<下田町通信>日常に文化を取り入れ、生活に美と彩りを、心にはゆとりを | 横浜日吉新聞

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下田町通信・黒須悟士コラム

法人サポーター会員による提供記事です】港北区下田町子育てしながら地域活動に関わり、株式会社Cross Dimension(クロス・ディメンション)を運営する黒須悟士(さとし)さんが久しぶりに現在の地域の姿や、日常生活における分野や美、そして米国での文化活動交流への挑戦について思いを語りました。

下田町への最終バスとミニスーパー

地域の皆さん、こんにちは。港北区下田町に在住の黒須悟士です。

前回の本欄「下田町通信」(2023年9月5日公開)では、コロナ禍を経た地域の変化について書きましたが、それ以降の下田町は目に見える大きな変化はなく、住民の皆様は日常生活を取り戻されているように思われます。

下田町住民として一つ困っていることもあります。日吉駅からサンヴァリエ日吉に向かう東急バスの「日22系統」の深夜便が復活せず、22時を過ぎると平日でも便数が少なくなり、土日祝日は最終が22時41分発になっていることです。娘がバイト帰りにバスに乗れないと嘆いております。この路線を使われている方は同じ感想をお持ちではないでしょうか。

近くのミニスーパーが改装のため1カ月ほど店舗が閉まるようで、あのかゆいところに手が届く絶妙な品ぞろえが使えなくなるのは不便かもしれません。

また、あるドラッグストア閉店時間が微妙に早くなった気がするのですが、気のせいでしょうか。これも仕事帰りに微妙に閉店に間に合わないんですよね。

ベトナムに住んで知った日本の日常

前回の「下田町通信」では地域活動について書きましたが、申し訳ないことにあれからはサボりがちな1年でした。

実はそれには理由がありまして、が下の娘を連れて2020年からベトナム・ハノイに赴任しているのですが、コロナ禍が過ぎて海外への移動が容易になりましたので、定期的にハノイに足を延ばしておりました。

ベトナム・ハノイの風景(Photo:Satoshi Kurosu)

また、現在はいわゆる「ワンオペ」状態です。同居する上の娘が大学生になってかなり手がかからなくなったので楽になりましたが、やはり家事・育児を一人でこなし、さらには仕事までしていると、休まる時がなく、週末は何も予定を入れずにのんびりしたくなりますよね。

そんなことで海外がとても身近になったこの頃ですが、普段はハノイに住んでいる下の娘がたまに日本に帰国すると、「日本はどこでも綺麗(きれい)」「日本は何でも美味しい」など、私たちの何気ない日常をべた褒めするようになりました。

ハノイで「フォー」の店(Photo:Satoshi Kurosu)

私も二十代にアメリカで生活する機会があり、外から見ないと分からないことが多いとは思っておりましたが、子どもの敏感な感性は異文化を経て様々なことを感じ取ったようです。

日常生活に「美」を取り入れる日本

日本全国どこでも当たり前のように綺麗ですが、「日本人の美意識として、『美しく生活する』『綺麗なものを生活の一部として取り入れる』など、日常生活に『美』を取り入れる豊かな文化的側面を持っている」とニューヨークにあるメトロポリタン美術館でキュレーター(展示や企画の責任者)をされているアメリカ人の方が日本文化の特徴として指摘されている姿を見て、衝撃を受けました。

美しいものは美術館に飾ってあり、それを目で楽しむという西洋文化に対して、日本人は生活に美を取り入れ日常的に五感で楽しむということのようです。

Photo:Satoshi Kurosu

私自身の身の回りを見渡してみますと、前回の「下田町通信」で文化のお話をさせていただきながらも、実際の生活は美とは程遠く、大量生産・大量消費が前提の工業製品に囲まれている生活です。

日本には世界に誇る人間国宝という制度がありますが、ある人間国宝の先生が伝統工芸について、「その造形物の経済価値ではなく、作り手と使い手が心を通わせ合うことができるところに価値がある」と語っておられました。

