【コラム】どう楽しめばいいのでしょうか――。来月(2019年)9月20日(金)開幕の「ラグビーワールドカップ(W杯)」まで残り1カ月となりました。

横浜独自の観戦ガイドも制作されている(横浜ラグビー情報より)
同じ港北区内の日産スタジアム(横浜国際総合競技場)が主要会場となっていることもあって、周辺でその名を聞く機会は増えているものの、それほど大きく盛り上がっているとは言えないのも事実。
来年7月に開かれる「東京2020オリンピック・パラリンピック大会」では、チケット販売から暑さ対策まで、あらゆるニュースが洪水のように日々流される一方、同じ世界大会でも、ラグビーW杯は主にスポーツ情報として取り上げられる程度です。
これは、今大会でメインといえる試合会場があるエリアに住む“地元住民”としては少し残念なこと。開幕前に知っておきたい情報をまとめました。
“8強”が支配してきたラグビーW杯
ラグビーW杯は「オリンピック、サッカーワールドカップと並ぶ世界3大イベントの一つ」(横浜ラグビー情報サイト)とも言われていますが、サッカーのW杯と比べ、ラグビー自体がルールの難しさやテレビ中継の少なさもあって、日本ではそれほどメジャーな存在ではありません。
というのも、世界のラグビーは、オールブラックスの名で知られる「ニュージーランド」を筆頭に、隣の「オーストラリア」、さらに英国を構成する「ウェールズ」「イングランド」「スコットランド」という“3つの国”と、さらには隣の「アイルランド」(英国領の北アイルランド含む)という“英国系”に加え、「南アフリカ共和国」と「フランス」が強豪国。
英国と歴史的に関係深い「英国系6チーム」と南アフリカ、フランスの計8チームによってトップの座を争ってきたのがラグビーW杯で、ここに挙げたチーム以外が優勝・準優勝となったことはなく、ただ一度だけアルゼンチンが3位に入ったケースがあるに過ぎません。
そんな「8強による、8強のため」といえる大会ですが、日本はアジアを代表する存在として、1987年の第一回大会からすべて出場。ただ、いずれも予選プール(一次リーグ)で敗退し続けてきた歴史もあり、日本国内で注目を浴びる機会は多くありませんでした。
ところが前回、2015年のW杯予選プールで日本がW杯優勝2回の最強豪国である南アフリカに勝利するという“大番狂わせ”を起こしたことで、8強を中心とした世界のラグビー界は大騒ぎ。
日本国内でも、当時の代表だった五郎丸歩(ごろうまる・あゆむ)選手による独特なポーズが話題となるなど、日本の存在感がようやく国内外で強まるようになりました。
8月現在、日本の世界ランキングは「9位」にまで上昇しており、ラグビー界を支配する8強を“倒せる可能性を持つ存在”にまで急成長を遂げています。
日本代表の試合は地上波で楽しめる
そんな急成長中の日本代表が”8強”に迫れるか、という部分を追うのもラグビーW杯の楽しみ方のひとつ。各予選プールは5チームで争い、2位までに入ると決勝トーナメントへ進出となります。

日本代表の予選プールは4試合、決勝トーナメント進出には格上であるアイルランド戦とスコットランド戦が鍵となりそう(大会公式サイトより)
日本代表は予選プール4試合のうち、8強であるアイルランドとスコットランドとの2試合が組まれており、世界ランキングで“格下”となるロシアとサモア戦での勝利に加え、8強チームのどちらかに勝たないと、予選プールで敗退する可能性が高いとみられています。
▼ 日本代表(世界ランキング9位)の試合日程
- 9月20日(金)19:45~ロシア戦(世界ランキング20位)(東京都調布市・味の素スタジアム)【日本テレビ系/NHKBS】
- 9月28日(土)16:15~アイルランド戦(世界ランキング3位)(静岡県袋井市・エコパスタジアム)【NHK地上波】
- 10月5日(土)19:30~サモア戦(世界ランキング16位)(愛知県豊田市・豊田スタジアム)【日本テレビ系】
- 10月13日(日)19:45~スコットランド戦(世界ランキング7位)(港北区・日産スタジアム)【日本テレビ系】
4試合ともに日本テレビ系列またはNHKでの生中継が予定されており、テレビでの観戦が楽しめます。

