横浜市教育委員会は、2018年度(2019年3月末)で閉校する方針を示していた北綱島特別支援学校(綱島西5)について、現在の児童・生徒が卒業する2026年度までは他校の「分教室」(「分校」よりも教員数などが減る可能性がある)として存続する考えを示したようです。2015年12月15日発行の神奈川新聞が報じたもので、保護者説明会の場で市教育委員会が口頭で提案したといいます。
今年9月に示した市の再編計画では、北綱島特別支援学校は増築が難しいことから閉校し、代わりに旭区で特別支援学校を新設するとの方針を示していましたが、同支援学校のPTAから学校の存続を求める3万筆の署名が市教育委員会に提出されるなど、反対の声が相次いでいます。署名には綱島地区の住民も協力したとみられます。
横浜市会では、北綱島特別支援学校は人口増加が続く横浜北部エリアにあり、「同校の児童・生徒数が増えているにも関わらず閉校するという考え方は理解できない」といった指摘もありました。
これに対し横浜市教育委員会は、「県立の肢体不自由児学校は市の中央部に設置されていないことから、市立は比較的市の中央部に整備することで、全体のバランスを考えている」との認識を示しています。
閉校案が提示されたことについて、同校の村上英一校長は11月に発行した「学校だより」のなかで、「9月に発表された本校の今後の問題では、ご家庭の皆様には大変なご心労をおかけしており、また何度も学校にお越しいただくなど、貴重なお時間を割いていただいています。3回の説明会においては、保護者の皆様がそれぞれの思いを直接委員会(編注:教育委員会)の方に訴えられ、また、PTA役員の皆様を中心に、様々な方からアドバイスをいただきながら今後の対応に向けての活動が進められています」との現状を報告。
そのうえで、「教職員は、子どもたちがいつまでも安心して無理なく学校に通うことが出来、友だちと一緒に授業や活動を楽しんだり、今までと変わらずに小学生と交流をしたりして、慣れた環境の中で様々な経験をして輝きながら過ごしてほしいと願っています。教職員としても、子どもの学校生活を支えるという視点から、発表された内容が子どもたちの通学や学校生活にどのような厳しい影響を与えるのか等、予測される問題点を委員会に伝えています」といい、学校長としては教育委員会の方針に異議を唱えることは難しい複雑な心境を記しています。
北綱島特別支援学校は1985(昭和60)年4月に重度重複障害児の教育を行うために「大綱養護学校」として創立して以来、今年で30周年を迎え、10月には記念式典を行ったばかりでした。
同校は日吉・綱島の基幹局である綱島郵便局(綱島台17)に近接した場所にあり、隣は市立北綱島小学校(綱島西5)となっています。現在、小学部と中学部、高等部に分かれ、市内各所からスクールバスなどで、手足や身体(肢体)が不自由な81人の児童・生徒が通っています。
【関連記事】
・横浜市、綱島西5「北綱島特別支援学校」を2018年度までに閉校の方針(2015年9月17日)
【参考リンク】
・「北綱島特別支援学校は分教室に 再編で横浜市」(神奈川新聞「カナロコ」)
・教育の場を失うことにもなる北綱島特別支援学校の閉校はやめよ(日本共産党横浜市会議員団「白井まさ子議員が一般質問」より)