自動車レースに参戦中の新吉田町「アネスト岩田」、過去最高の10位で入賞 | 横浜日吉新聞

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アネスト岩田レーシングが参入5戦目にして10位での入賞を果たしました。

今年(2023年)4月から自動車レース「スーパーGT(SUPER GT)」に参戦しているアネスト岩田株式会社(新吉田町)の「アネスト岩田レーシング」(武田克己総監督)は、8月26日・27日に鈴鹿サーキットで行われたレースで25台中10位を獲得し、チーム創設以来初めての入賞となり、年内の残り3戦でさらなる上位を目指します。

スーパーGTの「GT300クラス」には著名メーカーによる多彩な車種が参戦し、常に25台以上で順位を競う激戦となっている(SUPER GT「メディアガイド2023-2024」より)

スーパーGTは、トヨタや日産、ホンダなどが市販している「グランドツーリングカー(GTカー)」などをレース用に改造したマシンで順位を競う国内最高峰と言われているレース。

「500」と「300」の2クラスあるうち、アネスト岩田レーシングが初参戦している「GT300クラス」では、国内外で販売されている10以上の車種を用いて、常時25台以上の参加が見られる激戦模様となっています。

アネスト岩田レーシングはイゴール・大村・フラガ(左3人目)、古谷悠河(右3人目)、小山美姫(左4人目)と20代の3新人ドライバーで参戦(アネスト岩田レーシング提供)

同チームは、4月に行われた初戦で12位(27台中)に入り、5月の第2戦は14位(26台中)と中ほどの順位を保ったものの、6月の第3戦では17位(27台中)に沈み、8月の第4戦は追突されるアクシデントなどもあって19位(27台中)まで下がり、夏場に連続する長距離レースで苦戦が続いていました。

ドライバー交代や給油のタイミングなどのチーム戦略が鍵を握る決勝レースでは波に乗れない状態でしたが、走行タイムで競う予選レースでは上位に食い込むことが多くなっており、今回の第5戦では5位(25台中)と過去最高の順位を獲得。

予選の結果、翌日の決勝では25台中5番目のスタート位置を確保できることになり、上位入賞への期待が高まりました。

スタートドライバーをつとめたフラガ選手、右は小山選手(アネスト岩田レーシング提供)

4戦連続で450キロ・70周超という長距離レースとなった決勝では、スタートからわずか5周でピットに入り、最低限の給油だけを行うという作戦を敢行。

スーパーGTの長距離レース中には最低2回のピットストップを行い、うち1回はドライバーを交代しなければならないという規則があり、これらをどのタイミングで行うかが勝負の分かれ目になるとも言われています。

ピットに入るタイミングや作業内容・時間はレースを左右する要素となる(アネスト岩田レーシング提供)

今回は集団から離れて序盤から自分のペースで走れるというメリットも考えての“早期ピットイン作戦”でしたが、燃費があまり良くないというマシンの特徴もあって給油時間が長くなり、エンジン始動時にうまくかからない不運も重なってタイムロスが発生。

復帰したコース上では2台の遅い車に前をふさがれる形となって本来のペースを保てず、前の車を追い抜けた頃には装着していたタイヤの消耗が激しくなり、ペースを落としてしまいました。

前を走る車にペースを乱されるなど順位を上げられなかった(アネスト岩田レーシング提供)

36周目で二度目のピットに入り、ドライバー交代タイヤ交換を終えた段階での順位は9番手。二番手ドライバーの古谷悠河(ふるたにゆうが)選手が力走するも、「あるタイミングを過ぎると崖のように、特にリアタイヤ(後輪)のグリップが急激になくなってしまう」(同選手)と終盤には再びタイヤ消耗が見られ、10番手へ後退してレースを終えました。

スタート時のドライバーをつとめたイゴール・オオムラ・フラガ選手は、結果に少し悔しさを見せながらも「確実に上へ行けるだけのポテンシャルは確認できました」と手ごたえを感じた様子。

