今月(2016年10月)5日に公開された横浜市の一般競争入札による市有地販売では、日吉の気になる土地物件が売りに出されました。日吉本町駅に近い約155平方メートルの宅地には、普段はあまり見ないめずらしい条件が付加されているのです。
市としては今年度(2016年)2回目となる今回の一般競争入札は、財政局や水道局、交通局が所有している土地を販売するもので、個人や法人を問わず、誰でも入札に参加が可能。土地ごとに示されている「最低売却価格」以上で最高額を提示した場合に落札となります。
入札対象となる土地は、税金などを滞納して横浜市が差し押さえて販売する形の「公売物件」ではなく、公共事業の代替用地などとして市が所有しているものだといいます。
23ある今回の物件で、もっとも下に載っているのが日吉の土地です。交通局が所有し、「日吉本町2丁目2212-4外」との地番を記載。かつての番地表記では「日吉本町2丁目46番の7号」という表示でした。「日吉第7コーポ」の並びにあり、「日吉開善保育園」に近接している一画です。地元の住民が居住のために所有していた土地だったようですが、2002年12月に横浜市へ売却されて現在にいたっています。
この土地の最低入札価格は3850万円。日吉本町駅から徒歩5分圏内で、駒林小学校までわずか200メートルという環境を考えると、まずまずの価格です。
なにより本物件のめずらしい点は、落札者が「もれなく横浜市から1200万円がもらえる」ということにあります。もらえる、というより、必ずもらわなければならない決まりとなっています。
なぜなのでしょうか。それは、この土地の「留意事項」に書かれている次の一文にあります。
- 本物件2212番18及び2212番20の地下(地表面から約5m下)に市営地下鉄グリーンラインのトンネルが通っています。
つまり、土地の真下に地下鉄グリーンラインのトンネルが通っているため、その補償金として、地下鉄の運営者である横浜市から1200万円を受け取る契約を結ばねばならないことになっているのです。
そのため、建物を建てる場合には、必ず横浜市交通局との協議が必要だとしています。また、真下のトンネルへの負荷がかからないよう、建物は1平方メートル当り3トン以下の重さにするという制限も存在。図面によると、地面の下には上下2本のトンネルが通っているようです。
グリーンラインのトンネルを掘るために横浜市が買い上げてから約14年。建物の5メートル下に鉄道が通る対価として、実質的に“1200万円引き”となるこの市有地には、どのような価格が付くのでしょうか。
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【参考リンク】
・市有地公募売却に関するページ(横浜市)
・一般入札売却物件「No.2635:港北区日吉本町二丁目2212-4外」の詳細情報(PDF、横浜市)