初の東急電鉄乗り入れに向け、苦心の末に自慢の車両が完成しました。相模鉄道(相鉄)はきのう(2018年1月)17日、「相鉄・東急直通線」向けの新型車両を公開し、“東急仕様”とするために設計やデザイン面で苦心したことを明かすとともに、「これからは車両自体が比較される時代になる」(同社)と自信作であることをアピールしました。
今回公開された相鉄の「20000系(2万系)」は、2022年度下期(2022年10月から2023年3月末=平成34年度下期)に開業予定の相鉄・東急直通線用に開発された車両で、先に開業する「JR・東急直通線」(2019年10月から2020年3月末=平成31年度下期に開通予定)向けの車両より早く相鉄線へ投入されることになります。
同社にとって9年ぶりとなる新型車両は、「(相互乗り入れにより)各社が“エース車両”を投入するため、車両自体が比較されることになる。来るまで『待ってでも乗りたい』と思ってもらえるような車両に」(相鉄運輸車両部の関根雅人車両課長)と、車内は高い天井を採用し、優先席には立ち座りを容易にする「ユニバーサルデザインシート」を導入。全車両でWi-Fiの提供を予定するなど、快適性の向上に力を注いでいます。
また、デザイン面では外観を相鉄の新たなイメージカラーである「ヨコハマネイビーブルー(濃紺色)」一色のみで塗装。車両の先頭部分は「日本文化をベースに能面をイメージした」(相鉄の滝沢秀之社長)という立体的でインパクトのある形とし、新型車両を通じて都心部でも相鉄の知名度向上を図りたい考えです。
一方、相鉄はJR線と同じ仕様の車両を使っているものの、東急とは異るため、「乗り入れるのは5年ほど先だが(相鉄にとっては)例のない装置を入れるために乗務員の訓練が必要で、(JR直通線の車両よりも)先に作ることになった」(関根車両課長)といいます。
東急の仕様に合わせるうえでは、相鉄よりも車両の幅を小さくしたり、先頭部の前面に脱出用の貫通扉を付けたりすることが必要。もっとも車体幅が狭い東急目黒線に合わせるために車幅を200ミリ程度狭(せば)め、インパクトのある形を志向した先頭部にも貫通扉を設置。そのうえで、車体の幅を小さく感じさせず、貫通扉が目立たないようにデザイン面で工夫を行ったと明かします。
今回の新型車両は、現在は東急線の目黒駅や渋谷駅まで乗り入れることは決まっています。「(目黒駅や渋谷駅より先の)どこまで行くかは今のところ決まっていないが、ある程度は行ける形にはしている」(同)と話し、東京メトロや都営地下鉄区間への乗り入れを想定していることをうかがわせました。
なお、当初は昨年(2017年)12月から相鉄線内で営業運転を開始する予定としていましたが、横浜駅のホームドアに対応できないなどの理由から遅れたとのことで、来月(2月)11日から相鉄線内で運転を開始する予定。当面は1編成のみとし、今後はJR直通線の新型車両を開発する計画です。
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