武田総監督は「今回はリスク承知で、いろいろチャレンジングな作戦を選んで闘いました」といい、次の第6戦は300キロの短い距離のレースとなることもあり、「クルマとの相性が良いコースなのでうちのチームにはチャンスがある」と次の戦いを見据えていました。

4月に始まった今年のスーパーGTは8月までに全5戦を終え、11月のシーズン終了までに残り3戦となりました。

第5戦(8月27日)を終えた段階での「GT300クラス」のチームランキング、「50号車」のアネスト岩田レーシング・ウィズ・アルナージュは毎回完走してポイントを獲得しているが、まだ上位の背中は遠い。表の一番右にある「SW(サクセスウエイト)」は上位を獲得した際に課せられる“ハンデ”で多ければ多いほどマシンが重くなるので不利(SUPER GT公式サイトのResultsを一部加工)

上位に入賞する度に次戦以降の「ハンデ」として速度を落とすための重さが車両に加えられていく「サクセスウエイト」は上位勢で最大100キロの規模に達しており、3キロの加重にとどまるアネスト岩田レーシングはその点でも有利な条件といえます。

ほぼ好天でトラブルも少なかった今回のレースを除き、急変する天候や他車の事故による速度制限などの外的要因をきっかけに順位を落とすケースも目立っていただけに、距離の短くなる次戦で天候変化やアクシデントの少ないレース展開となれば、上位に入れる可能性は高まりそうです。

第6戦は三連休中の9月16日(土)と17日(日)に仙台駅から車で40分の宮城県村田町菅生(すごう)にある「スポーツランドSUGO」で開かれます。

アネスト岩田レーシングとは:同社が2026年に創業100周年を迎えることから、新たなチャレンジとして自動車レースに参戦するため今年結成したチーム。前年までスポンサーとして支援していた「アルナージュ・レーシング(Arnage Racing)」(50号車)を衣替えする形で、エントラント(競技参加)名を「ANEST IWATA Racing with Arnage(アネスト岩田レーシング・ウィズ・アルナージュ)」に変え、トヨタの「レクサスRC F(アールシー・エフ)」をベースとしたマシンを新調して参戦。所属ドライバーは、イゴール・大村・フラガ(24歳)、古谷悠河(ふるたにゆうが)(23歳)、小山美姫(みき)(26歳)の3新人。小山は8月6日のスーパーGT第4戦で初の日本人女性ドライバーとして決勝レースを走った。チームの総監督はアネスト岩田の武田克己取締役常務執行役員がつとめている

ANEST IWATA Racing RC F GT3(50号車)の戦績

▼4月15日・16日:Round1「岡山国際サーキット」(300km)

  • 予選:7位/27台中(予選1回目A組4位)
  • 決勝:12位/27台中(1周差)(詳細

▼5月3日・4日:Round2「富士スピードウェイ」(450km)

  • 予選:17位/26台中(予選1回目B組9位)
  • 決勝:14位/26台中(2周差)(詳細

▼6月3日・4日:Round3「鈴鹿サーキット」(450km)

  • 予選:15位/27台中(予選1回目B組1位)
  • 決勝:17位/27台中(1分14秒910差)(詳細

▼8月5日・6日:Round4「富士スピードウェイ」(450km)

  • 予選:8位/27台中(予選1回目A組3位)
  • 決勝:19位/27台中(1周差)(詳細

▼8月26日・27日:Round5「鈴鹿サーキット」(450km)

  • 予選:5位/25台中(予選1回目A組5位)
  • 決勝:10位/25台中(1周差)(詳細

▼今後の日程

)この記事は「横浜日吉新聞」「新横浜新聞~しんよこ新聞」の一部共通記事です

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・【参入時の記事】アネスト岩田が新吉田から新たな挑戦、「自動車レース」で未来を切り拓く(2023年2月14日)

【参考リンク】

アネスト岩田レーシング(ANEST IWATA Racing)のX(旧Twitter)(最新情報など)

「ANEST IWATA Racing with Arnage(アネスト岩田レーシング・ウィズ・アルナージュ)」の紹介ページ(SUPER GT VIDEO Online)


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