明治・大正期の旧港北区域をたどれる展示会が12月15日(日)まで開かれています。
横浜市歴史博物館(都筑区中川中央1)では今月(2024年)11月23日から企画展「青葉・都筑区制30th 丘のよこはま~近代の村の歴史と暮らし」が始まり、かつて同じ港北区内だった村々の姿に触れることができます(月曜日は休館)。
青葉区と都筑区が11月に区制30周年を迎えたことを記念して企画されたもので、2区の原型となった田奈、中里、山内(やまのうち)、中川、都田(つだ)という5つの村を主に取り上げ、村が発足した1889(明治22)年から大正時代あたりまでの資料類から当時の生活を浮き彫りにしました。
恩田・長津田(現緑区域)の“田”と奈良の“奈”から名付けられた「田奈村」や、寺家から青砥(現緑区域)まで13カ村が合併し“郡の中央部に位置する里々”という由来から名付けられた「中里村」、今も学校や図書館などにその名を残し、石川の山がちな地形から名付けられた「山内村」(石川・荏田)がおおむね現在の青葉区域。
牛久保・勝田(かちだ)・茅ヶ崎・山田(やまた)・大棚(おおだな)という5つの村がまとまり、中央を早渕川が流れることから名付けられた「中川村」、川和・佐江戸・池辺(いこのべ)・東方(ひがしかた)・折本・大熊・川向の7つの村により発足した「都田村」は“都筑郡で水田が多い”というのが由来。
中川と都田の2カ村が現在の都筑区域ですが、新田村(新羽・吉田・高田)の一部(早渕、新栄など)も現在の都筑区に組み込まれています。
これらの村々の明治期を振り返ると、田奈村や山内村などでは生糸の製造がさかんでしたが、大正期には低迷し、その後は都田村のメロンやイチゴ、中川村のタケノコといった農産物が有名になったといいます。
めずらしい特産品では、大正期における山内村や中川村での「ビール麦」があり、大日本麦酒(現アサヒビールやサッポロビール)や麒麟麦酒(現キリンビール)の原材料になっていた歴史もありました。
今回の企画展では、明治から大正期にかけての5つの村における関連資料や民芸品などを展示するだけでなく、「港北区(初代)→港北区(二代目)/緑区(初代)→港北区(三代目=現在)/緑区(二代目=現在)/青葉区/都筑区」と人口の急増で4つの区に分かれるにいたった「旧港北区」の歩みも紹介しています。
今や4区合わせて人口が100万人を超える巨大住宅地となった“丘のよこはま”。何かと脚光を浴びる“海のヨコハマ”とは違って目立たないながらも発展を遂げてきた旧港北区域は、1世紀以上前にどのような姿だったのか。今回の企画展でその一端に触れられるはずです。
30周年にふさわしい企画展
公開日前日の11月22日に行われたセレモニーでは、青葉区の中島隆雄区長と都筑区の佐々田賢一区長が登壇しました。
中島区長は「青葉区では30周年を機に冊子『よこはま青葉の歴史を歩く~7つの探訪コース』を刊行したところ、好評を得ており、歴史への関心が高いことが分かった。2区の近代史をひも解く貴重な展示会が企画されたことに深く感謝しています」とあいさつ。
佐々田区長は「都筑区は港北ニュータウンがあるので新しい町と思われている方が多いが、実は縄文や弥生の遺跡・貝塚が点在していて、万葉集にも出てくる古い土地。区の30周年コンセプトは“過去をたずねる”“今を知る”“未来を描く”というものであり、今回はまさにぴったりの企画」と話します。
市歴史博物館の佐藤信(まこと)館長は、「歴史博物館も2区が発足した同じ年度の1995(平成7)年の1月に完成し、まもなく30年周年を迎える。あらためて地域の歩みを振り返り、地域のアイデンティティを確認したうえで、よりよい発展を目指していただく参考となれば」と企画展への来場を呼び掛けていました。
(※)この記事は「横浜日吉新聞」「新横浜新聞~しんよこ新聞」の共通記事です
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【参考リンク】
・企画展「青葉・都筑区制30th 丘のよこはま~近代の村の歴史と暮らし」(横浜市歴史博物館、2024年11月23日~12月15日開催、月曜日休館、入場料500円)
・横浜市歴史博物館のアクセス情報(センター北駅から徒歩5分)