<2025年GW>100周年記念イヤーの「世田谷線」、同じ東急沿線でも異空間 | 横浜日吉新聞

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【行楽情報】日吉や綱島から近くて安く訪問でき、それでいて意外な楽しさを味わえる沿線です。東急電鉄の「世田谷線」が開業から100周年を迎え、歴史を振り返る「なつかしのギャラリートレイン」が今月(2025年)5月31日までの期間限定で運行が始まるなど、“アニバーサリーイヤー”を迎えています。

4月29日には世田谷線の上町車庫で「なつかしのギャラリートレイン」の出発式が行われ、左から大場家第16代当主で一般財団法人大場代官屋敷保存会の大場信秀理事長、世田谷まちなか観光協会の桑島俊彦会長、世田谷線開通100周年記念事業実行委員会の飯島祥夫委員長、保坂展人・世田谷区長、東急電鉄鉄道事業本部の伊藤篤志本部長、東急電鉄世田谷線管区の中村雄治管区長に加え、三軒茶屋銀座商店街のキャラクター「三茶わん」(左端)、世田谷区商店街連合会の「が~やん」(左2体目)、東急電鉄の「のるるん」(右端)も駆け付けた

世田谷線はその名の通り、東京都世田谷区の三軒茶屋駅(東急田園都市線)から途中の山下(小田急「豪徳寺駅」至近)を通り、下高井戸駅(京王電鉄)までわずか5キロを結ぶ路線で、首都圏でも数少ない“路面電車”として運行されているのが特徴です。

4月29日は出発式が行われるとともに、世田谷線の運行に携わる東急電鉄の社員が「幸福の招き猫電車」などを見送った。招き猫発祥の地である豪徳寺の協力を得て2017年から1編成だけ走っており、時刻表も公開されている

「区民にとって街を代表するシンボル」(世田谷区・保坂展人区長)ともいわれるように、全線が世田谷区内を走っており、92万6000人超という政令都市並みの人口(2025年4月)を持つ巨大な特別区(東京23区内の区)内の南北間移動の交通インフラとなっています。

また、東急田園都市線小田急小田原線、京王電鉄京王線の3路線を連絡する貴重な存在でもあり、東急電鉄のなかでは唯一の路面電車として残されました。

「玉電」こと玉川電気鉄道は6つの路面電車路線を持っていたが、田園都市線(新玉川線)の建設などで廃止が進み、三軒茶屋と下高井戸間だけが残された(1980年8月東京急行電鉄発行「新玉川線建設史」より)

「なつかしのギャラリートレイン」車内では道路上を走っていた時代の写真も見どころ

もともと“玉電”や“玉川電車”などと呼ばれ、東急電鉄の前身となる1社であった「玉川電気鉄道」(渋谷~二子玉川園、二子読売園~溝ノ口、三軒茶屋~下高井戸など6路線を運行)という路面電車が1900年代初頭から存在。

戦前に東急が合併して以降、交通環境の変化もあって路線の廃止が進むなか、支線として1925(大正14)年5月までに全線開通した三軒茶屋と下高井戸間(旧下高井戸線、その後世田谷線に改称)だけが現在まで残ったものです。

世田谷線は環七通りと交差する若林踏切付近だけは道路上を走っており、電車が信号を待つこともある

世田谷線の大部分は専用の線路を走るため、かつての路面電車のように道路渋滞に悩まされることもない。写真に写るのは1編成だけ5月中に走る「なつかしのギャラリートレイン」

他の路線が路面電車として車とともに道路上を走っていたことに対し、世田谷線は専用の線路となっている区間が大半を占めており、交通渋滞とは無縁に走れることもメリットとなっています。

東横線や目黒線、田園都市線のように長編成の電車が高速で走る路線とは異なり、2両編成の電車がバスのように短い駅間を走り、地上から手軽に乗れてどこかゆっくりとした時間を感じられるのも世田谷線ならでは。

周辺の道路から駅(停留所)ホームへ直接出入りできるため、電車の乗り降りが気軽にできる

5キロほどの沿線は、小田急や京王との連絡だけでなく、見どころとなっている観光スポットも点在しており、いずれも駅(停留所)から歩いて訪れることが可能です。

松陰(しょういん)神社前駅の「松陰神社」や、宮の坂駅の「豪徳寺」は、世田谷線を代表する著名観光地といえ、“招き猫”発祥の地としても知られる豪徳寺は海外からの観光客も多く賑やか。

松陰(しょういん)神社前駅からアクセスできる「松陰神社」

宮の坂駅が最寄りとなる「豪徳寺」

三軒茶屋駅前に建つ複合高層ビル「キャロットタワー」の26階は展望スペースになっており、好天時は港北区周辺はもちろん、みなとみらい付近まで一望することができ、眼下に世田谷線が走る姿も楽しめます。

三軒茶屋駅前の「キャロットタワー」は最上階に展望スペースがある

100周年記念の関連では、三軒茶屋駅から徒歩7分の「世田谷区立下馬図書館」で「旧玉電 世田谷線の記憶展」(入場無料)が6月11日(水)まで開かれているほか、5月中は世田谷線の1編成が「なつかしのギャラリートレイン」となっており、車内に飾られた古い写真などで100年の歴史を振り返ることができます。

田園都市線の三軒茶屋駅は地下にあるが、世田谷線の乗場はキャロットタワーの1階部分に置かれており、少し離れている

日吉や綱島では若干馴染みの薄い世田谷線ですが、同じ東急沿線なので「東急線ワンデーパス」(大人780円)などの各種フリー券で訪れることができ、土曜・休日には小学生が100円で東急全線が1日乗り放題となる「東急線キッズパス」も設定されています。

このゴールデンウィーク中の日帰り旅行にもおすすめで、のんびり走る世田谷線の電車は子どもと一緒に楽しめるのではないでしょうか。

なお、来年(2026年)2月には東横線の日吉と綱島をはじめ、多摩川、新丸子、大倉山、菊名、妙蓮寺、白楽、反町の各駅が開業100周年を迎えることになっており、世田谷線“ほぼ同期”と呼べる存在です。

【関連記事】

東急が「100年の歩み」特設ページ、日吉や綱島などの貴重な沿線史(2022年5月30日)

【参考リンク】

東京のふるさと「世田谷線」(イラスト沿線マップなど、渋谷方面への路面電車路線が廃止され「世田谷線」という路線名に変ってから50周年を祝った際の特設サイト)

東急電鉄「世田谷線」路線情報(各駅の案内など)

「東急線ワンデーパス」(東急線各駅の券売機で販売、大人780円、こども390円)

「東急線キッズパス」(土・休日のみ使用可、こども100円で1日乗り放題)

「東急線・東急バス 一日乗り放題パス」(大人1090円、こども560円、バス車内での購入方法はページ下部参照)


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