実は東横沿線から直行可能、東急の「歌舞伎町タワー」に1カ月で100万人 | 横浜日吉新聞

【レポート】東急沿線からはどこか縁遠く感じさせられる新宿・歌舞伎町で先月（2023年）4月14日に開業した「東急歌舞伎町タワー」が話題を集めており、1カ月で来館者が100万人を突破したといいます。実は日吉や綱島などの東横線沿線からも電車一本で“直通”できる環境でした。

新宿駅から少し離れた「西武新宿駅」の付近に広がる歌舞伎町は、東急沿線とは関係が薄いようにも見えますが、東横線と直通する東京メトロ副都心線の新宿三丁目駅からも徒歩圏内。

東急歌舞伎町タワーの公式サイトによると、隣接地にある西武新宿駅が徒歩1分で最短となっていますが、JRなど各線の新宿駅からは徒歩7分、新宿三丁目駅からも徒歩8分と大きな差はありません。

新宿三丁目駅から歌舞伎町への最寄りとなっているのが「E1出入口（新宿区福祉事務所／新宿区役所第二分庁舎方面）」。副都心線のホームから距離こそありますが、駅の出入口から徒歩10分以内で東急歌舞伎町タワーまでたどり着ける環境となっています。

「東急と歌舞伎町」という意外ともいえる組み合わせによって誕生した今回の再開発高層ビルが建つのは、もともと東急グループの映画館などがあった場所。

東急と歌舞伎町の関係は古く、当時の傘下企業がアイススケート場を同地で運営していた70年近く前の昭和30年代にさかのぼるといいます。

スケートリンクは当時の映画ブームに乗って建てられた「新宿東急文化会館（2014年閉鎖の「新宿TOKYU MILANO」）」のなかに組み込まれ、その後に訪れたボウリングブームではアイススケート場がボウリングレーンに変えられながらも、半世紀以上にわたって一大レジャー施設としての運営が続いてきました。

古くから東急とは“犬猿の仲”とも見られてきた西武鉄道のターミナル駅が真横にあるのも驚きですが、これはJR駅まで乗り入れるための“仮駅”として設けられていたものが、後に延伸を断念したことから本駅に変わったためで偶然といえそう。また、東横線沿線から新宿エリアまで直通できる環境になることも当時は想像さえできなかったかもしれません。

オフィスが無い48階建て再開発ビル

東急による一連の歌舞伎町レジャー施設は2014年末までに閉鎖され、国の外国人観光客数を上げる目標や、エンターテインメントを中核に据えたまちづくりを目指すという歌舞伎町の特性に合った再開発を行政とともに模索。

新綱島駅に建てられている再開発ビルの敷地より15％くらい広い程度の跡地を使い、地上48階・地下5階建てという歌舞伎町エリアではもっとも高層となるシンボル的な建物が建てられました。

再開発によって生まれた東急歌舞伎町タワーは、外国人観光客の拠点となるべく、18階から47階までの上層階をホテルが占め、低層部に映画館や劇場、飲食店などを集約。オフィスがまったく無いのも特徴です。

気軽に立ち寄れる2階の「エンターテインメントフードホール」というコンセプトでつくられた「新宿カブキhall～歌舞伎横丁」は、日本の昭和と異国感を融合させたような空間となっており、24時間営業もあって海外からの観光客には喜ばれそう。

妙な漢字やひらがなのネオンが目立つゲームセンターなどのアミューズメント施設も含め、オフィスや商業用途を中心としている渋谷の再開発高層ビルとはまったく異なる雰囲気を味わってみるのも“沿線住民”としては価値があるかもしれません。

また、新宿三丁目駅の「E1」出入口から東急歌舞伎町タワーへの道のりは、途中の新宿ゴールデン街を含めて新宿駅からのアクセスでは見えてこない夜の街・歌舞伎町の雑然とした賑わいを感じられるのも特徴です。

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・小田急・東急との「箱根山戦争」も昔話、西武系が芦ノ湖遊覧船を富士急に売却（2022年10月7日、東急と西武の対立についても）

【参考リンク】

・東急歌舞伎町タワー公式サイト（2023年4月14日オープン）

・新宿三丁目駅の案内ページ（東急歌舞伎町タワーの最寄りは「E1」出入口、なお西武新宿駅までは地下道でつながっており、こちらからアクセスも可能）