不足する火葬場、鶴見区の“東部市営斎場”は2026年10月に完成へ | 横浜日吉新聞

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横浜市内でも年々長くなる“火葬待ち”に対応するため鶴見区大黒町で市が計画中の「東部方面斎場(仮称)」は、当初の予定から半年遅れ、今から3年10カ月後2026年10月に完成の見通しとなりました。

今月(2022年)12月16日に行われた横浜市会(市議会)の「水道・交通委員会」で市健康福祉局が報告したものです。

横浜市内には4つの市営火葬場が設けられているが、港北・都筑・鶴見などからはかなり遠い(市の資料より)

横浜市内に4つある市営の火葬場(斎場)は市中部から南部にかけて位置しており、港北区など東京都心に近いエリアの区民は、町田市や保土ヶ谷区に近い緑区長津田町の「北部斎場」か、妙蓮寺駅近くにある民営の「西寺尾火葬場」(神奈川区西寺尾)を利用することになります。

北部斎場は日吉や綱島から車で40分程度を要するケースが多く、民営の西寺尾火葬場は、北部斎場と比べて火葬数が4分の1程度と小規模です。

火葬場からもっとも離れた鶴見区周辺住民は、料金や予約条件の面で不利ななか川崎市営の「かわさき南部斎苑」(川崎区夜光)を利用するケースも目立つと言われ、人口の多い北東部エリアの住民は火葬場を利用しづらい環境となっています。

「告別・収骨スペース」のイメージ(北部斎場、市の資料より)

また、冬場などを中心に市営火葬場の待ち日数は年々伸びる傾向が見られ、2020年度は平均で「4.56日」に達します。

死亡から24時間以内は火葬できないため、もし「月曜日」に亡くなると、火曜日から数えて早くても4日後の「土曜日」以降にしか火葬ができない計算です。

横浜市内では、高齢化で死亡数が増える「多死社会」によって火葬需要は今後も増加が見込まれることから、市は2018(平成30)年ごろから市営火葬場の新設検討を本格的に開始。

2022年2月時点の建設予定地、市のグラウンドを中心に貨物線の跡や一部民有地も含め約1万1000平方メートルの敷地に地上4階・地下1階建ての建物を建設する

建設予定地を京急の生麦駅(鶴見区)から直線距離で約1.2キロほどの工業地帯にある鶴見区大黒町の市有地に決め、今年1月には都市計画決定も行われました。

当初は来年度(2023年度)中に工事を開始し、2026年3月までに完成させる予定でしたが、建設工事の週休二日制への対応や高性能が求められる地中熱設備の導入などで工期が半年ほど延びることになり、現時点では2026年10月に供用開始となる見通しです。

2022年6月時点での外観イメージ(2022年6月「火葬場経営許可 説明会」の市資料より)

また、物価上昇に加え、建設予定地の市有地はかつて米軍が接収して貯油施設としていた経緯もあり、基準を超える「鉛」が検出するなど土壌汚染が発覚。その対策も加え、整備費は当初予定から41億円程度増えて約221億円になるとのこと。

毎年1月は火葬需要が特に高い傾向が見られることから、市健康福祉局では前年の秋までに完成させる考えです。

【関連記事】

死んだ後も苦労する横浜市の北部住民、「火葬場」の不足解決へ新建設(2022年3月7日)

【参考リンク】

横浜市「東部方面斎場(仮称)の整備について」(総合情報ページ)

鶴見区大黒町の「東部方面斎場(仮称)」整備予定地(グーグルマップ)

横浜市「市営斎場のご案内」(市営火葬場の案内)


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