横浜市の中学生向け「ハマ弁」は冷めても旨い! 昼食準備の心理的な負担減に期待

横浜日吉新聞

ひよしコラム横浜市内の一部中学校で、昨日(2016年7月1日)から配達型弁当の「ハマ弁」が始まりました。中学校での給食実施率が全国ワーストの神奈川県ですが、川崎市で完全給食の試行が始まるなど、給食を求める動きは年々強まっています。一方で横浜市は給食ではなく、市が主導する独自の配達弁当を安価で提供するという策を打ち出しました。このハマ弁、普通の弁当と何が違うのでしょうか。初日の様子をレポートしました。

日吉駅からグリーンラインでわずか15分、都筑区の都筑ふれあいの丘駅

日吉駅からグリーンラインでわずか15分、都筑区の都筑ふれあいの丘駅

7月1日にハマ弁の提供が始まったのは青葉、緑、都筑の3区12校です。今後、港北区内の中学校にも今年10月または来年1月までには必ず提供が行われます。昨日、都筑区の「荏田(えだ)南中学校」で、ハマ弁を注文した生徒の様子が報道関係者や同校PTA役員らに公開されるとともに、試食会が行われました。

日吉駅から地下鉄グリーンラインで15分ほど、センター南駅の次、「都筑ふれあいの丘」駅から歩いて十数分の場所にある荏田南中学校は1983(昭和58)年の創立。中学校と小学校、幼稚園の3つが並んで建てられているという優れた計画性は、新しい街「港北ニュータウン」ならではです。

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今は様子見の生徒も「これがハマ弁か!」と注目

荏田南中学校では初日にハマ弁を注文したのは11人だけだったが、クラスでは注目を集めたという

荏田南中学校では初日にハマ弁を注文したのは全校で11人だけだったが、クラス内では注目を集めたという

728名いる全校生徒のなかで、この日ハマ弁を注文したのはわずか11人。「今日から初まったばかりなので、まだ様子を見ているのかもしれません」と同校の和気昭彦副校長は話します。とはいえ生徒の関心は高いようで、注文した生徒は教室内で「これがハマ弁なのか」とクラスメイトから注目を集めたといいます。教職員も利用が可能で「妻に昼食の手間をかけないように」と和気副校長自身も注文していました。

ハマ弁はインターネットの専用サイトから申し込みが可能で、配達日の7日前までに注文する形となります。ネットが使えない場合は、FAXでの注文もでき、その場合は毎月20日に翌月分の発注が必要です。

地元の著名仕出し店の弁当類は当日の朝でも注文が可能

地元にある有名な仕出し店の弁当類は当日の朝でも注文が可能で、校舎内まで持ってきてくれるため現時点ではハマ弁より便利

同校ではすでに、地域の仕出し事業者から弁当を購入することも可能としています。当日の朝まで注文ができるといい、4時間目が終わる頃には、事業者が校舎内まで運んで生徒に手渡してくれます。

急な昼食対応という点で、現時点では一週間前が注文締切となっているハマ弁は弱いところ。これは、工場で集中調理をしているためなのか、それとも従来から利用されている地域の事業者と“競合”を避けるためなのかは分かりませんが、今後は締切の短縮を求める声が出てくるかもしれません。

川崎市内にある工場(3つの事業者それぞれで担当エリアと工場の場所が異なる)で作られたハマ弁は、専用のロゴが描かれた軽乗用車のバンで昼前までに学校へ届けられます。スタッフもハマ弁ロゴの入った服装です。生徒へ手渡すまでは専用の貯蔵庫で保管されるといいます。

