日吉駅前の「一方通行」化が決定、歩行空間が広がるメリットがある一方、バイクや自転車も含む車両への周知をどのように図るかが課題となりそうです。
日吉駅西口エリアの商店街・町内会の有志からなる「日吉まちづくり推進委員会」は、今年(2025年)3月24日に、神奈川県港北警察署長と横浜市港北区長に宛てた「日吉駅西口車両一方通行化に関する要望書」を港北区役所区政推進課(大豆戸町)に提出。
日吉駅前の「日吉中央通り」、「普通部通り」、「浜銀通り」と「サンロード」の4つの通りでのバイクや自転車も含む車両の「一方通行」化(路線バスを除く)を進めることになりました。
港北区役所によると、日吉駅前では、1987(昭和62)年度に「日吉商店街振興プラン」を作成、長年、地域関係者により、まちづくりの検討が進められてきたといいます。
2020(令和2)年には「日吉まちづくり推進委員会」を発足、日吉駅前の各通り会(商店街)や日吉本町東町会、日吉台町内会の代表者、横浜市都市整備局地域まちづくり課や街づくりコンサルタントのほか、オブザーバーとして日吉地区連合町内会や日吉台小学校、東急株式会社などの関係者が参加し議論を重ねてきたといいます。
日吉駅西口周辺エリアにおける、安全で快適な魅力あるまちづくりの推進を目指して活動してきたといい、交通環境の改善と歩行環境の充実に向け、「一方通行」化を実施するといいます。
「一方通行」をいかに周知するかが課題
今回の「一方通行」化は、日吉駅から約100メートルの範囲で、時間帯を問わず24時間実施するとのこと。
「浜銀通り」では、東急バス(路線バス)が従来通り相互通行を行うといい、「普通部通り」と「サンロード」では、車道を狭め、歩行者空間を従来より広く確保するため、歩行者空間部分を「カラー舗装」化する予定です。

「日吉中央通り」での実施計画。「荷さばき・乗降スペース」3台分を2カ所に設置する予定。「車に乗った状態でも人を待つことはできません」との注意喚起の看板も設置される予定(港北区サイト「日吉駅西口周辺道路の一方通行化の本格実施計画案」より)
また、2022年12月に行われた「社会実験」でも設けられた、停車にあたる荷さばきや、人の一瞬の乗降をしやすくするための「荷さばき・乗降スペース」を、「日吉中央通り」と「普通部通り」、「サンロード」に設ける予定です。
日吉駅周辺区域で従来から指定されている「駐車禁止区域」である点の変更はないといい、「このエリアでは車を駐車して人を待つような使い方はできません」と、日常多く見られる駅前付近での“人待ち”待機を行わないようにと、改めての注意喚起も行っています。
横浜市都市整備局と港北区が2019年5月に日吉地区センター(日吉本町1)で実施した「日吉まちづくりカフェ」や、2021年から行われてきたアンケート調査の結果などを踏まえ、慎重に議論が重ねられてきた今回の「一方通行」化。
「道路が狭く、バス、タクシー、自動車、歩行者の通行が混在しており、特に、歩行者が安心して歩ける歩行環境の確保」を目指すための組織として「日吉まちづくり推進委員会」が発足した経緯もあり、賛同する声が多く聞かれる一方、地域での意見集約を中心に意思決定を行ってきた経緯もあり、来街者も含む通行人にどのように周知を図り、交通ルールの遵守を呼び掛けるかという点においても、大きな課題が残ることになりそうです。
住民の要望を受け、港北警察署や港北土木事務所などによる手続きが進み次第、注意喚起の看板設置や交差点のカラー化、「荷さばき・乗降スペース」や歩行スペースを知らせる道路上の白線やグリーン帯の敷設作業といった一連の工事も行われる計画とのことです。
横浜市会の「2025年度予算」での議決を経ていることから、一つひとつの手続きを経て、早ければ秋から冬、また年内か遅くとも年度内(2026年3月末まで)には「一方通行化」が実施される見込み。
しかし、「現在計画中のものであるため、今後変更となる場合があります」(港北区区政推進課の担当者)といった断り書きを区のサイトにも明記しており、「年度内での完成予定が翌年度(2026年度)にずれ込む可能性もあるのではないか」(関係者)との声も一部聞かれます。
「実施前には大々的に告知をする方法を考えたい」(区区政推進課の担当者)とのことで、地域住民はもちろん、近隣、そして遠方から来街する人々への周知に向けた取り組みにも注目が集まりそうです。
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【参考リンク】
・日吉のまちづくり(港北区、これまでの取り組みやアンケート結果など)