<レポート>高田天満宮で世紀の節目を祝う、賑やかで厳かな700年記念祭 | 横浜日吉新聞

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賑やかな、そして厳(おごそ)かな2日間を無事に終えています。

鎌倉時代末期の創建日から700年を迎えた高田天満宮(高田西3、小宮克章宮司)は、今月(2025年)5月24日(土)と25日(日)に「御鎮座七百年記念祭」を開き、初日は時おり雨に見舞われる天候ながらも境内を埋め尽くすほどの人が訪れ、世紀の節目を祝いました。

初日は18時過ぎからステージで鏡割りが行われ、宵宮(よいみや=前夜祭)的な初日の記念祭がスタート(5月24日)

初日は18時過ぎからステージで鏡割りが行われ、宵宮(よいみや=前夜祭)的な初日の記念祭がスタート(5月24日)

高田天満宮の創建日は後醍醐天皇の時代である1325(正中2)年5月25日。西南西から光物(ひかりもの)が現れて四方を昼のように照らし、この時に現れた小さな蛇は異香(いこう)を放ち、観音が仮の姿で現れたかのように見えたという様子を見聞きした武将・桃井直常(もものいただつね)が社殿を建立したという由緒が伝わります。

祭神は“学問の神様”として知られる菅原道真(すがわらのみちざね、菅丞相霊=かんしょうじょうのれい)で、道真が鳥の「鷽(うそ)」と由縁があるとされていることから、道真をまつる全国の天満宮では鷽に関する神事が多く見られます。

日目は「記念祭典」を厳かに催行。既に総代や来賓らが着席、笙(しょう)の音が鳴り響く中、厳かに入場した(5月25日)

2日目は「記念祭典」を厳かに催行。既に総代や来賓らが着席、笙(しょう)の音が鳴り響く中、厳かに入場した(5月25日)

今回、高田天満宮では小さな木製の鷽をつくり、参加者がそれを次々と取り替え、“悪しきウソ(鷽)を真実に変える”という意味を持つ神事「鷽替(うそか)え」も行われました。

初日の5月24日(土)は夜店の出店も含めて賑やかな宵宮(よいみや=前夜祭)として企画され、翌25日(日)は前日からの雨も上がり、200人超が訪れての記念の祭典を実施。2日間の様子を写真でご紹介します。

【5月24日(土)の様子】

初日の5月25日(土)は夕方から雨という予報通りに18時前になると雨粒がポツポツと落ちて、傘をさす人の姿も見られましたが約20軒の夜店は盛況(17時50分ごろ)

初日の5月25日(土)は夕方から雨という予報通りに18時前になると雨粒がポツポツと落ちて、傘をさす人の姿も見られましたが約20軒の夜店は盛況(17時50分ごろ)

18時30分から奉納演武として、琉球少林流空手道「月心会」による演武が始まります

18時30分から奉納演武として、琉球少林流空手道「月心会」による演武が始まります

奉納演武の後半には瓦の試し割りも披露され、大きな歓声が上がっていました

奉納演武の後半には瓦の試し割りも披露され、大きな歓声が上がっていました

創建700年を記念した授与品の頒布も行われました

創建700年を記念した授与品の頒布も行われました

社殿内では同社が保管していた大正期から昭和期にかけての写真や木札、楽器などを公開

社殿内では同社が保管していた大正期から昭和期にかけての写真や木札、楽器などを公開

翌日の記念式典に先立ち、19時20分ごろから高田小学校と高田東小学校の児童有志十数人による「巫女舞(みこまい)」の奉納神楽(かぐら)が披露されました

翌日の記念式典に先立ち、19時20分ごろから高田小学校と高田東小学校の児童有志十数人による「巫女舞(みこまい)」の奉納神楽(かぐら)が披露されました

時おり小雨に見舞われる天候ながら境内はぎっしり埋まり、300人ほどが詰めかけていたとみられます

時おり小雨に見舞われる天候ながら境内はぎっしり埋まり、300人ほどが詰めかけていたとみられます

時間が遅くなるにつれ、天気予報通りに雨が強くなり、傘が手放せなくなりました(20時ごろ)

時間が遅くなるにつれ、天気予報通りに雨が強くなり、傘が手放せなくなりました(20時ごろ)

20時10分ごろから「鷽(うそ=鳥)替え」の神事が行われるのに先立ち、各自が鷽をデザインするワークショップも行われています(箱に入った小さな木の鳥=鷽が見本)

20時10分ごろから「鷽(うそ=鳥)替え」の神事が行われるのに先立ち、各自が鷽をデザインするワークショップも行われています(箱に入った小さな木の鳥=鷽が見本)

高田天満宮ではおそらく初と見られる鷽(うそ)替えは雨のなかで実施、今までの悪しきことをウソに替え、幸運にするというのが由来の神事です。50人以上が暗闇のなか、「かえましょ、かえましょ」の声の間に近くの人と鷽を3回にわたって交換しました

高田天満宮ではおそらく初と見られる鷽(うそ)替えは雨のなかで実施、今までの悪しきことをウソに替え、幸運にするというのが由来の神事です。50人以上が暗闇のなか、「かえましょ、かえましょ」の声の間に近くの人と鷽を3回にわたって交換しました

【5月25日(日)の様子】

前日からの雨も上がり、無事に「記念祭典」がスタート。奉納神楽の稽古を行ってきたという高田研修所方面から神職や演奏を行う横浜興禅寺雅楽会、小学校児童の有志と保護者らが入場します

