20年来の「悲願」叶(かな)い、高田駅から徒歩約5分の高田東3丁目に「コミュニティハウス」がオープン。児童書の寄贈や職員の地元採用など、“地域ぐるみ”での館運営に注力、新たな交流の場としての期待感がより高まることになりそうです。
地域の新たな交流拠点「横浜市たかたコミュニティハウス(高田コミハ)」が、きのう(2025年)4月1日(火)にオープン。
先月3月27日(木)午前に行われた「開所式」では、開所に至るまでの約20年間の歩みを振り返る時間、その想いを分かち合う時間を過ごしました。
まず、同コミハの運営を行う緑区区民利用施設協会(緑区中山)の岡本博之副理事長が、「今年、創建700周年を迎えます高田天満宮(高田西3)の桜、それから1200年の興禅寺(こうぜんじ、高田町)の桜、昨日、実際に見てまいりましたが、美しく咲き始める中、本日のおめでたい日を迎えられますことができました」と、地元に寄り添った時候のあいさつで、地域内外からの参列者を和ませます。
かつて、竹下幸紀港北区長とともに横浜市職員として業務に当った経験があることを明かし、「また一緒に仕事をさせてもらえるということで大変光栄に思っています」と語り、港北区との縁が出来たことを喜びます。
その言葉を受け、続いてあいさつの場に登壇した竹下区長は、「およそ20年前に港北区役所で従事していた当時から、特に高低差のある地区ですので、グリーンラインの高田駅の横に(平地で)移動できるような、住民の皆さんが集える場所が欲しいとの要望をいただいていました」と、“様々に思案はしていたがなかなか実現できず、課題としてずっと抱えていた”という、今回のコミハの設置についての過去を振り返ります。
そして、「昨年区長に着任して、開所すると聞き非常に驚き、ここに至るまでに地域の方々が整備委員会としてご参画いただき様々にご検討いただいたこと、取りも直さず、この地区(高田町連合町内会)の相沢一夫会長の本当に“頭がさがる”ご協力も、開所の実現に至った大きな決め手だったと思っています」と、今回の土地・建物を横浜市に貸す決断を行った相沢会長による、施設の設置に向けての尽力を称えます。
高田コミハの整備委員会委員長も務めた相沢会長は、「20年前から、18年間にわたり陳情書を横浜市に提出してきましたが、なかなか実現しませんでした」と、宮田寿雄前会長(現高田地区社会福祉協議会会長)の前の会長時代から3代にわたり要望し続けてきた過去を語ります。
そして、大きな転機になったのが、昨年4月オープンの「イオンスタイル横浜高田(そよら横浜高田)」(高田西1)の建設計画を知ったという3年前(2022年)。
「イオンの中にコミハを開所してもらえないかという話をしたところ、広さの基準を満たさず出来ない、となりまして」と、その際、今回の建設予定地となった場所について、当時の区役所の職員から「ここにコミハを建築いただければ横浜市で借り上げますとの提案がありました」と、今回の施設の建設、そして賃借による運営に至ったことを説明。
「ぜひここに、地域の人々が集えるところ、子どもたちが集えるところ、学習ができるところということで建築させていただきました。本当に20年来の夢がかなったということで嬉しく思っています」との喜びを、感無量といった言葉運びで語っていました。
今回、地元・港北区内の地区センターやコミュニティハウスを数多く運営する「こうほく区民施設協会」からの紹介で、緑区区民利用施設協会が唯一の応募者として指定管理者に決定。
緑区連合自治会長会副会長(新治中部地区連合自治会長)も務める、同協会のの臼井孝一理事長は、「緑区も、55年前(1969年9月まで)は港北区でした」と、かつて緑区が同じ港北区だった歴史についても振り返り、「高田は平安時代から、中山は鎌倉時代からの歴史を持ち、昔からの近所づきあいが残る、暮らしやすい街です」と、“グリーンライン1本”で結ばれている、歴史ある2つの街の“共通の趣き”を語ります。
そして、「地域の団体が担う様々な活動、そして緑区で実施している魅力ある講座やイベントのノウハウを提供できれば。高田でも地元の人材の力を借り、こうほく区民施設協会の運営する施設同様に、質の高いサービスを提供する所存です」と、職員・スタッフに地元人材の採用を実施しての施設運営による事業を行う決意を表していました。
最後に、職員・スタッフとともにあいさつした上村(かみむら)恭司館長は、「高田地区に54年住んでいます。後ろに控えますスタッフも、平均して23年、高田地域に住んでいる状況ですが、多少でこぼこがあるがあるにしろ、皆、等しく、これまで高田地域にほとんどお役に立っていない状況です」と、スタッフ共々、なかなか“地域貢献”できなかったという日々を振り返ります。
そして、「特に私が一番強いのですが、新規開所にあたり、いままでの恩返しといいましょうか、そういう意味で、地域のお役に立つべく、皆で力をあわせて結集して頑張っていくつもりです」と、新たな施設運営に向けて“一致団結”して臨みたいとの意欲を示していました。
この日は、「こうほく区民施設協会」の代表理事でもある、港北区連合町内会の関治美会長のあいさつや、港北区内の岸根町を拠点に活動を行う「岸根囃子連」のお囃子も披露され、来場者が“心一つに”開所を祝うひとときを過ごしていました。
1階に設けられた図書コーナーには、高田コミハから徒歩約6分場所にある高田中央病院(高田西2)の荏原太院長から多くの児童書の寄贈があったことへの感謝の言葉が、相沢会長、そして臼井理事長からも語られるなど、「地域ぐるみ」で施設をよりよくしていくための“想い”を共有していました。
「高田地域ケアプラザ(高田西2)をはじめ、みんなの居場所『ふらっと高田』(高田東4)、高田コミュニティカフェ『ゆずの樹』(高田東3)、横浜市親と子のつどいの広場『たかたんのおうち』(高田西4)と、いろいろ集まる施設がある」(相沢会長)としながらも、高田駅から近い、平坦な場所にある高田東エリアの公共施設としての交流スペースは初の設置になることもあり、シニア層や子育て世代、学習コーナーを使用する学生や社会人など、多世代の利用が見込まれることになりそうです。
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【参考リンク】
・たかたコミュニティハウス(一般社団法人緑区区民利用施設協会)
・施設案内(たかたコミハ)(同)