鶴見川の自然環境を守り、流域での安心・安全な日々の実現に向けての決意を共有、地域内外にその意味や意義を伝えます。
先週(2025年)2月11日(火・祝)、「鶴見川流域水協議会」(水協議会、事務局:国土交通省関東地方整備局・京浜河川事務所)は、横浜市歴史博物館(都筑区中川中央1)の講堂で、「夢交流会2025・第7回鶴見川流域水循環系健全化貢献者表彰式」を開催しました。
鶴見川流域では、国土交通省関東地方整備局、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、町田市、稲城市から組織されている同協議会が、2004(平成16)年8月に「鶴見川流域水マスタープラン(水マス)」を策定。
この水マスタープランに沿って、20年近くにわたってさまざまな治水を進めきた中、鶴見川流域の水循環系の健全化に多大な貢献を行った関係者への感謝の意を表するため設けた制度として、表彰式や交流会が行われてきたといいます。
今回、表彰されたのは、町田市立南成瀬小学校(東京都)、鶴見川源流で活動を行う「はなみずきの丘・公園連絡会」(町田市)、新横浜町内会(新横浜1~3)と、綱島エリアで活動を行う「綱島地区社会家庭防災員連絡協議会」の4団体。
「夢交流会」では、鶴見川流域での学びを深めた町田市立小山田小学校、横浜市立羽沢小学校(神奈川区羽沢町)、同市立矢向小学校(鶴見区矢向)、そして川崎市立下作延(しもさくのべ)小学校(高津区)の4校が、スライド映像を通じてその活動成果を発表、表彰式の後に感謝状を授与されました。
かつては大型バスで何台も会場に来場するといった大掛かりなイベントとして開催されていたという「夢交流会・表彰式」。
新型コロナ禍の大きな影響を受け、2021年の開催が中止となっていましたが、2022年はオンライン開催、2023年からは、動画やスライドで活動の成果をステージ上で発表する方法でのリアルでの復活開催を遂げていました。
昨年(2024年)7月から京浜河川事務所に着任した佐々木昇平所長は、「鶴見川は、昔から水害が多くて苦労した河川。治水対策は進んだが、防災の取り組みが必要。水マスの連携した取り組みで、安全、安心にを確保しながら暮らせるしくみを具現化し、子どもたちから普段の取り組み、発表による意見交換、情報交換を通じて新しい連携、取り組みにつなげていくことができれば」と、初めて自身臨むイベント開催の意義を説明します。
新型コロナ禍前の大規模に同イベントを開催していた時代は、駆け付けた人数が多かった半面、限られた人数の児童や生徒がステージ上で発表するケースも多かったとのこと。
「動画やスライドの制作を通じて、クラスの児童全員が参加・登場するケースも多く、理念の広がりを考えれば喜ばしい一面を感じます」と、学校現場での学習機会をサポートするNPO法人鶴見川流域ネットワーキング(TRネット・綱島西2)事務局長の小林範和さん。
各団体の活動成果や各学校の発表がスライド映像や動画作品としても記録として残り、その功績を称えあうことでの理念の広がりや、活動が次世代に受け継がれていくことにも期待したいとの想いを熱く語っていました。
最後にあいさつを行った慶應義塾大学名誉教授で同NPO法人代表理事の岸由二さんは、「15年ほど前、水質検査を行ったら、鶴見川がどんなに汚い川かわかりました、という発表もあるほど、かつては『汚い』というイメージの川といわれていました」と、かつて汚染されていた頃の鶴見川のイメージが色濃く残っていた当時の状況について説明します。
しかし、「今では、子どもたちは鶴見川を『きれい』と感性、まなざしを向ける場所として表現、大人たちの見方も変わってきました」と、鶴見川が、地元ならではの自然環境や生きものを知り、学べる場所として生まれ変わったことを喜び、「76年間、鶴見川で育ちました。こんなに素敵な子どもたちが育つまで生きてきて幸せです」との最大限の感謝の言葉でイベントの最後を締め括っていました。
地域で活動を行う団体には高齢化での担い手不足も顕在化している状況もあり、次世代を生きる子どもたちに、国や自治体が継続してその活動を伝える仕組みづくりやその環境整備を行い、情報発信を通じてその意味や意義を伝えていくことがより大切な局面に来ているともいえそうです。
(※)この記事は「横浜日吉新聞」「新横浜新聞~しんよこ新聞」の共通記事です
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・【前年記事】鶴見川や自然環境を守りたい、流域の活動交流会で4つの小学校が成果を発表(2024年2月26日)
・綱島ぐるみ「地域で防災」イベント、11月24日(日)に旧ヨーカドー前広場で(2024年11月18日)※「減災行動展」の告知記事
【参考リンク】
・鶴見川流域水マスタープラン~鶴見川流域水循環系健全化貢献者表彰(国土交通省 関東地方