前日からの雨も上がり、無事に「記念祭典」がスタート。奉納神楽の稽古を行ってきたという高田研修所方面から神職や演奏を行う横浜興禅寺雅楽会、小学校児童の有志と保護者らが入場します

神社権禰宜(ごんねぎ)の加藤明子さんが祭典の進行役。神社の縁起(由来)を披露していました

神社権禰宜(ごんねぎ)の加藤明子さんが祭典の進行役。神社の縁起(由来)を披露していました

大麻(おおぬさ)と塩湯(えんとう=塩を器に入れたもの)を用いた「修祓(しゅばつ=お祓い=おはらい)」を行いました

大麻(おおぬさ)と塩湯(えんとう=塩を器に入れたもの)を用いた「修祓(しゅばつ=お祓い=おはらい)」を行いました

小宮宮司が祝詞(のりと)を奏上。神前で「御鎮座700年」を祝い、更なる「ご加護」を祈っていました

小宮宮司が祝詞(のりと)を奏上。神前で「御鎮座700年」を祝い、更なる「ご加護」を祈っていました

日本古来の「火を熾(おこ)す」方法としての「きりもみ式」着火といわれる火起こしを行う「火鑚(ひき)り」の神事が行われました

日本古来の「火を熾(おこ)す」方法としての「きりもみ式」着火といわれる火起こしを行う「火鑚(ひき)り」の神事が行われました

日本古来の琴の音が流れる中、種火を拾い、15分ほどかかってようやく火を灯すことに成功。「神火奉納」が行われました

日本古来の琴の音が流れる中、種火を拾い、15分ほどかかってようやく火を灯すことに成功。「神火奉納」が行われました

神様にお供え物を行う「献饌(けんせん)」が総代と宮司の手により行われました

神様にお供え物を行う「献饌(けんせん)」が総代と宮司の手により行われました

献上品が一つひとつ手渡されていきました

献上品が一つひとつ手渡されていきました

少しずつ夜が暮れゆく中、神様への祈りをささげる「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」を執り行いました

少しずつ夜が暮れゆく中、神様への祈りをささげる「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」を執り行いました

神聖なる空間がそこにあるかのようでした

神聖なる空間がそこにあるかのようでした

氏子総代の相沢一夫さんがまず祈りを捧げていました

氏子総代の相沢一夫さんがまず祈りを捧げていました

来賓とともに参拝者全員での祈りが呼び掛けられました

来賓とともに参拝者全員での祈りが呼び掛けられました

篝火(かがりじ)をさらに焚いて「浄闇(じょうあん)」といわれる静かな空間による「奉納神楽」を催行

篝火(かがりじ)をさらに焚いて「浄闇(じょうあん)」といわれる静かな空間による「奉納神楽」を催行

社殿の前に「斎庭(ゆにわ)」と呼ばれる庭を設営しての「庭上(ていじょう)」での神楽「紅わらべ」と祭祀舞「豊栄舞(とよさかのまい)」の奉納が行われました

社殿の前に「斎庭(ゆにわ)」と呼ばれる庭を設営しての「庭上(ていじょう)」での神楽「紅わらべ」と祭祀舞「豊栄舞(とよさかのまい)」の奉納が行われました

宮内庁での雅楽演奏でも著名だという松井北斗さんの指導による雅楽演奏の中、小学生有志が舞う「巫女舞」に多くの人々が魅了されていました

宮内庁での雅楽演奏でも著名だという松井北斗さんの指導による雅楽演奏の中、小学生有志が舞う「巫女舞」に多くの人々が魅了されていました

「奉納神楽」を終え、厳かに退場

「奉納神楽」を終え、厳かに退場

小宮宮司はその舞の美しさに感極まり言葉を詰まらせながらあいさつを行っていました

小宮宮司はその舞の美しさに感極まり言葉を詰まらせながらあいさつを行っていました

相沢さんは「この舞いを街の音楽会でも披露できれば」と、今回の700年祭をきっかけに誕生した「世代を超えたつながり」を「高田の伝統として培っていきたい」との想いとして熱く語っていました

相沢さんは「この舞いを街の音楽会でも披露できれば」と、今回の700年祭をきっかけに誕生した「世代を超えたつながり」を「高田の伝統として培っていきたい」との想いとして熱く語っていました

無事に式典を終えた高田天満宮。境内にはぎっしりと「奉納者」の名前が掲げられていました

無事に式典を終えた高田天満宮。境内にはぎっしりと「奉納者」の名前が掲げられていました

帰る際には神社から「御神酒(おみき)」が振舞われ、参拝者への感謝の想いが伝えられていました

帰る際には神社から「御神酒(おみき)」が振舞われ、参拝者への感謝の想いが伝えられていました

【関連記事】

・【告知記事】高田天満宮が創建700年、5月24日(土)は夜店や奉納神楽、翌25日に記念式典(2025年5月19日)

【歴史まち歩き】平安期に地名現れる「高田」、高台の良き風景と武将伝説(2021年10月12日、高田天満宮などの歴史について)

【参考リンク】

高田天満宮の紹介(神奈川県神社庁、1325年5月25日創建と伝わる)

高田天満宮の場所(グーグルマップ、高田駅からはスーパー「三徳」の先を左折、または手前で左折し階段の表参道経由。いずれも駅からは上り坂が続く。綱島駅からの「城01系統」のバス停「天満宮前」からは徒歩5分ほど)


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