東急線にも影響与えた「湘南新宿ライン」、運行20周年で1都4県スタンプ巡り

横浜日吉新聞

今では“当たり前”となった画期的な路線の誕生から20周年を迎えます。東急東横線にも影響を与えたJR東日本の「湘南新宿ライン」が来月(2021年)12月1日で運行開始から20年を迎えるのにあわせ、JR横浜支社は武蔵小杉や横浜など1都4県(神奈川・埼玉・群馬・栃木)の20駅を対象にスマートフォンでQRコードを読み込む「電子スタンプ」を集めるスタンプラリーを来年(2022年)1月10日(月・祝)まで行っています。

2001年12月に「湘南新宿ライン」が運行を始めた際の直通運転イメージ、翌年12月に大崎駅にもホームが設けられ、2010年には武蔵小杉駅が追加されたが、20年経った現在も大きくは変わっていない(JR東日本の2001年9月21日ニュースリリースより)

今から20年前に運行を始めた「湘南新宿ライン」は、東京や上野といった従来の中心駅を通らず、新宿や渋谷、池袋といった大手私鉄と交わる西側の大型ターミナル駅から横浜などの東海道沿線や埼玉、群馬(高崎線)、栃木(宇都宮線・東北本線)方面を直接結べるようにした路線。

それまでJR線は、東海道本線(横浜方面)は東京駅、高崎線や宇都宮線(東北本線)は上野駅と路線ごとに発着駅が分かれていましたが、湘南新宿ラインによって、東海道沿線から乗り換えせずに、渋谷駅や新宿駅を経由して高崎線や宇都宮線方面へ直通できるようなり、1都4県を直接結ぶ新たな鉄道網が生まれました。

そのルートは若干複雑で、大船駅から横須賀線の線路を使って、新川崎駅や武蔵小杉駅を経由して山手線の駅でもある大崎へ至り、ここから山手線に沿って設けられた貨物線(埼京線と共用)を走行。

山手線内では恵比寿、渋谷、新宿、池袋の4駅だけにホームを設け、田端駅付近から宇都宮線・東北本線と並走する貨物線を通って赤羽・大宮方面へと向かっています。

日本最大の新宿駅と東海道沿線を結ぶ

2010年3月に横須賀線・武蔵小杉駅が開業した際には「湘南新宿ライン」も全列車を停車させた。その後も乗降客は増え続け、ホームの増設工事も実施中(写真右側)(2021年6月)

湘南新宿ラインという愛称が付けられたものの、新路線というよりは、従来からあった横須賀線や貨物線の線路を活用した「直通速達サービス」(運行開始当時のニュースリリース)という位置付けで始めたものでした。

また、愛称名が示すように、日本最大のターミナル駅である新宿と、横浜などの東海道沿線を直通させることに重きが置かれており、2001(平成13)年12月の運行開始当初は、新宿駅始発の横浜・大船方面行列車も新たに設け、一部は2階建ての車両で運行していました。

東急と地下鉄の直通運転に対抗

新型コロナ禍もあってイベントは見られなかったが、目黒線と地下鉄の相互直通運転が始まってから2020年9月で20年、埼玉高速鉄道を含めた4社・局が乗り入れるようになってから数えると2021年3月で20年だった(日吉駅のポスター、2021年4月)

当時のJR東日本によると、「整備が進む東京圏の地下鉄網や、大手私鉄との競争に対応するため」(「アニュアルレポート2001年3月期」)に湘南新宿ラインを始めることになったといいます。

その背景には、1年3カ月前の2000(平成12)年9月東急目黒線東京メトロ南北線・都営三田線と直通運転を開始し、東急沿線から東京都心部を経て東京北部までの鉄道ネットワークが築かれたことで、乗客を奪われる危機感が大きかったと言われています。

一方、JRから“ケンカ”を売られる形となった東急電鉄は、それまで停車駅の多い急行を運行しているだけだった東横線をテコ入れし、湘南新宿ラインが運行を始める9カ月前の2001年3月から「東横特急」と題して特急を新設主要駅である日吉を通過させてまで速達性を重視し、渋谷と横浜・桜木町(当時)間でJRに対抗しました。

「湘南新宿ライン」に対抗する形で設定された東横線の特急、当時は“東横特急”と呼んでいた。のちに日吉も停車する「通勤特急」が登場(2004年、東急桜木町駅)

