緊急事態宣言の効果はまったく出ていないようです。きのう(2021年)8月9日(月・祝)、新型コロナウイルスの感染者数が横浜市で1100人超、神奈川県全体で2100人を突破し過去最多となりました。この日、黒岩祐治知事は「医療崩壊が始まりつつある」「人混みは危険」などとするメッセージを公開し、強い危機感を示します。【2021年8月10日1時21分記事公開】

感染拡大に歯止めをかけられる要素がほとんど見つからないなか、このまま拡大すると県の感染者数は8月22日(日)には1日あたりの感染者数が3402人から6265人に達する可能性がある(第40回「新型コロナウイルス感染症神奈川県対策本部」の会議資料より)
オリンピック開催にあわせて3連休となった最終日の8月9日(月・祝)の感染者数は、横浜市では1139人となり、初めて1000人を突破。県全体でも過去最多の2166人に達しました。
この日の夕方に開かれた県の対策本部会議では、医療危機対策統括官をつとめる阿南英明医師が「1都3県ではもっとも激しい増え方となっており、その80%が『デルタ株』だ。従来のウイルスと比べ2倍の感染性を持ち、これまでのノウハウで対応できるものではない」などと報告し、約40ページにわたるスライドを示しながら、県内の医療体制が限界を迎えつつあると訴えました。
県のシミュレーションでは、このままの状態で増え続けると8月22日(日)には1日あたりの感染者数が3402人から6265人に達するといい、今週中には病床がかなり逼迫する可能性があるとのことです。
黒岩知事は県民向けのメッセージで「搬送先の決まらない救急車が、何時間も待機する状況がすでに始まっています」といい、医療機関に対して「医師が急を要さないと判断した場合には、入院や手術を先延ばしして、コロナ患者への対応を強化するよう要請しました」と報告。
そのうえで、「デルタ株は、これまでの新型コロナウイルスとは全く違います。ウイルスの排出量は、従来株の1200倍です。その感染力は従来株の2倍、インフルエンザの3倍と言われています。人が接すれば、いつでもどこでも感染する可能性があります。要するに『人混みは危険』です」と述べ、混雑するレジャーや買物などを控えるよう訴えています。
緊急事態下での開催となった「東京2020オリンピック」での“お祭り騒ぎ”が終わると同時に、県民や市民はより厳しい現実と向き合うことになってしまいました。
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・緊急事態初日に過去最多825人、横浜市長「これまで以上に強い感染の波」(2021年8月3日)
【参考リンク】
・知事メッセージ~人混みは危険(神奈川県、2021年8月9日)
・横浜市内の陽性患者の発生状況データ・相談件数(横浜市)
・新型コロナウイルス感染症の診断を受けた方へ(港北区)