ネットにも公開中の「東急100年史」が高い評価、優秀社史賞に入賞 | 横浜日吉新聞

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東急グループが昨年(2023年)、創立100周年を記念して刊行した社史が高い評価を受けています。

一般財団法人日本経営史研究所(東京都千代田区)は今月(2024年)11月5日、「第24回優秀会社史賞」で「東急100年史」など4社の社史を入賞作品に選びました。

2023年9月に刊行した製本版の「東急100年史」は全983ページにおよび、外函(そとばこ、写真左側)除いても重さが3.4キロもある大作

日本経営史研究所は経営史や企業史の研究を行う財団法人として1968(昭和43)年に発足し、1978(昭和53)年から優秀会社史賞の表彰を行ってきました。

今回の同賞は81社99冊の会社史を選考対象とし、東急100年史のほか、「協同一致 グリコグループ100年史」「トクヤマ百年史」「三菱マテリアル150年史 1871-2020」の4作品を受賞作に選んでいます。

東急100年史を担当した社長室広報グループは「会社史に携わる人のなかでは“金メダル”とも言われる表彰なので、受賞に驚くとともに大変に嬉しかった」と話します。

東急100年史は製本版の刊行前からWeb上に順次公開し、検索も可能となっている(東急グループ「東急100年史(WEB版)」のページより)

東急グループの100年史は、1973(昭和48)年4月に発行した「東京急行電鉄50年史」以来、50年ぶりとなるグループ全体の社史で、資料収集から完成までに約10年を費やした大作。

大きな特徴は、完成した章からインターネット上にいち早く公開し、誤りや修正点といった声を幅広く聴いたうえで製本版(2023年9月2日発行)としたことで、情報開示度が高い点も今回の受賞につながったといいます。

内容面では、主力の電鉄だけでなく、沿線でのまちづくりをはじめ、東急バスが独立するまでの歩みや、グループ内の東急百貨店東急ストアイッツコム(iTSCOM)などグループ各社についてもページが割かれています。

また、従業員に対しては「地域社会との良好かつ密接な関係は、先達が数々の困難や失敗を乗り越えてきた基盤の上に成り立っていることを理解し、今後の事業展開に役立ててほしい」(同グループ)と、過去にあった東急グループのさまざまな危機についても詳しく記載されました。

Web版の東急100年史はインターネットでの閲覧に最適化されれいる(東急グループ「東急100年史(WEB版)」のページより)

現在、東急グループの公式サイト内には100年史に加え、過去に発行された50年史(1973年)や「東京横浜電鉄沿革史」(1943年)、「新玉川線建設史」(1980年)、「多摩田園都市 開発35年の記録(1953~1988)」(1988年)、「多摩田園都市 その後の15年の記録(1988~2003)」(2005年)のPDFデータも公開されており、一部は横断検索も可能。

特に100年史はインターネットに最適化された形で誰でも手軽に閲覧できるようになっており、沿線の歴史を振り返る際には活用したいところです。

)この記事は「横浜日吉新聞」「新横浜新聞~しんよこ新聞」の共通記事です

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半世紀ぶり制作中の「東急100年史」、2004年分まで社史を先行公開(2023年1月10日、100年史には港北区内に関連する内容も多い)

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【参考リンク】

東急株式会社「社史『東急100年史』が優秀会社史賞を受賞」(2024年11月5日)

「東急100年史」などの公開ページ(50年史を含め横断検索が可能)

日本経営史研究所「第24回『優秀会社史賞』発表と選考報告会」(81社の会社史が選考対象となった)


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