そこで私から、自分自身への戒めも込めて、皆様へのご提案です。人生にアクセントを加える手段として、伝統工芸を生活に取り入れてみませんか。

伝統工芸品から感じられる人の温もり

たとえば、コップ一つ、子ども達の茶碗だけなど、生活に少し取り入れるところから始めれば良いと思います。

旅行先で偶然見つけた工房に足を踏み入れてみる。作家と話をして創作の意図や原材料の経緯を聞いてみる。伝統工芸品に触れてみると手のひらからビックリするほどの優しさが伝わってきます。

Photo:Satoshi Kurosu

伝統工芸を通して、生活の中に人の温もりを取り戻し、合理性や効果・効率から抜け出す一歩を踏み出してみませんか。

私が事務局をお手伝いさせていただいている一般社団法人TAKUMI-Art du Japon(東京都港区、近藤誠一代表理事)では、日本が誇る伝統工芸の優れた技能と精神とを現代社会に取り戻し、「匠」の技を力強く復活・発展・発信することを目的に、様々な活動を国内外で行っております。

本年(2024年)6月にはニューヨークで国際文化交流を実施します。代表理事で元文化庁長官の近藤誠一さんは、「日本の伝統工藝、伝統芸能、生活文化は、今日の社会課題解決に資する価値がある。それは同時に、効率性、数値化重視の社会から人間性を守る力をもつ」と指摘されております。

6月に米国NYでの国際交流に挑戦

インバウンドの急増は何も円安だけではないでしょう。安さだけであれば世界にもっと選択肢がたくさんあります。何かそこに外国人を惹きつける魅力があるはずです。

クラウドファンディングCAMPFIRE(キャンプファイヤー)における「Allure of TAKUMI Discovering Its Secrets」より

世界が日本文化に感じている「魅惑」を、外国人の力を借りて「言語化」する国際交流の促進は、私たち日本人にとってこそ、自分たちが何者かを見直すために大切な試みです。来月(2024年)6月の国際文化交流ではその点に真正面から向き合って参ります。

伝統工芸のことが少しでも気になった方は、国際文化交流に関連して実施中のクラウドファンディング(クラファン)をご活用ください。

人間国宝室瀬和美さん(蒔絵)や大倉源次郎さん(小鼓)の著書、元文化庁長官の近藤誠一さんの著書、公演「現代の匠たち」のチケット、大倉源次郎さんのグループレッスン(お茶やトークもあり)、NY報告会ご招待など、ここでしか手に入らない魅力的な返礼品が揃っております。

クラファンの期限も今月末に迫って参りました。ご支援を通して、皆様も民間の文化交流大使としてプロジェクトにご参画され、さらには伝統工芸の世界に触れる第一歩としていただきまして、生活に美と彩りを、心にはゆとりを取り入れていきましょう。

【クラウドファンディング実施中】2024年6月3日~5日にかけて、人間国宝と元文化庁長官を筆頭にアメリカのニューヨーク(New York)で文化交流を行います。元文化庁長官と人間国宝を筆頭に、ニューヨークにおいて、伝統工藝の展示、伝統藝能の公演として小鼓の演奏や巫女舞の奉奏を行うものです。日本の伝統と魅力を世界へ伝え、日本文化の力で、多くの課題をかかえる世界における相互理解の促進に努めます。あなたも文化交流大使の一員としてご支援をお待ちしております。クラウドファンディング「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」のページはこちらをご覧ください


<執筆者>
黒須悟士(くろす さとし):独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)にて、海外におけるビジネスや知財活動の支援に従事、JETRO退職後は外資系リスクマネジメント会社日本支社代表、慶應義塾大学助教を経て、現在、株式会社クロス・ディメンションの代表取締役。立命館大学国際関係学部卒業、慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)、同博士後期課程単位満了退学。

起業家として、勢力的に海外・知財・社会事業を展開する一方、下田小学校PTA元副会長、下田学童保育所元会長、都市型地域交流拠点モデル「よってこしもだ」の立ち上げ、高田町での農業体験など、下田町というローカルにもこだわり生活を豊かにする活動にも取り組む。


【関連記事】

・【前回記事】<5年ぶり復活・下田町通信>コロナ禍を経て見直す日本の「文化」とつながり(2023年9月5日)

【参考リンク】

一般社団法人TAKUMI-Art du Japon(東京都港区、筆者が手伝う団体)

法人サポーター会員:株式会社クロス・ディメンション~Cross Dimension提供)


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