半世紀以上前の懐かしい日本の原風景を味わえる精細写真が並びます。
今週(2026年)1月16日(金)から新綱島駅直結の「ミズキーホール」で始まる写真展「昭和鉄道の原風景~地方私鉄」では、フィルムサイズが大きい「中判カメラ」で撮影した白黒写真50点が公開される予定で、1970年代の風景を細かな描写で切りとり、印画紙に焼き付けているのが特徴です。
写真展を企画したのは綱島在住の本橋剛さん。東急電鉄とJR南武線に囲まれた武蔵小杉駅(川崎市中原区)近くで生まれ育った本橋さんは自然と鉄道が好きになり、学生時代から日本の各地へ出かけ、地方都市を走る鉄道の風景を写真におさめてきました。
“蒸気機関車(SL)ブーム”と呼ばれた1960年中盤から70年中盤にかけて、全廃が近いSLを撮影しようと全国で写真愛好家が増えつつあるなかで、「どこかに人と同じことをしたくないという思いがありました」と、当時はあまり注目されていなかった地方の中小鉄道に着目。
カメラも35ミリと呼ばれる一般的な白黒フィルムを使う機種ではなく、大型のフィルムを用いる「6×6判」という中判カメラ(ブローニーカメラ)を愛用し、現在も撮影を続けているといいます。
「近くにギャラリーを備えたミズキーホールができましたし、70歳を超えて怖いものがなくなった気がします」と、昨年冬にはこれまでに撮りためた無数の写真のなかから旧型の機関車に特化した初の写真展「電機」を初めて開催。
好評を経て二度目となる今回は、地方鉄道をテーマに1970年代に撮影した無数の写真から50点をセレクトしたといい、「前後の写真を考えながら選びましたので、プリントしても泣く泣く出展できなかった写真が多数あります」と本橋さん。
写真についても、イトーヨーカドー綱島店の撤退により同店内で長年営業していた知識豊富な老舗写真店が閉店し、「納得のいくプリントをしてくれる事業者を探すだけでもかなり苦労しました」と振り返ります。
車内や沿線に写る人々にも注目

京都市内を走る京福電鉄本線で撮影された1977(昭和52)年の写真、学生服のような制服を着た車掌が持っているのは集電ポールを上げ下げするトロリーケーブル。本橋さんは「人物と光線と風景の調和をひたすら待った/爆音のブロニカでこれを撮るにはかなりの度胸がいる」と撮影コメントで当時を振り返っている(主催者提供)
そんな苦労を経てプリントされた正方形の白黒写真は、青森県の南部縦貫鉄道、山形県の山形交通、新潟県の新潟交通や蒲原鉄道、京都府の加悦(かや)鉄道など遠い昔に消えてしまった地方鉄道路線を交えながら、半世紀以上前の鉄道風景を凝縮。
今では見られないレトロな鉄道車両や駅はもちろん、注視したいのが車内や沿線に写り込んだ人々の姿で、運転士の隣で興味深そうに前面を眺める子どもや農作業中の老人など、表情や服装まで確認できるのは高精細写真ならではの楽しみ方となりそう。
作品の撮影場所となっているのは京都市内の嵐山などを走る京福電鉄本線(嵐電)や、福井県のえちぜん鉄道三国芦原線(京福電鉄三国芦原線)、長野県の上田電鉄、千葉県の小湊鉄道など現在も残る鉄道会社もあるため、現地へ赴けば半世紀の変化を感じられるかもしれません。
写真展は1月16日(金)から25日(日)までの10日間(※20日は休館)、11時から18時までミズキーホールの4階「ギャラリー」で開かれます。期間中は本橋さんが愛用する戦前のクラッシックカメラと撮影作品も展示する予定とのことです。
【参考リンク】
・2026年1月16日(金)~25日(月)開催「本橋 剛 写真展~昭和鉄道の原風景 地方私鉄」(港北区民文化センター「ミズキーホール」)
・港北区民文化センター「ミズキーホール」のアクセス情報(駅直結の「新綱島スクエア」4・5階)





