アピタ日吉店の1階トイレ付近に置かれた「お客様の声のポスト」というコーナーをご存じでしょうか。利用客が自由に意見などを“投書”し、それに店長が回答をするという「目安箱」的なもので、普段は要望や意見が中心ですが、今は閉店を惜しむ声で埋まっており、いかに地元で愛されていたのかの一端を伺い知ることができます。
「子供の頃からここに来て、自分が親となり子供と共に楽しい思い出をたくさんありがとうございました!」
親子二代にわたって利用してきた人にとっては、アピタ日吉店を通じて39年間の月日を思い起こし、ほろりとしてしまいそうな声です。
「今までありがとうございました。1階で元巨人軍・緒方選手のトークショーを見たのが思い出です。大きなTVも憩いの場でした」(声)
「『集いの木陰』(編注:大型テレビがあった場所とみられます)では若貴兄弟の優勝決定など大いに盛り上がった事など懐かしく思い起こされます」(店長)
今は店内も様変わりし、イベントが行われることも少なくなったアピタ日吉店ですが、1990年代の華やかで賑やかな光景が思い浮かんできます。同時に、この20年ほどの間にアピタのような「総合スーパー」の役割が変化したことも実感させられます。
また、専門店街に対する声もありました。
「チェーン店ばかりの多いなか、ヒラタさん(編注:1階専門店街にある宝飾品店)のような個人店が頑張っているのは珍しいですね。ユニーさんもこのようなお店を大事にされたほうがいいと思いますし、新しいお店にもヒラタさんが出られることを希望します」
新たにオープンが予定されている「アピタ横浜綱島店」(綱島東4丁目の「綱島SST内」に2017年4月以降完成予定)では、どんな専門店街となるのか。その答えが出るまでに、あと1年半以上の時間を要してしまうのが残念なところです。
10月7日現在貼り出されていた声のなかで、もっともユニークだったのが以下のやり取りでした。
「あぴたでおかあさんとおかいものたのしかったです。あぴたがなくなったらなんていうまんしよんができるんですか」(声)
「あぴたのあとは、あぴたではないのでわかりません。ごめんなさい」(店長)
誰もが気になっていることをズバっと切り込んだ子どもと、それを精一杯わかりやすく答えた店長。アピタの後は、アピタではなくなる――そんな日が現実に迫っていることだけは確かです。
店内ではあまり目立たない場所にある「お客様の声のポスト」ですが、閉店セールに行った際は、立ち寄って長年の思いを投稿してみてはいかがでしょうか。残された時間はあと少しです。
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