JR東日本が2026年3月に値上げ、国鉄時代から続く首都圏の“割安運賃”は廃止へ | 横浜日吉新聞

横浜日吉新聞

来年(2026年)3月に予定されているJR東日本の運賃値上げは、これまで40年にわたって見直されることがなかった旧国鉄時代の運賃体系を脱却し、首都圏の利用者に負担が増える内容となっています。3つの大きな変更点を紹介します。

朝のラッシュ時におけるJR武蔵小杉駅の横須賀線・湘南新宿ラインのホーム(イメージ)

JR東日本の運賃改定は2026年3月中(日付未定)に行う予定とし、今月(2025年)8月1日に国土交通省はJR東日本の申請通りに改定を認可しました。

私鉄も値上げし「意味合い薄れた」

今回の改定で最大の特徴は、首都圏の主要路線に設定していた割安な「電車特定区間」(山手線以外の旧「国電」区間)と「山手線内」の運賃体系を取り止めることです。

赤字で値上げを繰り返していたJR各社の前身である旧国鉄(日本国有鉄道)は、1984(昭和59)年2月の値上げ時に私鉄との競合が激しい都心部に限り、一般的な路線に適用される「幹線」よりも運賃を低く抑えて設けたのが電車特定区間や山手線内の制度でした。

JRの以前から国鉄を代表する鉄道路線だった「山手線」の運賃は特に割安に抑えられてきたが、それも来年3月で終了へ(イメージ)

1987(昭和62)年4月に民営化で発足したJR東日本は、旧国鉄の運賃体系を受け継いだうえで経営を安定化させ、消費増税時に運賃を変えることはあっても、運賃の大枠を変えることはありませんでした。

来春の改定ではこうした古い制度に手を付け、電車特定区間と山手線内を一般的な「幹線」に統合し、割安な運賃体系を取り止めたうえで値上げを行うことになったものです。

JR東日本の運賃改定特設ページではさまざまな説明資料を公表している(同特設ページより)

JR東日本は電車特定区間と山手線内の運賃を廃止することについて、「他の鉄道事業者が運賃を改定したことで、現在では運賃区分を分けて設定した意味合いが薄れています」「今後も当社で計画している設備投資額の大半を本エリアが占めております」などと理由を説明します。

その結果、値上げ率は電車特定区間普通運賃が10.4%、通勤定期では13.3%、通学定期は8.0%、山手線内普通運賃が16.4%、通勤定期は22.9%、通学定期は16.8%と2ケタの上昇が目立つことになりました。

現行の「電車特定区間」「山手線内」「幹線」と2026年3月に運賃区分の統一と値上げ後の「幹線」の普通旅客運賃表(JR東日本の運賃改定特設ページより)

一方、朝のラッシュ時間帯の利用を避けることで通勤定期券の15%割引となる「オフピーク定期券」はエリアを拡大して販売を続けるとのことです。

主なJR区間の2026年3月改定運賃

IC運賃=交通系ICカードでの利用時運賃、通勤=通勤定期1カ月運賃、小数点以下のキロ数は切り上げ

1~3km区間:渋谷~原宿(1.2km)/目黒~大崎(2.1km)/横浜~関内(3.0km)など

  • IC運賃146円/通勤4,280円IC運賃155円(+9円)/通勤4,910円(+630円)

4~6km区間:渋谷~新宿(3.4km)/目黒~品川(4.1km)/菊名~東神奈川(4.8km)など

  • IC運賃167円/通勤5,280円IC運賃199円(+32円)/通勤5,890円(+610円)

7~10km区間:武蔵小杉~川崎(7.5km)/目黒~新橋(9.0km)/武蔵小杉~品川(10.0km)など

  • IC運賃178円/通勤5,620円IC運賃209円(+31円)/通勤6,240円(+620円)

11~15km区間【山手線】:目黒~東京(10.9km)/渋谷~神田(12.4km=最短の中央線経由で算出)など

  • IC運賃208円/通勤6,290円IC運賃253円(+45円)/通勤7,840円(+1,550円)

11~15km区間【電車特定】:新川崎~品川(12.7km)/武蔵小杉~新橋(14.9km)など

  • IC運賃230円/通勤6,950円IC運賃253円(+23円)/通勤7,840円(+890円)

16~20km区間【電車特定】:武蔵小杉~東京(16.8km)/新川崎~東京(19.5km)など

  • IC運賃318円/通勤9,620円IC運賃341円(+23円)/通勤10,480円(+860円)

東急と競合の割安区間は一部廃止

今回の改定では、電車特定区間と山手線内と同様に、私鉄と直接競合する首都圏の30区間に設定していた「特定区間」についても一部を廃止し、12区間のみを残す方針となりました。

前身の国鉄時代に私鉄との競合対策で運賃を低く抑えるために設けられた「特定区間」は一部を廃止する。京浜急行との競合上から設けられた「新橋・品川~田浦・横須賀・衣笠・久里浜」や「横浜~田浦」などの区間についてJR東日本は「金額・所要時間・有効本数等のいずれの比較において他の鉄道事業者が優位であり、特定運賃を継続する有効性が無い」(2025年2月18日運輸審議会提出資料)としている(JR東日本の運賃改定特設ページより)

たとえば、東急電鉄の桜木町駅が無くなった後も設定されたままだった「渋谷~桜木町間」の特定区間は、廃止によって現在のIC運賃483円が616円に上がります。

一方、東急電鉄と競合する「渋谷~横浜間」「目黒~横浜間」は特定区間として今後も継続したうえで、現在のIC運賃406円を440円に引き上げるとのことです。

東京~熱海は在来と新幹線を分割

首都圏の乗客に若干の影響を与えそうな改定が「東京~熱海」間における乗車券の取り扱い変更です。

今回の値上げはJR東日本が単独で実施し、並行する東海道新幹線を運行するJR東海は運賃改定を行わないため、東京駅と熱海駅間では在来線(東海道本線)と新幹線で乗車券の運賃が変わることになりました。

東京から熱海へ行く際、特急「踊り子」は値上げとなり、東海道新幹線は変わらない。なお、特急料金の改定は行われない(イメージ)

現在、東京と熱海間の乗車券は、在来線と東海道新幹線は同じ線路として扱われるためどちらでも乗車ができますが、JR東日本(在来線)の値上げ後は運賃が異なることになるため、「在来線(東海道本線)経由」または「東海道新幹線経由」のいずれかを選択して乗車券を購入することになるとのことです。

【参考リンク】

JR東日本「運賃改定のお知らせ」特設ページ(2026年3月に実施予定)

国土交通省鉄道局「東日本旅客鉄道株式会社の旅客運賃の上限変更認可について」(2025年8月1日)

パブリックコメント募集「東日本旅客鉄道株式会社及び東海旅客鉄道株式会社からの旅客運賃の上限変更(計算方法及び適用方法の変更)認可申請について」(東京~熱海間の在来線と新幹線の運賃変更について、意見募集は2025年8月18日まで)


カテゴリ別記事一覧