新コンセプトのグルメ宅配サービスが綱島や日吉、高田などの周辺エリアで始まります。地鶏をメインにした居酒屋チェーン「塚田農場」で知られる株式会社エー・ピーホールディングス(東京都豊島区)は、宅配専門店「キッチンクラウド」をきょう (2020年)10月22日に綱島駅東口でオープンし、新事業を象徴する旗艦店(代表店)と位置付け、綱島店での運営ノウハウを全国に広げていく考えです。
キッチンクラウドは、和・洋・中・アジアの料理を宅配するサービスで、もともとエー・ピーホールディングスとしては「4~5年かけて徐々に始めようと思っていた」(米山久CEO)という新規事業。
ところが新型コロナウイルス禍で店舗の営業が制限され、「エース級のスタッフを新規事業に投入できた」(同)ことも奏功し、急ピッチで立ち上げることができたといいます。
同社が運営する全国約200店のなかから、3カ月ほどかけて首都圏の「塚田農場」など7カ所でキッチンクラウド事業の実験を行ったのち、旗艦店を設ける場所として着目したのが綱島東口駅前で同社が営業していた「やきとりスタンダード綱島店(旧「塚田農場綱島店」)」です。
同店は、綱島駅東口から徒歩1分以内のビル1階にある「路面店」で、出入口の裏側にあたる綱島街道側には、宅配用バイクの駐車スペースを確保できる強みもありました。
加えて、宅配エリアとする綱島や日吉など店舗から3キロ圏内に住宅街が広がっている点も適しており、同店の目の前では新綱島駅(仮称)が開業を予定するなど、周辺で再開発が行われる将来性も考慮したといいます。
8月末に「やきとりスタンダード」を閉じ、約1カ月間の改装工事で完成させた「キッチンクラウド綱島店」では、「日常と高級の間にある“ちょっとプレミアム”という部分」(同社)を打ち出し、客単価は4000円程度と想定。主に共働き世帯や家族向けの宅配需要を狙う考えです。
そのため、「弁当のような使い捨て容器では料理の魅力が半減してしまう。店舗で食事する時に近い状態で運びたい」(米山CEO)として、店舗同様の食器を使用し、後に回収する形にしている点が特徴です。(※10月22日追記:包材での配達も可能。また、現時点で食器での宅配は11月以降になるとのこと)
宅配メニューは、宮崎県産有田牛を使った「幸福のハンバーグ」(1300円、金額はいずれも税込み)や、塚田農場が得意とする若鶏を使った「チキン南蛮」(1000円)、四川風の「麻婆豆腐」(1200円)、茨城県の老舗干物店の「焼き鯖」(750円)、洋食を盛り合わせた「海老フライの大人のお子様ランチ」(1500円)など、家庭で“おかず”として食されることをイメージしたメニューが目立ちます。
一方、ランチ需要も見越し、「ガパオライス」(1100円)や「牛ホホカレー」(1500円)、「ふわとろオムライス」(1100円)、「カツ丼ロース」(1400円)といった“ご飯もの”も用意。また、居酒屋チェーンらしく「フライドチキン」(680円)や「枝豆」(500円)といった一品メニューも複数ラインナップされていました。
現時点では店舗から約3キロ、15分程度で届けることが可能な場所を配達エリアとしており、綱島や日吉、高田の全域に加え、綱島街道に接した店舗という立地を生かし、港北区内では樽町や大曽根、師岡、新吉田東、新吉田町、大倉山、菊名エリアまで足を伸ばす予定。
日吉エリアに接する川崎市中原区の井田2丁目や幸区の南加瀬2丁目から5丁目、さらに鶴見区の駒岡や獅子ヶ谷も配達範囲としています。
綱島店の店舗内で飲食はできないものの、商品の受け取りは可能で、持ち帰りの場合は価格を2割引に設定しています。
配達時間は12時から15時と16時から21時で、注文は1500円以上からインターネットと電話で受け付けるとのこと。
宅配事業の旗艦店と位置付ける綱島店では今後、半調理品(ミールキット)や蒸し料理、煮込み料理、鍋料理などの提供も視野に入れており、一定金額を支払えば定期的に食材や料理を届ける「月ぎめ契約」のモデルも導入していく予定。
同店で蓄積したノウハウをもとに宅配事業を全国へ広げたい考えで、塚田農場などの傘下店舗への導入や、フランチャイズ展開も計画しているとのことです。
【関連記事】
・綱島駅東口で8月閉店の塚田農場、10月から廉価な「やきとりスタンダード」に(2016年9月5日、キッチンクラウドに再業態転換することに)
【参考リンク】
・キッチンクラウドのメニューと注文(7ケタの郵便番号を入れると配達の可否が表示される)
・株式会社エー・ピーホールディングス(エー・ピーカンパニー)の公式サイト