綱島東6丁目の樽綱橋近くにある巨大な変電施設。綱島側から見て右手にあるJR東海の「綱島周波数変換変電所」は今後、東海道新幹線のエコ化を支える“影の存在”ということにもなりそうです。
東海道新幹線は、全線にわたって西日本エリアで使われている「60Hz(ヘルツ)」の電力によって運行されており、静岡(富士川)より東側の東日本エリアは電力が50Hzとなっているため、60Hzに変換することが必要です。
綱島の周波数変換変電所は、60Hzの電力に変換する施設の一つで、ほかに沼津(静岡県)や西相模(小田原付近、南足柄市)、大井(東京都)と合わせた4カ所のなかでは最大規模となっており、周波数の変換装置が4台置かれているといいます。
このほどJR東海は、西相模に置かれている3つの変換装置について、約200億円をかけて2027年度末までに消費電力の少ない「静止型」と呼ばれるタイプにすべて取り替えると発表しました。これにより、年間約2万トンのCO2排出量と12億円のコストを削減できるといいます。
ただ、この「静止型」はエコである一方、架線に飛来物が接触するなどして、瞬間的に大電流が流れた場合は機能が停止してしまうという弱点があるため、従来型の大型モーターと発電機を組み合わせて周波数を変換する「回転型」も必要となっているのが現状です。
綱島では4台ある変換装置のうち、2台が「回転型」となっており、このほど綱島と西相模が連系しながら最適に電力供給する技術を開発したことから、西相模での装置取り替えが可能になったといいます。
鉄塔と電線ばかりで無機質に見えてしまう綱島の変換変電所ですが、いざという時に助ける役割も担うことで、東海道新幹線で使う電力やコストの削減に陰ながら貢献することになります。
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・「樽綱橋」近くの変電所で工事、日本の大動脈支える超重要施設の進化へ着々(2016年4月11日、綱島でも一部はエコな「静止型」に入れ替えている)
【参考リンク】
・東海道新幹線 西相模周波数変換変電所の静止型化について(PDF、JR東海、2021年5月28日)