【去りゆく2024年】新吉田の施設で「区内最高齢」の利用者が誕生。家庭的な雰囲気の中で長寿を祝う時間を分かち合いました。
港北区内では、今年(2024年)9月16日(月・祝)の「敬老の日」を前に、小机町にゆかりを持つ鈴木マツさんが区内最高齢となる107歳に。
竹下幸紀区長と同区高齢・障害支援課の担当者が、9日午後に鈴木さんが利用する小規模多機能ホーム(居宅介護施設)「びわの樹」(新吉田東8)を訪問し、山中竹春横浜市長からのメッセージや、区からの記念品を届け、施設の利用者や職員とともに長寿を祝いました。
2020年春の新型コロナ禍以降は、区長が最高齢者を祝う訪問は控えられていたとのこと。
「これからも健康に留意され、健やかに」との山中市長の言葉、また、区から「ささやかですが」と、鈴木さんが好きだというゼリーと日本茶のセットが手渡されると、この日居合わせた施設の利用者や職員らから、「マツさんおめでとう」という大きな歓声と拍手が上がっていました。
施設管理者の佐藤兼太郎さんは、「(皆さんも、鈴木さんに続いて)これから107歳。(鈴木さんが)108歳になれば、区長さん、来てくれます。それまで、がんばりましょう。平均年齢100歳超えにアップ(するよう)よろしくお願いします」と、鈴木さんのみならず、70代から利用しているという全ての世代の施設利用者を激励します。
介護支援専門員(ケアマネジャー)の木村千鶴子さんは、「鈴木さんは、何があっても(感謝の想いから)手を合わせ、『ありがとう』と言ってくださるお人柄です」と、施設がオープンした2014(平成26)年4月以降、約8年間鈴木さんが施設を利用していることに感謝しているとのこと。
今年で10周年を迎えた同施設。現在、約20人が働き、約20人が利用しているという中、「嬉しいことは皆で喜ぶといった、家庭的な雰囲気を大事にしています」と、日々施設づくりを行う上で心掛けていることについても、熱くその想いを語っていました。
創業50年の地元・老舗メーカーが運営
「車いすの方、元気だけど認知症の方、また様々なタイプの方が利用しています」(木村さん)という「びわの樹」。
近隣の通称「ぐるぐる公園」や「ぐるぐるひろば」と呼ばれる新田緑道の広場にも近接した新吉田東7丁目の株式会社メガシステム(MEGA SYSTEM)が創業し運営を行っています。
半導体製品等の組立配線や関連電子部品などの製造・販売を行う同社は、1975(昭和50)年10月に「上野電機工作所」として東京・蒲田で設立してから来年(2025年)でちょうど四半世紀となる50周年を迎えます。
一時期移転していたという茨城県や、その後移転した新羽町から、現在「びわの樹」がある場所にオフィスと工場を移転し事業を行っていたといい、「介護施設を2階に作ろうとしたが、やはり規定の問題がありました」と社長の上野達哉さんは、現在地(新吉田東7)に再度オフィス・工場を移転、単独の建物を建設し施設をオープンすることを決断します。
自分自身も70代後半だという上野さんは、「もともと、実が2000個も成るほどの大きなビワの木が植えられていたことから、施設の名称を『びわの樹』と名付けました」と、現在も、施設の敷地内に別のビワの木が植えられ、その実がなることについても説明します。
毎年4月・5月に区内で行われるイベント「港北オープンガーデン」(同運営委員会・港北区主催)にも参加するなど、地域に根差した施設運営でも知られてきました。
来年は、第二次世界大戦の終戦後の「第一次ベビーブーム」(1947~1949年)に生まれた世代が全て後期高齢者(75歳以上)となる2025年。
要介護高齢者や一人暮らしをせざるを得ない人、認知症の高齢者が大幅に増加することが予想される、いわゆる「2025年問題」がいよいよこの国を襲う状況となります。
港北区における65歳以上の人口比率は20.0パーセント(うち75歳以上は11.2パーセント)と、市内の25.1パーセント(同14.6パーセント)より低い比率(2024年9月時点での「年齢別人口・住民基本台帳」による、横浜市サイト)となっていますが、それでも「地域ぐるみ」での高齢者への見守りや介護がますます必要な時代となることが予想されます。
地元企業が「介護でシニアを見守る」ことを実践している「びわの樹」の取り組み、また地元・港北区内で生きる人々の受け皿としての介護施設が区内で「躍動」することに、大きな注目があつまる最高齢の表彰となりそうです。
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【参考リンク】
・敬老月間事業(横浜市健康福祉局高齢健康福祉課)※65歳以上の市民を対象にとした「敬老の日」などの施設優待利用や敬老祝品の贈呈、区長などによる高齢者訪問といった行事について