東急東横線の高架下に建設した「相鉄・東急直通線(東急新横浜線)」の苦心が見えてくるような計画変更の一端が公表されました。
先週(2022年)8月26日、横浜市役所内とWeb会議のハイブリッドで開かれた「第164回横浜市都市計画審議会」では、相鉄・東急直通線の日吉駅から新綱島駅にかけての工事で細かな変更を行っていたことが明かされています。
今回は都市計画の範囲を微修正するために議題となったもので、その一例として、日吉駅から「綱島トンネル」(箕輪町3丁目付近~新綱島駅、1100メートル)に至る付近の変更点が説明されました。
東急東横線の高架下を使って建設された東急新横浜線は、地上部にある日吉駅から綱島トンネルまでは、高架橋に影響を与えないようにしながら、トンネルへ至る線路の敷設が求められています。
まず、日吉駅寄りでは、地下部に線路を敷くための「ボックスカルバート」と呼ばれる箱型のコンクリート構造物を高架下につくる必要がありました。当初は、東横線の高架橋と一体化したような構造とする計画だったものを変更。
いったん、仮の柱と梁(はり)で高架橋を支えておき、その間に地下で箱型のコンクリート構造物をつくる形としました。
高架橋から“独立”した形状とすることで、地下のコンクリート構造物の幅を狭めることができたうえ、経済的に優位な施工方法への変更が可能になったといいます。
また、綱島トンネル部分では、当初は高架橋の基礎杭(くい)に影響を与えないように、基礎杭から離して上下2本の単線トンネルを掘る計画でしたが、距離を取っても影響を及ぼす可能性が分かったため計画を変更。
東横線の高架橋については、深い位置(地下)まで基礎杭を新設して補強したうえで、基礎杭に近づけてトンネルを掘削し、上下2本のトンネル間隔を狭めることにつなげています。
これにより、トンネルへ入る前の区間でもコンクリート躯体の幅を狭めることができ、当初は支障となっていた箕輪町地下の下水管移設を回避できたとのことです。
このほか、新綱島駅についての変更では、同駅の日吉寄りに軟弱地盤から基盤層に変化する「地層境」があり、この部分を避けるために駅舎の形状を一部変更しています。
なお、相鉄・東急直通線でのこうした土木工事はほぼ終了しており、都市計画の変更に対しても都市計画審議会で意見などは出ませんでした。
【関連記事】
・相鉄・東急直通線の「都市計画」で変更手続き、開業前に細かな変更(2022年6月30日)
・<相鉄・東急直通>8月から「監査・検査」を開始、日吉まで線路がつながる(2022年7月25日、すでに線路は羽沢横浜国大駅までつながっている)
・【過去記事】<機構が公表>相鉄・東急直通の進捗率30%、新綱島の軟弱地盤や地下雨水管に苦戦(2016年12月4日、開業時期が遅れた背景など)
【参考リンク】
・相鉄・東急直通線「日吉駅付近工事」の詳細(JRTT鉄道・運輸機構)
・相鉄・東急直通線「綱島トンネル工事」の詳細(JRTT鉄道・運輸機構)