<川崎市>高津区の中学校で初給食、財政難の横浜市は今も「家庭弁当」推奨 | 横浜日吉新聞

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下田町から比較的近い場所にある東橘(ひがしたちばな)中学校は今年から子母口(しぼくち)小学校と併設のうえ、2015年から新しい校舎を整備した(同中学校ホームページより)

下田町から比較的近い場所にある東橘(ひがしたちばな)中学校は今年から子母口(しぼくち)小学校と併設のうえ、2015年から新しい校舎を整備した(同中学校ホームページより)

川崎市はきょう2016年1月7日から、高津区子母口(しぼくち)の東橘(ひがしたちばな)中学校(元住吉駅から2.3キロ、下田小学校から1.9キロの場所)で給食が始めます。同市では来年(2017年)12月までに52校ある市立中学校で完全給食の実施を予定しており、その試行となります。

川崎の市立中学校では、古くから家庭弁当の持参を基本とし、牛乳のみを配布する“ミルク給食”が実施されてきましたが、2013年11月に中学給食実現を公約にした福田紀彦(のりひこ)現市長が当選したことで、実施に向けた動きが加速しています。

今回の東橘中学校における試行では、全学年の生徒に給食が提供され、給食費は1~3月分で1~2年生が1万2330円(1カ月あたり4110円)、3年生は1万1220円(同3740円)となりました。

同中学校では昨年秋に近隣の子母口小学校と併設整備が行われたため、その共同調理場を使い調理するといいます。

神奈川県の公立中学校では全体の25%しか完全給食が行われていませんが、政令指定都市の相模原市をはじめ、小田原市や厚木市、大和市などでは実施されています。人口147万の川崎市が動き出したことで、県内の他自治体にも影響を与える可能性があります。

横浜市は中学校の給食以前に宅配弁当の「革命」を行うことに懸命

横浜市は中学校の給食以前に宅配弁当の「革命」を行うことに懸命

一方、日本最大の自治体であり、県内最大の148中学校を抱える横浜市では、「保護者が、子供の心や体の成長や健康状態を見守る機会や、思春期にある子供との会話のきっかけにもなる。子供たちにとっても保護者への感謝の気持ちが芽生え、また、自分でつくる子供にとっては自立心や生活力が身につくなど、家庭弁当はよい面がある」(2015年2月24日の横浜市会における林文子市長答弁)などとの理由から給食実施には消極的な姿勢を崩していません。

昨年10月に行われた「ティー・ミーティング~ようこそ市長室へ」のなかで林市長は、「中学校給食の実施については、給食センターの建設用地や財政的な課題があります。また、一方でお弁当の存続を強く望まれている声もあります。しかし、そこで立ち止まるのではなく、何かできないかと考え、中学校昼食の充実に向けて、家庭弁当を基本としつつ、栄養バランスのとれた温もりのある昼食、『横浜型配達弁当』を提供することとしました」と説明しています。

日本の政令指定都市のなかで、公立中学校における学校給食をまったく行っていない自治体としては大阪府堺市が残るものの、2013年に再選を果たした市長が実施の意向を表明しています。横浜市だけが今も「家庭弁当」や「配達弁当」に固執せざるを得ない点では、稀有(けう)な存在となりそうです。

(※)見出し左側の写真は東橘中学校の「食育だより(パクパク通信)」2015年12月号より、給食実施へ向けた準備の様子

【参考リンク】

川崎市立東橘中学校における中学校完全給食の試行実施について(川崎市教育委員会)

神奈川県内の給食実施状況PDFファイル、2013年5月1日現在、神奈川県)

「横浜にも中学校給食があったら『いいね!』の会」との「ティー・ミーティング~ようこそ市長室へ」(2015年10月13日)

横浜は「ハマ弁」!!~横浜型配達弁当の正式名称が決まりました(2015年12月9日)


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