海水が混ざる綱島の鶴見川、汽水域の魚や生きものが暮らす「湿地」を整備 | 横浜日吉新聞

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綱島付近の鶴見川は海水が混ざる「汽水域」にあることを実感できる場となりそうです。

今年(2025年)3月、綱島東6丁目の鶴見川の河川敷で、汽水生物の住みかや餌場となる「綱島東汽水性湿地」が完成しました。

綱島東6丁目の鶴見川の河川敷に新たに完成した「綱島東汽水性湿地」のお披露目イベントには約20人が参加し生きもの探しや観察を楽しんだ(12月7日)

綱島東6丁目の鶴見川の河川敷に新たに完成した「綱島東汽水性湿地」のお披露目イベントには約20人が参加し生きもの探しや観察を楽しんだ(12月7日)

国土交通省京浜河川事務所の担当者から「汽水性湿地」についての説明や生息する生きものについての説明を行った

国土交通省京浜河川事務所の担当者から「汽水性湿地」についての説明や生息する生きものについての説明が行われた

先週12月7日にはこの完成を記念し、鶴見川流域水協議会国土交通省京浜河川事務所や東京都、神奈川県、横浜市などの流域自治体)NPO法人鶴見川流域ネットワーキング(TRネット、綱島西2)が現地で「お披露目イベント」としての初の自然学習活動を開き、汽水性湿地の生きもの観察などを行いました。

鶴見川の自然環境保全と再生のために整備され、「水辺のふれあい拠点」となる汽水性湿地。

綱島地区連合自治会の佐藤会長は「子どもの頃は鶴見川でうなぎも採りました」と“綺麗な川だった”という当時を懐かしみ、“汚れた川”時代を経て、また再び美しい川が戻ってきたことを喜ぶ

綱島地区連合自治会の佐藤会長は「子どもの頃は鶴見川でうなぎも採りました」と“綺麗な川だった”という当時を懐かしみ、“汚れた川”時代を経て、また再び美しい川が戻ってきたことを喜ぶ

人生を鶴見川とともに歩いてきたという鶴見川流域ネットワーキングの代表理事で慶應義塾大学名誉教授の岸由二さん。幼少期から流域で過ごしてきた半生を振り返り、「汽水性湿地」の復活を遂げたことへの熱い想いを語っていた

人生を鶴見川とともに歩いてきたという鶴見川流域ネットワーキングの代表理事で慶應義塾大学名誉教授の岸由二さん。幼少期から流域で過ごしてきた半生を振り返り、「汽水性湿地」の復活を遂げたことへの熱い想いを語っていた

かつて鶴見川沿いには湿地「ワンド(湾処)」と呼ばれる池のような水辺があり、陸地に食い込むような形となっていて流れも少なく、魚やカニ、エビなどの生息地となっていました。

しかし、都市開発による水質悪化や、1970年代以降は洪水対策での川幅の拡張工事によりそれらが減少。かつての鶴見川で見られた生態系を取り戻す取り組みの一つとして、汽水性湿地が設けられたものです。

説明を終え、早速「汽水性湿地」のワンドでの生き物探しがスタート

説明を終え、早速「汽水性湿地」のワンドでの生き物探しがスタート

今回、綱島東6丁目付近の鶴見川沿いに設けられた横約100メートル・縦約20メートルの汽水性湿地にはワンド入江ヨシ原干潟などの環境を整備。

干潟ではサギやカモなどの鳥類入江はニホンウナギやナガエビなどの水生生物ワンドではメダカなどの泳ぎが得意でない生物の生息地となることが期待されています。

特に綱島付近の鶴見川は、東京湾の海水が流れ込む「汽水域」となっており、今後はハゼやテナガエビ、ボラやスズキの幼魚などの姿が見られる可能性があるとのことです。

「お披露目イベント」で鶴見川の自然を満喫

イベントの実施にあたり、まずは今回の汽水性湿地の復活を担当した国土交通省京浜河川事務所の担当者が、鶴見川の生態系ネットワークや汽水性湿地について説明を行います。

続いて、地元・綱島地区連合自治会佐藤誠三会長が地元の代表としてあいさつ。「ここから近い鷹野大橋(鶴見区駒岡)の名前の由来は、江戸時代にこの地域で鷹狩りが行われていたと言われる自然が多い場所。かつてこの辺りには湿地がたくさんあり、今回のプロジェクトにより復活することは本当に楽しみ」と、これからの汽水性湿地の活用についての期待を語ります。

「綱島東汽水性湿地」では現場の環境整備や安全性などの観点から河川管理者の管理・監督の下、学校や地域の団体などでの自然観察教室や見学会を実施していく

「綱島東汽水性湿地」では現場の環境整備や安全性などの観点から河川管理者の管理・監督の下、学校や地域の団体などでの自然観察教室や見学会を実施していく

鶴見川流域ネットワーキングの代表理事で慶應義塾大学名誉教授岸由二さんが続けてあいさつ。新型コロナ禍前の2019年頃からワンドの整備を提案してきたといい、流域全体で行っている「花咲くアクションプラン」についても説明。

日本の古来から人々に親しまれてきたという「ハマカンゾウ」など、ユリ科ワスレグサ属の植物「カンゾウ(萱草)」を増やす取り組みを進めてきたことについても触れ、「鶴見川流域の生態系や植物に触れられる場所としての取り組みを進めてきました。(流域に咲くハマカンゾウなどの)ファンになってもらえれば」との想いを熱く語っていました。

川の下流や河口などで海の水(海水)と川の水(淡水)が混ざり合った環境の「汽水域」らしい生物が見られることも魅力となりそう

川の下流や河口などで海の水(海水)と川の水(淡水)が混ざり合った環境の「汽水域」らしい生物が見られることも魅力となりそう

この日参加した約20人の参加者や関係者が、魚釣りや生き物探し、また川辺にカンゾウの株を植えるなど、新たな「自然観察・体験の場」が誕生したことを喜び、ハゼやカニなどの生き物との出会いを楽しむ姿が見られていました。

今回披露された「綱島東汽水性湿地」については、現場の環境整備や安全性の観点から無許可での立ち入りは控えてもらいたいといい、今後は河川管理者のもとで、地域の団体や学校などでの自然観察教室や見学会に活用される予定です。

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【参考リンク】

12月7日(日)綱島東汽水性湿地のお披露目イベント開催(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)

鶴見川流域水協議会(国土交通省 関東地方整備局 京浜河川事務所)


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