児童数が約1000人と“体育館に入りきれない”規模となったことから、学年ごとに交代で記念企画を披露。学校の“60歳のバースデー”を地域の人々とともに祝いました。
大曽根地区と樽町地区の一部を学区とする横浜市立大曽根小学校(大曽根2、宮本雅司校長)は、先月(2024年)12月20日(金)午前、「創立60周年記念集会」を同校の体育館で開催しました。
「創立60周年記念集会」が開かれた横浜市立大曽根小学校(2024年12月20日)
地域などからの約40人の来賓や教職員、昨年(2024年)9月時点での児童数が998人と、対前年比で30人も増えたという全校児童が学年ごとに交代しステージを披露するスタイルで参加。
体育館から各教室に中継映像を配信する方法で、約2時間にわたる記念イベントの時間を児童一人ひとりが共有しました。
「ハッピーバースデートゥーユー」の曲に大曽根小学校オリジナルの歌詞を児童が考案したという「大曽根小バースデーソング」を合唱した
今回の記念集会は、現役PTAの役員を中心に構成された同小学校創立60周年記念事業実行委員会(荒巻正則実行委員長)と、5・6年生による「60周年記念児童委員会」が教職員とともに企画し運営。
ステージ壇上には、児童委員のアイデアにより花紙で作られた「バースデーケーキ」や、児童からの公募で生まれた記念キャラクター「大曽根(おおそね)グッドくん」の巨大ぬいぐるみ、そして、やはり児童が考え選んだという、「太陽のように かがやけ 大曽根小 光にあふれた 60回目の誕生日」との記念スローガンの横断幕も掲げられ、記念集会の会場を盛り上げていました。
第18代PTA会長で学校運営協議会委員の荒巻さんがあいさつ。児童が決めたというスローガン入りの横断幕や花紙で作ったという「バースデーケーキ」、記念キャラクターの「大曽根グッドくん」も登場し会場を盛り上げていた
来賓代表としてあいさつを行った第14代校長の藤馬亨さんが、「2014(平成26)年11月に行った創立50周年記念式典を開いたころの児童数は約780人。6年生までぎっしり体育館に入ることができました」と、以降、10年間で200人以上も児童数が増えたことに驚きます。
そして、50周年の式典時に、当時の実行委員長を務めていた故・嶋村尚美(なおみ)さん(初代PTA会長)が、学校開校当時、新しい建物には本が少なすぎると、地域の方々から多くの本を寄贈してもらい、図書館を作ったというエピソードを披露したことに触れ、「少しずつ、学校が良くなってきているのは、保護者や地域の方々の協力が大きかったから」と、“日本一の学校にしたい”という思いが生まれてきたこと、そして大曽根小学校が実にいい学校になってきたとの想いを語ります。
第14代校長の藤馬さんが来賓代表としてあいさつを行い、「50周年式典時の想い出を熱く語っていた
校歌の歌詞にも見られる「(新幹線や急行電車が)世界を はしる 夢がわく」というフレーズにも触れ、「ご家族、そして君たちの先輩にあたる7、8千人の卒業生を含めて、みんなが努力してきたからこそ、楽しく学校生活を送れるようになっているのかなと思います」と、よりよい学校づくりに向けた取り組みを激励します。
PTA会長の角川(すみかわ)祐司さんは、「大曽根小地域はどういうところか尋ねられることもあるが、“あたたかな穏やかなところ”と答えています。この学校の良いところを(継承し)、次の70周年に向けて、また一歩、歩んでもらえれば」と語り、さらに「貴重な6年間、今の瞬間を一生懸命学び楽しみ、今を生きてください」との激励のコメントを子どもたちに寄せていました。
無事に「創立60周年記念集会」を終え笑顔を見せる宮本校長(右)と 中野直茂副校長。「大曽根グッドくん」の巨大ぬいぐるみは10月のスポーツフェスティバル(運動会)時に初披露されたとのこと
新型コロナ禍により、児童と地域の人々が同席できないイベントもこれまで多く見られてきただけに、児童委員が考案したという「バースデーソング」の合唱や、2、4、5年生、そして1、3、6年生の順で行われた各学年の発表披露の機会を共有できたことは、地域の人々や教職員、そして子どもたちにとっても“生涯の財産”になるといえそうです。
【当日の様子】
穏やかな晴天に包まれた開催日。「記念集会」は“いつもの”体育館で行われました
