横浜駅東口の「中央郵便局」付近に45階建て、“空飛ぶクルマ”離着陸場も計画 | 横浜日吉新聞

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【沿線レポート】横浜中央郵便局などが位置する横浜駅の「みなみ東口」で45階建ての高層ビルを建てる計画とし、環境影響評価の手続きが進められています。

横浜駅では渋谷・東神奈川寄りの「きた西口」周辺で再開発がほぼ完成しており、2020年の西口駅ビル「JR横浜タワー」のオープンに続き、昨年(2024年)3月には旧東急東横線の線路跡などを活用し、43階建ての再開発ビル「ザ・ヨコハマフロント(THE YOKOHAMA FRONT)」が竣工しています。

横浜駅にある出入口の位置図。駅ビルのある「東口」「西口」ほか、渋谷寄りを「きた」、みなとみらい寄りは「みなみ」と呼び、それぞれ東・西に出入口がある。たとえば「きた東口」は横浜ベイクォーター方面、「きた西口」は鶴屋町やザ・ヨコハマフロント方面、「みなみ東口」は中央郵便局とアソビル出入口、「みなみ西口」は横浜ビブレや相鉄ムービル方面などの用途がある(横浜市都市整備局の「横浜駅周辺図」に主要施設などの場所を書き加えた)

現在、計画が進められているのが保土ケ谷・桜木町(みなとみらい)寄りの「みなみ東口(中央郵便局側)」と「みなみ西口(相鉄側)」で、老朽化が進み始めている中小規模のビルが並ぶ駅前エリアを再開発しようという取り組みが始まっています。

相鉄側のみなみ西口は、同エリアの“大地主”である相鉄が再開発への意気込みを示したばかりの段階ですが、中央郵便局のあるみなみ東口は、「ステーションオアシス地区」と名付けられ、古くから議論が行われてきました。

みなみ東口にある「横浜中央郵便局」、写真の右下がみなみ東口の出入口、右奥に写るビルはJR東日本の会社施設で再開発の対象エリア(2025年6月)

商業施設とオフィス、ホテルなどに

みなみ東口地区と呼ばれるこのエリアは、中央郵便局と、その別館(旧集配施設)を活用したエンターテインメントビル「アソビル」を中心に中小規模のビルが10軒ほど建ち並ぶ一画。みなとみらい方面への玄関口として、歩きやすい環境の整備と密集した建物の集約化が構想されてきました。

中央郵便局の裏手から見た再開発エリア、真中の白いビルは中央郵便局が集配業務などに使っていた別館を暫定活用して生まれた「アソビル」、右となりは塾や医療機関などが入る9階建ての「クレアトール横浜ビル」、左下の京急の線路や踏切、左手の事業所と駐車場もエリアに入る(2025年6月)

同地区の主要な土地所有者である日本郵政グループJR東日本京急(京浜急行電鉄)、崎陽軒などの地権者は、昨年(2024年)6月に再開発準備組合を発足。

今年3月から環境影響評価(環境アセスメント)の手続きを始めており、この際に市街地再開発事業の計画概要を明らかにしたものです。

空中写真で見た再開発エリアと各ビルの位置、崎陽軒の本店ビルがある付近は対象外。なお、旧東横線の高架橋は今も残されている(地理院地図Vectorの写真をもとに施設名などを加筆した)

これによると、約1万4100平方メートルの計画区域内に高さ約218メートルの地下3階・地上45階建ての高層ビルを建てるとの内容で、工事は2028年度から始め、9年後の2037年に竣工予定としています。

地下2階から6階までを商業施設とし、13階(ロビー)と15階から33階をオフィスフロア、35階から41階は「サービスアパートメント」と呼ばれるホテルと賃貸住宅の中間的な施設、14階(ロビー)と42階から44階がホテル客室などとして計画し、延べ面積は21万5000平方メートルにおよびます。

現時点で計画する地下3階・地上45階建てビルの断面図、主に低層階は商業施設、中層階はオフィス、高層階がサービスアパートメントとホテルとし、屋上に“空飛ぶクルマ”の離着陸場(バーティポート)設置を検討する(2025年4月21日「第1回横浜市環境影響評価審査会」資料3、横浜駅みなみ東口地区市街地再開発準備組合「(仮称)横浜駅みなみ東口地区第一種市街地再開発事業 計画段階配慮書の概要」より)

次世代エアモビリティ実現を見据え

今回の計画で特徴的な点は、ビル屋上に“空飛ぶクルマ”の「バーティポート」と呼ばれる離着陸場の設置を検討していることと、敷地内の地上部に京急線の線路が通っていることです。

現在開催中の「大阪・関西万博」では“空飛ぶクルマ”の商用運航を目指していたが実現せず、モデルの展示や一部実機のデモ飛行にとどまっている(2025年6月)

空飛ぶクルマは、空中を使った移動手段として実用化が期待されており、“次世代エアモビリティ”とも呼ばれます。この実現を見据えて、ビルの屋上に離着陸ができる場所の設置を検討していく考え。

一方、計画地内に走る京急線については、線路をまたぐ形空中部にデッキを設ける計画としており、付近には踏切も存在するため、列車の運行に配慮しながらの工事となりそうです。

「アソビル」などの真横を走る京急線の線路をまたぐ形でデッキを計画する(2025年6月)

かつて東急東横線が桜木町駅に乗り入れ、地上(高架)を走っていた時代は、車窓からも見えて身近な存在だったみなみ東口地区。今も旧東横線の橋脚が残されている付近は再開発の対象から外されました。

ビルの完成は2037年だといい、順調であっても今から12年を要する計画ですが、横浜駅と駅前の変化はこれからも続くことになります。

【関連記事】

いつまで変わり続けるのか「横浜駅」、南側の東口・西口ともに駅前再開発へ進行(2024年9月17日)

【参考リンク】

「105.(仮称)横浜駅みなみ東口地区第一種市街地再開発事業 環境影響評価手続」の手続状況(横浜市みどり環境局)

横浜駅みなみ東口地区市街地再開発準備組合の設立について(2024年6月11日、京浜急行電鉄ほか)

JR横浜駅の構内図など(桜木町寄りが「きた通路」、東京寄りが「みなみ通路」、その中間で商業施設の出入口があるのが「中央通路」)


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