駅前にふさわしい土地の高度利用が十分に図られていない――。綱島駅東口の駅前再開発で、書面によって行われた「公聴会」時に寄せられた高層ビルを疑問視する2氏の意見に対し、横浜市都市整備局が今月(2021年)12月20日に市としての“考え方”を公表しました。
先月11月16日に公開された2氏の書面では、27階建ての高層ビル建設に対する疑問や、敷地に余裕がない場合は駅前広場(約1100平方メートル)はビルの1階や2階に設けるべきではないかとの意見、また、眺望や日照が損なわれるという懸念、再開発への反対意見に対する対応はどうなっているのかなどの問いが盛り込まれていました。
これに対し、市側は下記のような考え方を示し、理解を求めています。
公聴会意見に対する「市の考え方」(要旨)
(※)「横浜市都市計画マスタープラン港北区プラン」と「横浜市による都市再開発の方針」について市の詳細ページにリンクを貼っています
<高層ビルの必要性について>
- 東口駅前は、老朽化した建物が多く、防災性や駅前にふさわしい土地の高度利用および都市機能の集積が十分に図られていない状況である
- 「横浜市都市計画マスタープラン港北区プラン」では、「新駅の整備を契機として、駅周辺のポテンシャルを生かした駅前にふさわしい土地利用を誘導する」こととしている
- また、横浜市による都市再開発の方針(横浜国際港都建設計画)では、綱島駅東口地区を「2号再開発促進地区(特に一体的かつ総合的に市街地の再開発を促進すべき相当規模の地区)」として位置付けている
- 駅前にふさわしい土地の高度利用を図るため、建物高さの最高限度について、北棟を含む北側を31メートル以下、南側を100メートル以下とした
- 当再開発区域は、商業地域に立地することから、法的に日影の制限は規定されていない
<駅前広場の必要性について>
- 東口駅前の道路の混雑等が課題となっていることから、当再開発において整備する駅前広場にタクシーおよび一般車の交通を移し、駅前の道路の交通量を低減させる
- 駅前広場は、施設建築物の配置や綱島駅および新綱島駅の出入口の位置を考慮し、事業区域内で施設建築物に隣接して整備する
- 東口駅前のバス便の約半数を新駅(新綱島駅)側に移すが、タクシーおよび一般車については、東口駅前に必要な交通機能である
<商業施設の内容と工事期間>
- 商業の計画については、再開発準備組合で検討中であり、店舗数や業種、営業時間は未定のため、竣工までに業態を決定する
- 建設期間については、現時点ではおおむね3年程度を予定しているが、今後、詳細な工事計画を再開発準備組合が策定する
<再開発に対する合意について>
- 再開発準備組合がおおむねの権利者から合意を得ている。そのうえで、横浜市が都市計画手続を進めているものだ
- 説明会の実施については、必要に応じて検討する。今後も、当再開発に対して権利者の皆様や地元の方々のご理解が得られるよう、努めていく
………
なお、今後の都市計画決定の手続きとして、地区計画原案の縦覧(じゅうらん)と地区内の“利害関係者”を対象とした意見書の受付などが行われる予定です。
【関連記事】
・ビルの高層化を疑問視、綱島東口の駅前再開発「公聴会」で2氏が意見表明(2021年11月22日、2氏による意見の詳細)
・綱島東口「駅前再開発」で説明動画、“350戸タワマン”や駅前広場の概要も(2021年9月21日、再開発の詳細)
【参考リンク】
・横浜市「市素案縦覧・公聴会」(綱島駅東口駅前地区について「公述意見の要旨と市の考え方」も)
・過去に開催した説明会(2021年度)の一覧(横浜市都市整備局)※「綱島駅東口駅前地区」の資料も