)年3月の、東急東横線と東京メトロ副都心線の相互直通運転を前にデビューを果たしたこのキャラクターは、「人と環境に優しい車両」をコンセプトとして、“のるるん”の誕生月と同じ2002年5月に登場した主力車両の「5000系」をモチーフにデザインされたといいます。
日吉東急アベニュー(日吉2)のイベントで、日吉駅にも「巨大着ぐるみ」の“のるるん”が、ここ数年たびたび来訪。各駅の売店でもグッズ販売が行われるなど、多く利用者にも親しまれている同キャラクターですが、のるるんが初めて「着替え」を始めたのは、2018(平成30)年の冬・12月、クリスマス・シーズンを迎えた頃のこと。
この時のエピソードを語るのは、前月(同11月)に日吉駅に着任したばかりだったという主任の丸山広勝さん。
「100円ショップで、クリスマス帽子を買ってきたのがきっかけでした」と、ちょっとしたアイデアが、現在まで続く“のるるん”のアレンジにつながっていると、当時の状況を懐かしそうに振り返ります。
以降も、お正月やバレンタイン、卒業・入学シーズンやこいのぼり、カブトムシや食欲・芸術の秋など、季節の装いを重ねてきた“のるるん”たちの風景。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、今年(2020)年の日吉駅では、慶應義塾大学(日吉4)の日吉記念館が3月に竣工したにもかかわらず、卒業式や入学式も実施できず、各学校も臨時休校やオンライン授業などで、生徒の姿も見えない状況となるなど、例年と異なる光景が続いています。
それでも通勤などで鉄道を利用する人々を見守ろうと、新たにマスク姿となった“のるるん”は、ステイホームを呼び掛ける部屋の中に籠ったり、ぬり絵にチャレンジしたり、消毒液を利用したり、飲食店テイクアウトを応援したりと、様々なアレンジで、日々、駅を行き交う人々への「メッセージ」を発信しています。
日吉駅の駅長としてこの4月に着任したばかりの佐藤武志さんは、「駅員たちが、自ら考えて取り組んだ“のるるん”のアレンジとなっています。緊急事態宣言の状況下でも駅を利用されるお客様に和んでいただくと同時に、マスク着用や時差出勤、テレワーク活用といったメッセージも受け取ってもらえれば」と、ここ最近の装いに込めた想いについても説明します。
丸山さんは、「違うバージョンに変更すると、すぐにツイッターなどのSNSで、多く利用客の皆様に写真を掲載いただき、嬉しく思っています」と、その反響に驚き、またこれからも継続し“のるるん”アレンジに取り組んでいきたいとのこと。
今年の夏は、“コロナ禍”の影響もあり、通常の夏と異なる風景となることも予想されますが、「夏にも装いを変更したいですね。海をイメージし、サーフボードを片手に持ってもらおうかな」と佐藤さん。
駅員一人ひとりが意見を出し合い、時にはハンドメイド(手作り)でのパーツ作成にも挑戦しているという、日吉駅の“のるるん”たちの「着せ替え」アレンジ。
「東急電鉄を利用されるお客様は6割から7割も減少」(同社広報担当・5月21日現在)していることもあり、例年にはなかった光景が日々続いています。
それでも鉄道を利用する人々を、“ほっ”とした空間へと誘(いざな)うためにと、日々工夫を凝らす駅員たちのささやかなチャレンジに、これからも多く“のるるん”ファンたちからの激励が寄せられていきそうです。
【のるるん歳時記(東急日吉駅提供)】
【参考リンク】
・東急線を知る~のるるんのこと(東急電鉄株式会社)