入口付近には創立60周年を記念した「顔出しパネル」が会場へと誘っていました
すでに入場していた2年生と4年生、5年生と実行委員会の皆さんが見守る中、緊張した雰囲気で「記念集会」がスタートしました
5・6年生による「60周年記念児童委員会」が司会進行を担当。まずは昨年度(2023年度)から着任した中野副校長が「開会の言葉」に臨みました
2022年4月から着任した第17代目の宮本校長は「全員が体育館に入れないが教室から見てくれています」と各教室に向けての生配信を行っていることについて言及。来賓への感謝の言葉も伝えながら「子どもたちの活動を楽しみにしてもらいたい。素敵なお祝いの会を」と語っていました
横浜市教育委員会からは北部学校教育事務所の小林雅弘首席指導主事があいさつ。「創立以来、地域とともに発展し、素晴らしい校風を築いてこられた。ひとえに保護者や地域のあたたかいご指導のもと、歴代校長をはじめとした教職員が努力してきた賜物」との感謝の言葉を述べていました
各学年ごとの発表がスタート。2年生は「だれにだってお誕生日」の合唱、4年生は谷川俊太郎さんの「かんがえるのっておもしろい」の詩、5年生は「地球星歌~笑顔のために」の合唱を行い、大曽根小の60歳を祝いました
晴れやかな天候の中「記念集会」は進行。会場の中も冷たい冬の寒さを感じることはなく、確かな未来への道筋を感じるかの雰囲気に包まれていました
この日、子どもたちや来賓に配られた品々。創立60周年記念誌「太陽のようにかがやけ大曽根小~光にあふれた60回目の誕生日」はフルカラー24ページの冊子に仕上げられていました
「大綱小学校の大曽根分校だった頃に入学した当時、学校には何もなかったという印象です」と語る樽地区社会福祉協議会会長で学校運営協議会委員(神奈川県議会議員)の嶋村公(ただし)さん(左・嶋村尚美さんは父)。学校の周囲には田んぼや畑が広がっていたという在学時の光景を懐かしそうに振り返っていました
後半の発表を行う1年生と3年生、6年生が会場に。学校オリジナルの「よさこい衣装(半纏=はんてん)」を纏(まと)った6年生の入場で会場が賑やかに
角川PTA会長は「大曽根小の60歳で、改めていつも感じているのは、大曽根小のみんなは元気なあいさつで迎えてくれて、素直で、思いやりのある気持ちで接してくれている」と、子どもたちへの感謝の想いを伝えていました
会場を彩る花紙で作られた「バースデーケーキ」は華やかさの中にも優しい雰囲気を演出していました
後半の部は1年生が「ひらがな」の音読、3年生が「元気 勇気 ちから」の合唱、そして6年生が6年間を振り返るオリジナルの「成長劇」を披露。「新型コロナ禍」を乗り越えるシーンは大きな感動を呼んでいました
想い出深い「エイサー」や「よさこい」の舞いも披露しました
ラストは「60」の文字で勇壮なフィナーレ
校歌を斉唱し「60周年記念」の時間を終えました
開校当時は「まどから見える」風景にあった新幹線や「急行電車」も歌詞に登場する校歌。東海道新幹線も1964年(昭和39)年10月1日に開業。新横浜駅の60周年とつながる歴史を感じる時間となりました
「記念集会」は無事終了。中野副校長はホッとした表情に
荒巻実行委員長や角川PTA会長も笑顔で来賓を見送っていました
「60周年記念児童委員会」を担当した藤巻裕祐教諭は「8種類の『大曽根グッドくん』のぬりえを昇降口付近に置いたところ、約300枚も集まりました」と喜び、一つひとつの作品に目を細めていました
体育館前には創立30周年記念事業実行委員会が1995(平成7)年10月に建立したという校歌の記念碑も
1974(昭和49)年11月16日に建立された創立10年記念の「希望の星」像の寄贈者の1人として嶋村尚美さんの名前も刻まれていました
これからも学校に伝わる歴史、そして地域の人々が、大曽根小をよりあたたかく見守っていきます
【関連記事】
・<レポート>樽町周辺の“街の歴史”刻む50年、樽町中「記念式典」に200人超(2024年10月14日)
・横浜市で最多の児童数「師岡小」、3位「箕輪小」、中学校最多は「日吉台中」(2024年10月3日)※大曽根小の児童数増加についても触れている
【参考リンク】
・横浜市立大曽根小学校のサイト
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