ラグビーW杯は主に日本テレビ系列が中継を行う(特設サイトより)
特に10月13日(日)に日産スタジアムで行われるスコットランド戦は、決勝トーナメント進出をかけた一戦となる可能性が高いとみられています。
なお、日本は予選を突破したとしても、決勝トーナメント第一戦となる準々決勝(東京・味スタ)では、ニュージーランドか南アフリカという優勝経験国と当たる可能性が高い組み合わせ。二度、三度の“奇跡”を起こさないと、大会の最終盤まで勝ち残るのは難しいようです。
強豪国が登場する日産スタジアム
ラグビーW杯の試合会場は、北は「札幌ドーム」から南は「大分スポーツ公園」まで、全国12の試合会場が設定されているなかで、港北区内の日産スタジアムは、予選プールの4試合と、準決勝2試合と決勝を合わせて計7試合が予定されています。
▼ 日産スタジアム(横浜国際総合競技場)での試合一覧
(※)カッコ内は8月現在の世界ランキング
- 9月21日(土)18:45~ ニュージーランド(1位)vs.南アフリカ(5位)
- 9月22日(日)16:45~ アイルランド(3位)vs.スコットランド(7位)
- 10月12日(土)17:15~ イングランド(4位)vs.フランス(8位)
- 10月13日(日)19:45~ 日本(9位)vs.スコットランド(7位)
- 10月26日(土)17:00~ 準決勝1
- 10月27日(日)18:00~ 準決勝2
- 11月2日(土)18:00~ 決勝戦
日産スタジアムの何がすごいのかというと、8強チームの試合が集中していること。準決勝と決勝も行われるため、ラグビー最強国となる可能性の高いチームによる戦いが必ずどこかの段階で見られるよう、試合が組まれているのです。
日産スタジアムの開幕戦となる9月21日(土)は、W杯で二連覇中の王者・ニュージーランドと、3回前の優勝国である南アフリカが対戦するとあって、予選では最注目のカード。
また、4回前の大会で優勝したイングランドと、準優勝3回という実力を持つフランスによる10月12日(土)の“英仏決戦”も見どころです。
現時点では、日産スタジアムでオーストラリア(世界ランキング6位)とウェールズ(同2位)による試合は組まれていませんが、予選プールと準々決勝を勝ち上がってくれば、10月26日(土)・27日(日)の準決勝に登場することになります。
チケットは今でも入手できる可能性

配送されてきたラグビーW杯の紙チケット例。これから購入するチケットは自ら印刷する形となり、紙チケットでの発券はできない
ラグビーの頂上決戦といえる試合が同じ区内で組まれているため、一度は観戦してみたいところですが、現時点でチケットを入手できるか否かは、“努力次第”という状況。
入手可能性は決して低くはなく、「公式チケット販売サイト」を頻繁にチェックし、在庫の有無を確かめるクリックを繰り返す、という手間を惜しまなければ、すべての試合でチケットを手に入れることは可能です。
これまでに抽選販売や先着販売が幾度も行われ、入手しづらい状況が続いていましたが、ここへきて変化の兆しが見られるようになりました。

9月19日22時ごろの公式チケットサイトでは、日産スタジアム開催試合の多くで購入できる状態と表示されていた。ただし、在庫状況はリアルタイムで更新されないため、実際には購入できないケースも多々ある。定期的なチェックが必要
すでに購入していた人が「やっぱりいらない」と公式リセール販売サービス(定価再販)へ“出品”したものが流れてきたり、一般には公表できない形で抱えていたとみられる“在庫”が定期的に放出されたりしているからで、試合開催日の直前までチケット入手のチャンスは十分にあります。
日産スタジアムの試合では、9月21日(土)のニュージーランド対南アフリカ戦と10月13日(日)の日本戦、11月2日(土)の決勝戦は入手難易度が比較的高いのですが、それ以外の試合では販売しているケースが頻繁に見られます。
高額なチケットに納得できるか?
ただし、日産スタジアムでのチケット最低価格は7000円(カテゴリD)で、決勝戦にいたっては2万5000円(カテゴリD)という価格に設定されており、なおかつ安価である「カテゴリD」の席数は極端に絞られています。
価格がもっとも高い「カテゴリA」として設定されたエリアが多いためで、やむなく1人3万円以上(決勝戦なら1枚10万円!)という大枚をはたいてカテゴリA席を購入したとしても、ピッチからはるかに遠い2階後方などの見えづらい位置が指定されてしまうケースも。
チケットの購入は、懐具合に加え、「一生に一度」(ラグビーW杯のキャッチコピー)などと割り切れるかどうかが鍵と言えそうです。
なお、公式チケットサイト以外の海外サイトやオークションなど、非公式な形でチケットを購入すると、実際には入場できない“偽物”の可能性が高いため、絶対にやめたほうが賢明です。損をします。
【関連記事】
・無料で楽しむ「ラグビーW杯」、みなとみらいに“ファンゾーン”開設(2019年7月12日、入場無料の「ファンゾーン」で楽しむ方法も)
・最後のチャンスか、8/10(土)から4回目の「ラグビーW杯」チケット販売(新横浜新聞~しんよこ新聞、2019年7月24日、現在もチケットは販売継続中)
【参考リンク】
・横浜ラグビー情報(横浜市)
・ラグビー(男子)の世界ランキング(ワールドラグビー、日本は8月現在「9位」)
・非公式チケット販売サイト一覧(注意喚起、購入しても入場できない販売サイト)