下田町5~6丁目の下田町交差点からバス通り沿いに高田方面へ向かうと、「高田中央病院」を過ぎたあたりで急に4車線の立派な道路が現れます。しかし、快適なのは高田駅周辺のわずか200メートルほど。「高田駅入口」の信号で強制的に右左折させられ、日吉元石川線に合流するしかなくなってしまいます。なぜ、こんな中途半端な整備をしたのかと思いたくなりますが、実はこの道、将来的には東京都内と新横浜を結ぶ重要道路の一部区間だったのです。
この200メートルほどしかない立派な道の名は「宮内新横浜線」。高田西1丁目や高田東4丁目の周辺では工事が行われているので、道路名を聴いたことがある人は多いかもしれません。
今、高田駅入口信号の先、早渕川に向かって着々と道路建設が進められており、早渕川を越えて新吉田東3丁目の街を過ぎ、「新吉田南信号」(JA横浜新田や「ステーキハンバーグけん」近く)にいたる約1.3キロの計画が進展中です。
この新吉田南信号から先は、新羽駅の東側を通り、地下鉄ブルーラインの地上部を通る形で鳥山大橋を経て新横浜駅前へ至る4車線の道路がすでに完成しています。そのため、高田や新吉田で行われている工事が完了すると、高田駅前から一気に新横浜駅前まで4車線道路が完成することになります。高田駅入口交差点で日吉元石川線(荏田綱島線)と交差するため、日吉や綱島から新横浜へのアクセスも大幅な改善が見込まれます。
日吉から大倉山にいたる港北区内では、綱島街道が狭いままで“放置”されている現状を考えると、宮内新横浜線は高田や日吉、綱島と新横浜を結ぶ新たな動脈として大きな可能性を秘めています。また、綱島街道や子母口(しぼくち)綱島線など、渋滞に悩まされることが多い日吉と綱島の主要道路における混雑緩和も期待されています。
高田と新横浜駅前を直結、工事は順調に進行中
横浜市は、宮内新横浜線の工事は高田駅入口交差点から新吉田東3丁目付近までの0.96キロを結ぶ「新吉田高田地区」(高田駅側)と、新吉田東4丁目付近から新吉田町まで0.35キロの「新吉田地区」の2区間で工事を実施。高田駅側の区間は、すでに必要用地の95%を取得し、工事の進捗も69%(2015年度現在)にまで達しており、2018年度中(2019年3月まで)には完成させる方針だといいます。
一方、新吉田地区では用地取得が70%で、工事の進捗率も27%(同)にとどまっており、完成は2021年度(2022年3月末まで)にずれ込む予定です。
高田側の区間が開通すれば、未完成の350メートルは迂回の必要はありますが、新横浜へのアクセスはかなり改善されます。相鉄・東急直通線が開通するまでには、自動車交通においても新横浜は近い存在となるでしょう。
高田から下田町を経て、多摩川を渡り東京都心へ
高田・日吉・綱島から新横浜へのアクセスが大幅に改善する宮内新横浜線ですが、計画はこれだけではありません。新横浜だけでなく、もう一方の「宮内」を目指す道路だからです。
この宮内は、川崎市中原区の多摩川に近く、東京都との境に近接した場所にあります。宮内まで達した道路は、さらに「等々力(とどろき)大橋」という名の新しい橋を架けて多摩川を渡り、世田谷区の等々力までつなげます。ここで「目黒通り(都道312号白金台町等々力線)」に接続させることが最終目標となっています。
目黒通りは白金高輪駅近くの「清正公前交差点」で国道1号線(桜田通り)と合流しますので、計画上では、新横浜駅から高田駅前を経て、千代田区の霞ヶ関まで一直線でつながる形となります。
あの高田駅前の200メートルほどの道路は、そんな壮大な計画の第一歩だったのです。
しかし、高田から下田町にかけては工事が進む様子は一向になく、同様に高津区の子母口(しぼくち)周辺でも未完成区間が多く残っています。中原区と世田谷区を結ぶ等々力大橋の着工も遅れ気味です。全線完成までには、高田東や下田町内で住宅の立ち退きが発生するなどの影響も少なくはありません。
高田から新横浜へいたるまでの道筋は見えてきましたが、反対側の東京都心へ向かうには、まだまだ長い年月がかかりそうです。
【参考リンク】
・宮内新横浜線(新吉田高田地区=高田駅側)の状況 ※横浜市サイトリニューアルにともなうリンク先修正済み(2019年4月6日)
・宮内新横浜線(新吉田地区)の状況 ※横浜市サイトリニューアルにともなうリンク先修正済み(2019年4月6日)
・宮内新横浜線(新吉田地区)に関する情報 ※横浜市サイトリニューアルにともなうページ追加(2019年4月6日)
・宮内新横浜線の整備状況はどうなっていますか(2016年2月、横浜市「市民の声」公表)※ページ消去にともなうリンク切れ