栄養バランスに配慮、専用容器に細かな工夫も

ハマ弁のおかずは冷えていても、ほぼ見た目通りの味で、冷めても味が変わらないような調理を工夫。また、肉類と魚類で容器のロゴの色が異なる細かなこだわりも

ハマ弁のおかずは冷えていても、ほぼ見た目通りの味で、冷めても味が変わらないような調理を工夫。また、肉類と魚類で容器のロゴの色が異なる細かなこだわりも

この日のメニューは、Aが「煮込みハンバーグ」、Bは「たらのカレームニエル」で、主菜以外の「スイートキャロット」「キャベツとウインナーの甘酢和え」「マッシュポテト」「ほうれん草のソテー」はABとも共通です。ごはんは大盛り(250グラム)、中盛り(230グラム)、小盛り(190グラム)の3つから選択が可能。価格は1食360円です。これに加え、日替わりの汁物(30円)と牛乳(80円)も同時に注文ができます。

おかず類が入ったケースにもハマ弁のロゴマークが入っており、フタの上に汁物とご飯の一式を載せて運びやすくするための溝が付いているなど、容器にも工夫が見られます。なお、箸やスプーンは生徒各自で準備する必要があります。

ハマ弁を注文した運動部の女子生徒にはクラスメイトから「おかずが足りないだろ?」とすぐさま「ふりかけ」が出てきたのはさすが!

ハマ弁を注文した運動部の女子生徒にはクラスメイトから「おかずが足りないだろ?」とすぐさま「ふりかけ」が出てきたのはさすが!

ご飯と汁物はほぼ温かい状態で提供されますが、おかず類は衛生管理の面から冷たいままです。かつて大阪市では冷たいおかずの給食に生徒から大ブーイングが出たことが話題となりましたが、ハマ弁は、冷たいままで食してもほとんど気にならない味。冷めても美味しく食せるよう、素材の味を逃さない調理方法などで工夫しているといいます。

また、メニューは栄養バランスを確保するため、「主食(ごはん)3:主菜(メインのおかず)1:副菜(その他のおかず)2」という割合の献立になっています。そのため、メインのおかずが若干控えめで、ご飯を大盛りにすると、ご飯だけが残ってしまうようなことも考えられます。今後は“マイふりかけ”なんかを持参する生徒が現れるかも、と思ったりします。

この日、実際に食べた生徒からは「メニュー表を見ておいしそうだと思ったから注文した」「量もちょうどよかったしおいしかった。次も注文したい」との声があがっていました。また、「無理かもしれないけど、メニューに寿司があればうれしい」との声もあり、周りの報道関係者が「なるほど」とうなずき、教育委員会の担当者とハマ弁担当の事業者は「うーん、今は難しいかも」とうなっていました。ただ、事業者は「すでに、ちらし寿司的なメニューなら考えていた」といい、新メニューの要望にも積極的に応えていきたい様子でした。

「家庭弁当のない1割」に入る心理的な壁

荏田南中学校3年生の昼食風景

荏田南中3年生の昼食風景

今回訪問した荏田南中学校では現在、生徒の約9割が家庭からの弁当を持参しており、地域の事業者による仕出し弁当を注文するのは30人から50人だといいます。港北ニュータウンという共働き率が極端に低いという土地柄でもないなかで、中学生の子を持つほとんどの両親は朝から弁当づくりを行っていることになります。

この日、ハマ弁を食べた生徒の一人から「親が助かったと言っていた」との声も聴かれました。毎日の弁当作りが大きな負担であっても“家庭弁当のない1割”に入ってしまう心理的な壁から、無理をして作らざるを得ないことも考えられます。これまで横浜市は、完全給食を求める声に対し「昼食は家庭の責任」と一貫して突き放してきた理由も、声をあげづらい保護者の日々の頑張りに支えられてきたのかもしれません。

今回のハマ弁はいわば市の“公認弁当”。家庭で弁当が準備できない時でも、生徒が安心して昼食を食べられるように導入されたものです。中学生の子を持つ家庭で、昼食に対する心理的な面での負担が少しでも減ることになれば、まずは成功と言えるのではないでしょうか。

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【参考リンク】

ハマ弁の公式ホームページ


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