その後、東急電鉄は、みなとみらい線への乗り入れ(2004年)や、目黒線での急行運転(2006年)を開始し、武蔵小杉駅止まりだった目黒線の日吉駅延伸(2008年)も完成。

2013年3月になると、東横線では東京メトロ副都心線を通じて西武鉄道や東武東上線との相互直通運転も始まり、利便性を高めるとともに直通路線網をさらに拡充

横浜市内中心部を含め、東横線・目黒線沿線から都心部を経て埼玉県までの一大ネットワークを築いています。

新設の武蔵小杉には全列車を停車

新川崎駅では「湘南新宿ライン」のうち、宇都宮方面へ直通する列車のみが停車する

対する湘南新宿ラインは、横須賀線や貨物線(埼京線)と線路を併用していることなどから運行できる本数には限界があるものの、ダイヤ改正の度に増発して利便性を向上させていきました。

2010(平成22)年3月横須賀線の武蔵小杉駅が設けられた際には、同じ線路を使っている湘南新宿ラインも全列車を停車。高崎線からの列車を通過させ続けている同じ川崎市内の新川崎駅と差を付け、東急線に揺さぶりをかけます。

相鉄線への“分岐駅”となった武蔵小杉は、乗り入れにより結果として新宿方面への列車が増発することになった

さらに2019年12月には「相鉄・JR直通線」が開業し、武蔵小杉駅を通じて乗り入れが始まったことで、武蔵小杉駅と新宿駅の間は結果として「増発」に成功。

また、昨年(2020年)6月には山手線と離れていた渋谷駅の湘南新宿ライン用ホームを移設し、渋谷駅での乗り換え環境も改善しています。

20年の間、競争相手でもあった東急東横線や目黒線の変化と合わせるように、利便性を高め続けてきた湘南新宿ライン。日吉や綱島からは、武蔵小杉駅や渋谷駅、横浜駅に加え、日吉駅から路線バスが通じる新川崎駅も含めて乗り換えできる駅は多く、身近な存在といえます。

改札外ポスターのQRでスタンプ獲得

「湘南新宿ライン20周年~スマホでめぐるスタンプラリー」の特設ページ、最初に簡単な登録が必要

今回企画されたスタンプラリーでは、湘南新宿ラインが走る「横浜」(武蔵小杉・横浜・大船・逗子)、「湘南」(藤沢・平塚・国府津・小田原)、「新宿」(大崎・新宿・池袋・赤羽)、「宇都宮線」(大宮・古河・小金井・宇都宮)、「高崎線」(鴻巣・籠原・高崎・新前橋)の各エリアごとに4駅でスタンプを設置。

各駅の改札外に貼られているポスターのQRコードをスマートフォンで読み取ると、湘南新宿ラインを走った歴代車両の「行先表示」を模したデザインのスタンプが配信されるという仕組みで、初回のみ簡単な登録が必要です。

スタンプは駅改札外にあるポスターを探し出し、QRコードを読み取ることで配信される。武蔵小杉駅は横須賀線側の新南口にひっそりと貼られていた(11月25日)

2エリア(8駅)のスタンプを集め、賞品引換が可能な駅コンビニ「NewDays(ニューデイズ)」(横浜駅、大船駅南口、大崎北口など7店舗)で交通系電子マネーを使って税込300円以上の買物をすると「横サボシール」がもらえるとのこと。

また、全20駅のスタンプを集めると、賞品引換が可能な「NewDays」で先着2000人に湘南新宿ラインの行先表示をデザインした「オリジナルノート」がプレゼントされます。

スタンプラリーの範囲は広いのですが、この機会に湘南新宿ラインの利便性をあらためて知るためにも、JR武蔵小杉駅や横浜駅などから1都4県を巡る旅に出てみてはいかがでしょうか。

【関連記事】

<JR武蔵小杉>横須賀線ホーム増設は「22年度末」、東急駅と改札外乗換ルートも(2020年3月27日、乗客増のJR武蔵小杉駅はホーム増設中)

<神奈川県など>新川崎駅の駅舎改良と湘南新宿ラインの停車増を要望(2020年12月11日、高崎線の列車は通過していることに改善を求めている)

【参考リンク】

湘南新宿ライン20周年~スマホでめぐるスタンプラリー(2021年11月25日~22年1月10日、JR東日本)


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